[KATARIBE 31236] [HA06P] その一歩を踏み出す為に

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Date: Mon, 6 Aug 2007 17:07:13 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31236] [HA06P] その一歩を踏み出す為に
To: kataribe-ml@trpg.net
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2007年08月06日:17時07分12秒
Sub:[HA06P] その一歩を踏み出す為に:
From:Toyolina


[HA06P] その一歩を踏み出す為に
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登場人物
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 品咲彩友   
 品咲渚    
 蒼雅紫    

紫が帰った後に
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 彩友     :「渚、そこ座りなさい」
 渚      :「う、はい」

 いつもの調子でうん、と言いそうになって、慌てて言い直す。

 彩友     :「……紫ちゃん、ええ子やなあ。ただちょっと……渚の方に、
        :覚悟が足らんのっちゃうかな」
 渚      :「覚悟……」

 先ほどの、紫の言葉を思い出す。
「……縁を切られる覚悟で」
 確かに、そう言っていた。

 彩友     :「そうそう。紫ちゃんのこと、大事に思ってるんはわかっ
        :たし、いろいろ世話焼いたり焼かれたりしてるんやろなっ
        :ていうのはわかったけど。まだちょっとビビってんちゃう
        :かなって、うちには思えた」
 渚      :「ビビってる……んかな……」
 彩友     :「自分と一緒になって、迷惑かけるんちゃうかとか、その
        :せいで紫ちゃんおらんくなるんちゃうかとか、思ってへん?」

「この先、苦労すると思います、言われない言葉をかけられることもあるかも
しれません。ですが、私は本気なんです」
 さらに、紫の言葉が思い出される。

 彩友     :「紫ちゃんはそれでもええって言ってんねんから、渚もさっ
        :さと覚悟決めなさい。もし覚悟出来てるんやったら、それを
        :わかるように、伝わるように示しなさい」
 渚      :「……うん」

 神妙な顔で俯く渚。
 娘が、浮ついた気持ちでいるわけではない。
 それはわかっている。
 同時に、決断に対して臆病になっていることも。

 彩友     :「……にしても、渚、自分、まだ18やろ。血は争えへんのか
        :なあ」
 渚      :「え。なんで?」
 彩友     :「いや、うちが渚生んだん22で大学生んときやで。いくら
        :親子やからって、なあ」

 付け加えるなら、自分よりもさらに早い年齢で。
 結婚なんて話が出てきたことに、血は争えないな、と思ったりもする。

 渚      :「……ママは、そんとき、覚悟とか……出来てた?」
 彩友     :「ん? 覚悟っつーか開き直りっていうか、なあ。そりゃ
        :びびったし、どうしようって思ったし、結婚しますって言いに
        :行ったときなんか、足がくがくやったし」
 渚      :「……ママ、ママが言ったとおり、やっぱり、うちは不安
        :で……」
 彩友     :「またなくすんちゃうかって思っちゃうんやろ?」
 渚      :「うん……うちとほんとに……一緒になって、そのせいで
        :紫が、……傷ついたらって思うとね……うちが、紫を守ら
        :なあかんって、そう思ってるのに」

 思った通り、いろいろ考えすぎてしまっているようだった。
 こうなると、大抵の場合、物事を重く捉えすぎてしまい、身動きがとれなく
なるものだ。

 彩友     :「考え過ぎや、アホ」
 渚      :「あ、アホって……」
 彩友     :「そりゃ、渚は今まで振られっぱなしで、そう考えたらあん
        :まり恋愛にええことなかったかもしれん」
 渚      :「うん……」
 彩友     :「仕事みたいな話になるけどな、なんでもポジティブに考
        :えた方がええねん。あんときあいつに振られたせいで、今、
        :紫ちゃんと一緒にいられるーってな」
 渚      :「……」

 そうは言ったものの、すぐに発想を転換できるほど、切り替えのいい子では
ない。むしろ性質としてはその逆で、何事も大事にしすぎて、引きずってしま
うタイプだ。

 彩友     :「ま、すぐには無理かもしれんけど、一緒になるんやったら、
        :そんなとこでうじうじしてたらあかん。ほんまに紫ちゃんを
        :傷つけるはめになるで」
 渚      :「……そんなんイヤ……」
 彩友     :「紫ちゃんのご両親にお許しもらったときは、ちゃんと
        :気合い入ってたんやろ。それをうちに対してやるだけやんか。
        :うっわ、うちやっさしいなあ。攻略本くれるラスボスなんて
        :見たことないわ」

 少しオーバーめのリアクションで、彩友はふんぞりかえった。

 渚      :「……もっかい、紫と話してからでもええかな」
 彩友     :「当たり前のこと聞くな、アホ。自分のパートナーなんやろ。
        :人生いきてく。最初に頼らんでどうすんの」
 渚      :「……二人がかりでもええ?」
 彩友     :「今日やっといて、今更許可得る気か」
 渚      :「……じゃ、遠慮なく、二人がかりで……行かせてもらいます」
 彩友     :「うん、そうしな。そんで、紫ちゃんを安心させてあげな。
        :なんやったら、目の前で抱き合ったりとかしてくれてもええ
        :ねんで」
 渚      :「だ、抱き合うって、そ、そんなん……」

 するわけないやん、と言い切れない渚。

 彩友     :「今日かて雰囲気怪しかったもんな、最初。めっちゃ固まっ
        :とるように見えたけど、アレってさあ」
 渚      :「し、知らんって! 明日、ママきたらお話せんと、って
        :相談してただけなん! 急に帰ってくるからビックリして
        :ただけなん!」
 彩友     :「はいはい。ごめんごめんわるかったー。うちかて紫ちゃん
        :きてるんやったら、ちゃんとチャイムくらい鳴らしたっつー
        :ねん」

 だいぶ、気持ちがほぐれてきているようだった。
 彩友自身、渚に対して負い目がある。だから、娘の主張に対して、あまり強く
出られないと思っている。しかし、だからこそ。せめて、娘の決断を強固なもの
にしようと考えているのだった。

 渚      :「もう……ママ、ワイン取って」
 彩友     :「お、さすが隠れ飲んでる子は違うなあ。どれくらい飲め
        :るんか、成長をママに見せてほしいわ」
 渚      :「言っとくけど、うち結構強いで」
 彩友     :「お、勝負すっか? 負けたら明日の朝ご飯作るんやで」
 渚      :「お昼も晩ご飯もかけようよ」
 彩友     :「よっしゃ」

 こっそり晩酌してある程度は慣れているとはいえ。
 戦いの年季というものだろう、翌日の食事は三食とも、渚が作る羽目になった。


時系列と舞台
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 八月のある日
 

解説
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 攻略法を教えてくれる優しいラスボスママ。


キーワード(セルフ実験中)
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 みぎゆか
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Toyolina 




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