[KATARIBE 31342] [HA06P] Episode:ランダム小隊・外伝 お弁当

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Wed, 12 Sep 2007 22:17:20 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31342] [HA06P] Episode:ランダム小隊・外伝 お弁当
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <46E7E6E0.5080907@gmail.com>
X-Mail-Count: 31342

Web:	http://kataribe.com/HA/06/P/
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/31300/31342.html

[HA06P] Episode:ランダム小隊・外伝 お弁当
==========================================
登場人物
--------
 オワタ    http://kataribe.com/HA/06/C/0718/
        悪運が強くて、りまりまのぱんつを毎日拝んでいる高2。
 りまりま   http://kataribe.com/HA/06/C/0717/
        無防備で、えっちな下着を愛用してる高1。
 さっち    http://kataribe.com/HA/06/C/0721/
        ロリメガネ。りまりまの幼なじみ。オワタの動きを利用して
        なにか企んでいる、かもしれない。


ある日のお昼休み
----------------

 じー。
 いつものように、購買のコロッケパンを気だるげに食べているオワタ。
 そんな彼を、熱心に見ているりまりま。
 食べる途中でじっと誰かを見るのは、やめた方がいいと思う。
 お箸もちょうど、お弁当箱と口の中間地点で止まっていて、お口は少し開い
たままになっている。

 りまりま   :「……」

 じー。

 オワタ    :「……えーと、りまりま?(どぎまぎ)」

 ある種、熱のこもった視線が注がれているわけで、オワタとしても気が気で
ならない。
 どぎまぎしながら、熱いまなざしで見つめてくるりまりまに訊ねる。

 オワタ    :「……俺の顔、その……なんかついてる?」

 な、なぜ見る!? 俺今日変? 変なの?!
 照れるというより、むしろ焦る。

 りまりま   :「あ。ご、ごめん。なにもついてない、ついてない。えっと
        :さ、男子ってどれくらい食べるのかなって、ちょっと気に
        :なって」
 オワタ    :「……んーいちおうこれ、、、だけど、ちょっと足りないなあ」

 食べている一個と、もう一つ。そしていちご牛乳。
 ちょっと、とは言っているが、案外足りてないのかもしれない。

 オワタ    :「バイトとかしてねーから、臨時収入とかもないし……できる
        :ならもう一個くらいなんか欲しいかもな」

 もふもふ。コロッケパンを食べ終えて、二個目のコロッケパンにとりかかる。

 りまりま   :「もう一個くらい……パンってお昼ダッシュで買ってる?」
 オワタ    :「今日は激戦だった……」

 日々繰り返される短く、それでいて厳しい戦い。
 オワタの横顔は、戦士のそれになっていた。

 授業終了と同時に、陸上のスタート並の反応速度で教室を出る。
 同時に、階段までの障害物の位置関係を瞬時に把握し、ルートを確定。
 あとは、ただ走る。
 しかし、作戦を立てられるのはここまでだ。
 学食の入り口に着く頃には、すでに人垣が出来ている。

「お、俺のコロッケパン!!」

 行く手を阻む者は、枚挙に暇がない。
 そんなオワタの横顔に、少しどきっとするりまりまだった。

 りまりま   :「じゃ、じゃあ買えないときなんかもある? やっぱり」
 オワタ    :「……そだなあ、コロッケパンは三日に一回ゲットするのが
        :やっとだし」

 今日は偶然、2個買えたらしい。
 三日に1個が本来の割当だとしたら、来週は食べられないかもしれない。
 もっとも、りまりまは違う情報を受け取っていた。
 それほどまで、コロッケが好きなのだと。

 りまりま   :(コロッケが好き……コロッケ、コロッケ)
        :「う、うん、コロッケね」
 オワタ    :「コロッケはうまいよなージャガイモの奴、うちじゃ作らな
        :いし」

 肉を焼くだけのオワタ。ある程度料理出来るが、揚げ物にはまだ危なっかしい
妹のニモ。母が在宅で、しかも手がある程度空いているときしか食べられない。
 オワタにとってはあこがれのメニューの一つだった。

 りまりま   :「う、うん、ジャガイモね」

 反芻しながら、脳内の情報を検索する。オワタくんは、お肉毎日食べてるから、
お肉が好き。ジャガイモ、コロッケ、お肉、ジャガイモ、お肉……肉じゃが!

 作ったことのないメニューだが、作って喜ばれるメニューに常に上位ランク
インする、定番のメニューだ。家庭的と思われたいカレには特製肉じゃがで、
なんてこの前、雑誌に書いてあったし。

 りまりま   :(ちょっと作るの大変そうだけど、肉じゃがは前の夜につ
        :くって……)「よし」
 オワタ    :「……りまりま?」

 お箸を持ったまま、意気込むりまりま。
 隠すつもりすらないところが、なんとも無防備だ。
 オワタに問われて、初めて口に出ていたことに気づく。さすがに恥ずかしい。

 りまりま   :「え、えっと……ちょ、ちょっとお弁当つくろうかと思って」

 えへへ、となんともゆるい笑いを浮かべながら。

 オワタ    :(・_・)

 停止するオワタ。
 お弁当。つくる。うん。
 男子はどれくらい食べるの?
 パンはいつ頃買ってるの?
 りまりまの何気ない質問と結びつくのに、数秒を要した。

 オワタ    :Σ(゜□゜)
 りまりま   :(あ、なんか固まってる!? やっぱ内緒にしとけばよかった!?)

 そんなオワタの硬直を見て、勘違いするりまりま。

 オワタ    :「べっ、べべべ、べんとう?!」

 頷くしか出来ないりまりま。それほどに、オワタの反応は強烈だった。
 前述の事情により、オワタにとって、お弁当とは大変貴重なメニューなのだ。

 オワタ    :「ま、ま、ま、まじで!?」

 感動しているのか、まじ、すげえ、と何度も呟く。

 オワタ    :「……うわ、まじ……すっげーーー」
 りまりま   :「う、うん……よ、よかったら、だけどさ……食べたい?」
 オワタ    :「え、うん、そりゃあ……大歓迎、だけど……いいの?」

 確認するように訊ねるりまりま。
 やはりどぎまぎしながら応えるオワタ。
 りまりまは何度も頷いて。

 りまりま   :「うん、いいよ、いい」
 オワタ    :「……あ、うん、すっげー助かる、ていうか……マジ、
        :嬉しい……」
 りまりま   :「……うん、とりあえず、来週の月曜日、でいい? いろ
        :いろ準備が……」
 オワタ    :「う、うん……楽しみに、してる、から」

 そんな風にして、その日のお昼休みは終わった。


りまりまの部屋で
----------------

 さっちが遊びに来ているにもかかわらず、ベッドの上でうつぶせになって、
『お手軽レシピでもう一品! お弁当Book』なんてムックを読んでいるりまりま。
 真剣に読んではいるが、いかんせん、一品料理しか作ったことのないりまりま
にとって、どのように「ついでに」つくって良いか、さっぱりわからない。

 りまりま   :「……」
 さっち    :「お弁当つくるの?」
 りまりま   :「うん、そうしよっかなってちょっと思って……よく考え
        :たら、お弁当って作ったことないし」

 そんな事情をよく知っているさっち。

 さっち    :「お弁当はねえ、冷えてもおいしいものにしないと大変だよ」
 りまりま   :「! 冷えてもおいしいもの」

 オムライス……×
 カレー…………×
 得意料理が二つ消えた。
 そもそも、晩ご飯の手伝いは何度もしているが、朝ご飯の手伝いはしたことが
ない。

 りまりま   :「……難しそ」
 さっち    :「夏場は傷みやすいっていうのも気をつけないとダメ。ご飯
        :には梅干を入れると、保存が利いて夏ばて予防にもなるので
        :一石二鳥」
 りまりま   :「うんうん、梅干し。ほかになんかあるかな? 鳥そぼろと
        :かしか思いつかない」

 鳥そぼろに梅干しもどうかと思うが、さっちは気にせず続ける。

 さっち    :「うちはねー、残り物のグラタンとか分けて冷凍しておいと
        :いて入れたりするよ」
 りまりま   :「え。グラタンって冷めて食べれるんすか、アレ」
 さっち    :「油が固形化したりするものじゃなかったら大体大丈夫」

 あんまり美味しそうには思えなかった。

 さっち    :「基本残り物だしねー」
 りまりま   :「……すごいショック。絶対あっためないとダメだと思ってた」
 さっち    :「改めて弁当に何を詰めるかといわれても迷うね」

 そう、本来のお弁当はそういうものだ。
 さっちが日頃作っているお弁当もその例にもれない。

 さっち    :「開いたスペースに出汁巻きとか入れると彩りにもなって
        :いいかな」
 りまりま   :「だし巻き、それなら出来る」

 プリクラ帳兼スケジュール帳にメモるりまりま。

 さっち    :「メインのおかずは何にするの?」
 りまりま   :「……お肉好きみたいだから、えーっと……アスパラ巻いたのと
        :か……ハンバーグとか?」

 割と安直な思いつきだが、お弁当には良さそうに思える。

 りまりま   :「……冷めても大丈夫だよね、これなら」
 さっち    :「油に気をつければ大丈夫かな」
 りまりま   :「油……少なめにってこと?」
 さっち    :「肉汁出るでしょ。あれ冷えて固まるとざらざらするからー」
 りまりま   :「そうなんだ。じゃあちゃんとそういうの落としてから入れ
        :ないとダメなんね」

 つくって詰めればいいというものでもないらしい。
 結構な手間暇がかかっているのだと思い知り、りまりまは呟いた。

 りまりま   :「……お母さん、大変な仕事してるんだなあ」

 日頃、四人分のお弁当を毎朝つくっているのだ。
 いくら残り物を詰められるとは言っても、その手間は大変だと思った。

 りまりま   :「……ジャマにならないようにしないと」
 さっち    :「がんばりなよー」

 そして翌朝から、お弁当集中特訓を自主的に行うことにしたりまりまだった。


マイファーストお弁当
--------------------

 オワタ    :(・д・)

 りまりまの弁当の1.5倍くらいの大きさ。真新しいお弁当箱が、眼前にあった。
 先日のように、オワタがまた固まっている。

 りまりま   :「兄ちゃんたちに聞いたら、これくらいはほしいっていう
        :から……大きすぎたかな」

 もっとも、りまりまのお弁当箱はそれほど大きくはないので、普通の男子が
持っている弁当箱くらいの総量だろう。

 オワタ    :「う、ううん。丁度いい! すっげー……弁当だ……」
 りまりま   :「……じゃ、はい。よかったら、食べて?」
 オワタ    :「う、うん……ありがと」

 両手で差し出されるお弁当箱を、おずおずと受け取って、感慨深そうに、包み
の結び目を凝視する。
 すげー……弁当だよ……。
 丁寧にほどいて、両手を合わせる。
 寿、と書いてある割り箸が入っているのはどういう意味だろう。
 一瞬そう思ったが、すぐに弁当に意識が戻った。

 オワタ    :「じゃあ、その……い、いただきます」

 ぱか、と蓋を開ける。

 オワタ    :「……おおお」

 上段はおかずが詰められていたから、下段はきっとご飯が入っているのだろう。
 ぱっと見ただけで、だし巻き、ハンバーグ、コロッケ、アスパラベーコンが
入っていた。そして仕切りと周囲を包むように配置されたサニーレタスやら、
プチトマトやら。
 特に奇をてらっているわけではないが、片手間に作ったようなものでもない。
 オワタの心を揺さぶるのに、十分すぎる威力を持っていた。

 オワタ    :「すげー、豪勢だ……」
 りまりま   :「う、うん、最初だから、加減とかわかんなくって……なん
        :か、二度目とかガックリされそうな感じになっちゃった」

 いつものゆるい照れ笑い。
 独特の言い回しで、いいわけめいたことを言う。

 オワタ    :「い、いや、でもすげえよ、うまそうだよ、じゃあ、あの……
        :いただきます」
 りまりま   :「あ、は、はい、どうぞ」

 お箸を手にして、まずはだし巻きをぱくり。

 オワタ    :「……うまい」

 一口で、箸が止まる。
 それを見ているりまりまも、動きが止まっている。

 オワタ    :「すげーうまい……」
 りまりま   :「あ、一応お茶もあるよ」

 一本余分にもってきた細身の魔法瓶を取り出して、お茶を注ぐ。
 オワタの二の句で、りまりまの金縛りも解ける。

 オワタ    :「あ、うん……ホントうまいよ……あーこう、気の利いた
        :感想とか、あんま、ないけど……でも、うまいから!」
 りまりま   :「う、うん、よかった、割と気に入ってもらえたみたい。初
        :めて作ったから、ちょっと不安で」
 オワタ    :「……うん、すっげー嬉しい」

 それから、しばらく食べるのに夢中になるオワタ。
 気の利いた言葉や感想は出てこないが、その姿勢で、美味しく食べてもらえて
いることは十分伝わる。
 しばらく、二人とも黙ったままお弁当を食べていた。

 オワタ    :「弁当なんて、幼稚園の頃以来だよな……」
 りまりま   :「あ……」

 少し落ち着いた頃に、オワタがふっと一言もらす。
 その一言で、りまりまはオワタの家庭事情について思い出す。
 日頃まったく普通に接しているから思い至らなかったが、もしかして、お弁当
を普通に食べていることに、複雑な思いがあるのではないか。
 だとしたら、いくら喜んで食べてもらっているとはいえ、自分が無邪気に
喜んでいるのは、何かまずい、そんな気がした。

 りまりま   :「ごめん、そこまで気が回ってなかった……」
 オワタ    :「あ、いや……だから、その、すげー嬉しい」

 しょぼん、と落ち込みかけるりまりま。
 彼女の無防備さは、言動だけにとどまらない。精神的にも無防備だと、最近
わかりつつあるオワタは、慌ててアスパラベーコンをつまむ。

 オワタ    :「こんな風に昼に弁当食えるって、いいなー、って」
 りまりま   :「……うん、じゃ、またつくってきてもいい?」
 オワタ    :「え? ……い、いいのか?」

 再び手が止まる二人。

 オワタ    :「俺は、その……大歓迎だし、嬉しいし、でも、ホント、
        :いいの?」
 りまりま   :「毎日は保証できないけど……うん。今、朝お母さんの
        :お弁当とか手伝ってるし。起きれたときは、だけど」

 たまに眠りが深く、起きられない日もある。
 そんなことまで正直に言うりまりま。

 オワタ    :「うん……じゃあ、その……楽しみに、してる」

 耳の上あたりが熱くなるのを感じながら、オワタは考え始めていた。

 オワタ    :(というか俺はなにかりまりまに返すもんてないのか?)

 返すもの。
 晩ご飯を作ってもらった帰りに送っていく。
 お弁当を作ってもらったお礼に……どうしたらいい?

 アスパラベーコンもなくなり、ハンバーグも三分の一ほどなくなって。
 オワタがようやく顔を上げる。

 オワタ    :「あ、あのさ!」
 りまりま   :「う、うん、何!?」

 りまりまはというと、次のお弁当のメニューについて考え始めたばかりで、
かなり面食らった顔をしている。

 オワタ    :「……俺、りまりまには弁当作ってもらったり、メシつくりに
        :きてもらったり……色々してもらってるから、今度は、俺が
        :……何かできないかな?」

 きょとん、としているりまりま。
 かなり予想外な質問だったらしい。

 オワタ    :「なんでも、いいぜ。俺にできることならさ……ほら、また
        :買い物つきあったりとか、荷物もちとかならできるし」
 りまりま   :「え、きゅ、急に言われても思いつかないけど……うーん
        :……」

 急な話だから、まったく心の準備が出来てないわけで。
 先ほどの台詞にあった、買い物つきあう、その言葉に、意識がかなり引っ
張られる。

 りまりま   :「じゃあ、今度……その、お買い物いくとき……や、やっぱ
        :悪いよ、荷物もちとか。普通に、一緒に行ってくれたらそれ
で!」
 オワタ    :「そ、そう、か? ……うん、また、さ。買い物とかいこう
        :ぜ、俺も……携帯変えたいし」
 りまりま   :「う、うん。そうしよ。それで、あたしもうおなかいっぱい
        :だって」
 オワタ    :「うん……じゃあ、約束、な?」

 いつになるのかわからないが、基本的に休みの日中は空けようと思えば空け
られる。
 それに、二人で出かけることに、なんとも高揚を覚える。
 りまりまも同じようで、急に足をぱたぱたさせた。

 りまりま   :「うん……やばい、今度は、みたい、じゃなくて、ほんとに
        :デートっぽい……」
 オワタ    :「で、で、でぇと……」

 お茶を吹きそうになって、懸命にこらえる。
 そうしたら今度は咽せかけて、目を白黒させて。
 も、もしかしてイヤなのか?
 そう思って、恐る恐る訊ねた。

 オワタ    :「……でーと、みたい、だけど……だめ?」
 りまりま   :「だ、ダメとかじゃないって、ダメだったらダメってちゃん
        :と言うし……ちょっと、考えたら恥ずかしくてー!!」

 ぺちぺちとひっぱたくような仕草で恥ずかしがる。

 オワタ    :「……いや、俺だって、その、嬉しいかな、なんて」

 言いながら、オワタ自身、恥ずかしいことを口走ってる、と思っていた。
 これをうかつに誰かに聞かれようものなら。

 りまりま   :「う、嬉しい……? ほんと?」
 オワタ    :「……うん」

 訊ねる仕草にドキドキする。
 少し上目遣い気味で、見上げるように。
 ブラウスの胸元が大変気になってしょうがない。
 オワタは真っ赤になりながら、どうにか頷く。
 それを聞いたりまりまも、赤くなりながら、訊ね直す。。

 りまりま   :「……よかった……義理とかじゃないよね、ホントに、
        :嬉しいん、だよね?」
 オワタ    :「……うん、嬉しい」

 いろいろな意味で、りまりまから視線を外せない。
 どこか浮かされるような気分のまま、オワタは素直に答えた。

 りまりま   :「……うん、嬉し……あたしも、嬉しい」
 オワタ    :「そ、そう、か……よかった」

 照れ笑うりまりまと、恥ずかしくて顔があげられないオワタ。
 この日も、お弁当を作る約束をした日のように、二人して恥ずかしい気分の
まま、お昼を終えた。


オワタ、教室で
--------------

 無理矢理、どうしても浮かぶ笑みを押さえつけて。
 なんとも珍妙な表情で教室に戻る。
 ニヤニヤしながら戻った日には、5対1の変則タッグマッチになりかねない。
 しっと仮面(リングネーム)め、今度はどんな技できやがるんだ?
 それなりに覚悟を決めて、教室のドアを開ける。

 彼を迎えたのは、しっとに狂ったスワンダイブミサイルキックでも、しっとに
彩られたシャイニングウィザードでもなかった。

 圧倒的なオワタコール。

 オワタ    :「な、何これ」

 さすがに。
 技を極められている状態でのオワタコールなら何度も聞いているが、何も
していない状態でのオワタコールは初めてだ。

 しっと仮面の中の人(中の人など居ないのだが)五人が、がっし、とオワタと
堅い握手をする。

 この瞬間。
 オワタは、先ほどまでの屋上でのひとときを、何らかの形で見られ、知られた
ことを悟る。
 と同時に。
 クラスの男子の心が一つになったことも。


おまけ
------

[Hisasi]  ……おのれオワタ
[Toyolina] 妬まれているw
[Hisasi]  もうすっかりメロってますね

[Toyolina] あざといまでに無自覚に墜としに行ってるリマ子さん
[Hisasi]  無防備狩人
[Hisasi]  恐るべしだわ
[Hisasi]  無防備女が倒せないわ
[Hisasi]  Byニモたん
[Toyolina] 用意周到

[MOTOI]   ふと。
[MOTOI]   ニモっちは橋本末弟と同級ですね
[Hisasi]  です
[Hisasi]  塾が同じ
[MOTOI]   だからどうしたと言われたらそれまでですが(ぉぃ
[Hisasi]  で、ニモたんは国立を受験します
[Hisasi]  家計にやさしく
[Hisasi]  中学でも学費免除はできるのかしらのう
[Hisasi]  学費をなんとかしたいのでオワタもいずれ国立か奨学金もらえる
      私立大を探すのだろう 


時系列と舞台
------------
 9月中旬。


解説
----
 順調すぎるほどに、りまりまにメロってるオワタ。


-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
Toyolina

 ---------------------------------------------------------------------
http://kataribe.com/ 語り部総本部(メインサイト)
http://kataribe.com/ML/ メーリングリストの案内
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/ 自動過去ログ
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/31300/31342.html

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage