[KATARIBE 31219] [HA06N] 吹利ちょっと怖い話 その2

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Date: Mon, 23 Jul 2007 14:13:05 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31219] [HA06N] 吹利ちょっと怖い話 その2
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2007年07月23日:14時13分04秒
Sub:[HA06N] 吹利ちょっと怖い話 その2:
From:久志


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吹利ちょっと怖い話 その2
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きった
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 語り手。本宮幸久、葬儀社勤務。

 怖い話ねえ、まあこの手の職業やってりゃ嫌でもあるぜ。まあ俺自身視えす
ぎるっつーか、大抵のもんはこの目で見てるから怖がるもなんもねえし。
 白目を真っ赤に染めて遺影を抱えた母親を遠巻きにじっと見てる小さなガキ
とか、薄く空いた襖の向こうから覗いてる無数の目とか、葬儀の見積もりの間
ずっと窓を叩いてた白い手とか、友人の車選びにつき合ったら異様に安い車の
フロントガラスに髪振り乱したばあさんが張り付いてたとか割と日常だしな。

 しいてあげるならあれだな、二年ほど前にあったこと。
 仕事帰りに道歩いてたらなんか泣いてるガキがいて、もちろん生きてるぜ?
何で泣いてんだよっつったら、霊柩車見て親指かくさなかったから母親が死ぬ
ってさ、しょうもねえ迷信だとか思いながら、こう指をきったできってやった
んだよ、まあおまじないみたいなもんでさ切ればチャラみたいな奴、昔は俺も
よくやってたぜ。んで、ガキも機嫌直してそんときはそれで終わったんだけど。
 それから一週間ほど後にまた外回りの帰り道を歩いてたら、誰かに袖を引か
れたんだよ、くいくいって。見たらこないだのガキでまた切ってくれってさ。
そんとき、妙なことを言ったんだよ「今度は無視しなかったね」って。何のこ
とかと聞いたらそいつ曰く「だって昨日おにいさん僕の家の前にいたよ」って。
前日はオフで当時友人だったカミさんに付き合わされて出かけてたから人んち
の前にいた記憶なんざねえし、人違いじゃねえかって。

 で、その三日後。
 急な仕事で早朝で……まあ、わかるよな。
 現地に向かう車の中でFAXで送られてきた仏さんの写真。

 そのガキだったんだ。

 で、到着して外で待っていたご家族に挨拶しながらふと思い出してると。

 誰かが、俺の袖を引いた。

 だが、振り向いた先には誰もいない。

 さすがにちょっと薄ら寒いもんを覚えたな、あんときは。
 まあ、あれだ、見えないもんのほうが怖い。


物静かな話し相手
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 語り手。薗煮広矢、警察官。

 わはは、怖い話? まあ……この職業年がら年中おっかない話は満載だぞ。
 生きてる輩の方がよっぽど怖いのはどこもかわらん。

 まあ、そうだな。県警に入って交番勤務の頃だなぁ……ある事件で、現場に
駆けつけて場所を見張ってた時か。
 当時は辺鄙な交番だったものでな、事件発生で真っ先に駆けつけて署の連中
の到着までの間の現場保存の為にその場で待ってたんだ。
 まあ先着というか、その場には当事者がいて俺はその人と一緒に応援が到着
するまでの間二人きりで待っていたわけだ。何分夜も遅い時間で俺も手持ち無
沙汰だったんでな、ひたすらその場に居た人に戦隊モノと特撮について熱く語
っていたんだが。
 応援が到着して、鑑識と入れ替えになった時に……どこからともなく『面白
かったよ』と、聞こえてなぁ。まあ、ここまでは何の変哲もない話だな……
不審死の現場保存、とうところ意外は。

 うむ、まあ、面白かったならよし、そうしておこう、うん!


トクさんの湯のみ
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 語り手。本宮和久、警察官。

 怖いというわけじゃあありませんが、不思議な話は結構経験があります。
県警に入ってからも割りとありますね。それと何気に警察はゲンを担いだりす
る人やジンクスを信じている人は多いように感じます。
 そんな県警の中でも有名なのが『ホシ割れの湯のみ』こと徳島さんの噂です。
 徳島さん、通称トクさん。かつて吹利県警刑事部に所属していたれっきとし
た警察官です。現在は定年を過ぎて生活安全部指導員として若手の育成や少年
指導を行っています。
 ここで不思議なのはトクさん本人ではなく、トクさんが使っている湯のみの
ことです。といってもどこにでも売っていそうな何の変哲もない湯のみで底に
油性ペンでトと書いてある以外はなんらおかしな所はありません。

 この湯のみが偶然割れる時、行方の知れない犯人(ホシ)が割れるという。

 嘘のような話ですが、いままでの事件と湯飲みが割れたことに関わる記録は
不思議なほどに一致するそうです。ある意味予知や虫の知らせの一種ではない
かとまことしやかに囁かれているほどです。
 実際、噂だけでなくつい先日、迷宮入りと噂されていた西生駒市の連続殺人
犯が逮捕されました。

 その犯人逮捕の前日。トクさんの湯飲みを誤って割ったのは……俺でした。


時系列と舞台
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 2007年7月
解説
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 各々のちょっと怖い話OR経験を語るの図。
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以上。



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