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Date: Sat, 30 Jun 2007 23:31:04 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31187] [HA06P] 『蒸し暑い日には』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200706301431.XAA38769@www.mahoroba.ne.jp>
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Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
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2007年06月30日:23時31分03秒
Sub:[HA06P] 『蒸し暑い日には』:
From:ごんべ
ごんべです。
実話というか(汗)
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エピソード『蒸し暑い日には』
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発端
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梅雨と真夏の狭間。
狭間と言うより、最近はそれがごった煮になってまとめて来ている年ばかり
に思えてしょうがないのだが。
葛海 :「今日は蒸し暑いねー(汗)」
珊瑚 :「…………ふー…………」
深い息をつく珊瑚。珍しい。
葛海 :「え……珊瑚ちゃん……大丈夫?」
珊瑚 :「……ちょっと水を飲んでくるわ」(ふらふら)
葛海 :「う、うん、気をつけてー(汗)」
思わず気をつけろと言ってしまう葛海であった。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い
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そして水道の蛇口の前で。
珊瑚 :(ごくごくごくごく)
:……ぷしゅー
補給した水を目に見えない体表の微細な穴から、気化熱を逃がすために水蒸
気にして放出する。もっとも水蒸気も目に見えないので、服や周囲に付着した
ら水に戻り、汗にしか見えない。言わば人工汗だ。
珊瑚 :「……湿度が高すぎるとうまく冷えないわね。今まであま
:りこんなこと無かったのに」(ふらり)
昼前の体育が原因か、とか、教室にずっと座ってなければいけないからか、
とか、思ってみたり。
それにしても(4年ほどしか経験はないが、過去の資料などと比べても)、
年ごとに気候がおかしくなっているとも思うほど。気温も今日も7月を前にし
て30度は超えるだろう。この湿度で。
夏澄 :「うわ、珊瑚ちゃん、すごい汗だよ(汗)」
珊瑚 :「あ、気にしないで。水飲んだところだから」
夏澄 :「あー、水飲むと一気に汗とか噴き出すんだよねー」
まさに直結しているとは、人には言えない。
――ぺた。
珊瑚 :「……ん」
髪の毛が額や頬に張り付くのに気付く。
珊瑚 :「邪魔ね……」
文字通りの意味、かつ、人工汗の気化をも阻害する、などという考えが、珊
瑚の電脳を走る。
実際のところ、人間のような汗成分や油脂分が無い上に気持ち悪いと思う発
想も無いはずだから、まだマシだろうと思うのだが。
珊瑚 :「……髪、切ろうかしら」
夏澄 :「えええー!?」
夏澄の声に、周囲のクラスメイト数名が一斉に反応する。
女子1 :「えー、もっと短くしちゃうの!?」
:(※ そんなに短くもないが)
女子2 :「霞原さんなのに意外ー」
:(※ どういう意味か訊くべきだろうか)
夏澄 :「え、あの、ホントに、何かあったの!?」
珊瑚 :「暑いし。切るわ」
……なぜそこまで意味もなく決意が固いのだろうか。
陽の場合
--------
珊瑚 :「……という訳なのだけれど」
陽 :「俺は、今のままの珊瑚の方が良い」
珊瑚 :「……どこも変わらないわよ?」
陽 :「髪型が変わる」
珊瑚 :「文字通りね(汗)」
実際には陽も、見た目が変わられると識別に多少困るとか、その程度の理由
のはずなのだが。
陽 :「俺の記憶の中の珊瑚の髪は、いつもそう言った髪型だっ
:た。それ以外の珊瑚は考えられない」
珊瑚 :「機体情報や最近記憶で補正すればすぐ順応できるわ」
陽 :「だめだ。記憶に補正をかけることを考えれば、そのまま
:の珊瑚でいてくれる方がいい」
珊瑚 :「いつまでも同じ外見とは限らないのよ? 変わることも
:戦術の一つとして対応できるようにしなければ」
陽 :「でも今はその必要はない」
珊瑚 :「……こだわるのね」
陽 :「アイデンティティの一種でもあるじゃないか」
珊瑚 :「あまり私はこだわってはいないわ」
陽 :「俺はそう思ってる」
珊瑚 :「あんまりそうでありすぎても潜伏活動の時に覚えられ易
:すぎて困るのだけれど」
つまるところ、思い出を大事にしたいらしい陽であった。
ドクターの場合
--------------
ともかく、髪を切るにしてもだいたいの手法や発生する問題などを尋ねるつ
いでに、ドクター・クレイに切ることのお伺いを立てる珊瑚であったが。
ドクター・クレイ
:「そんなことをしたら、後で伸ばしたくなったときに全て
:植毛し直しではないかっ!」
珊瑚 :「……随分現実的な理由で、多少安心しました」
ドクター・クレイ
:「もちろん。そのハイティーンタイプ義体を製作するとき
:にも、ベストの成果を上げるまでに全て自動化してすら新
:吉君と二人で3日かかったのだ」
珊瑚 :「お疲れ様でした」
ドクター・クレイ
:「そして、きっと後からすぐ伸ばして欲しくなるに決まっ
:ておるのだ」
珊瑚 :「誰がですか」
ドクター・クレイ
:「私がだっ!」
珊瑚 :「……そうですか。(そう言えば、民子さんもセミロング
:だったわね(はぁ))」
つまるところドクターは、ショートはお嫌いらしい。
結局は
------
夏澄 :「あれ、珊瑚ちゃん、アップにしたんだ?」
結局、ゴムバンドやらカチューシャを動員し、長くはない髪をわざわざアッ
プにして額と首筋を出している珊瑚。
よっぽど、おでこやうなじに髪が引っ付くのが嫌だったらしい。
珊瑚 :「切ろうかと思ってたんだけど。でもこれでも、そのまま
:の長さよりはマシかな、と思って」
葛海 :「前にも一度そうして来てた日あったよねー。似合ってる
:ぞ、それも」
珊瑚 :「……ありがとう」(内心ちょっと嬉しい)
結局野郎ども二人の反対で、髪を切ることはうやむやにされてしまった珊瑚
であった、のだが。
ドクター・クレイ
:「そんなことをしたら、生え際に負荷がかかって抜けてし
:まうではないかっ!」
珊瑚 :「抜け毛は一昨年までで慣れてます。それに、結構しっか
:りした植毛だったので問題にはなりませんでしたが?」
ちゃんちゃん。
(完)
時系列
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2007年6月末、梅雨真っ盛りの蒸し暑すぎる日のこと。
解説
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不快指数は全種族の共通言語であるというお話。
……もとい。
体温が下がらない理由を湿度の高さに求めた珊瑚が、言いがかり的に自分の
髪の毛にけちを付ける話。
女性も必ずしも好んで髪を伸ばしているわけではないと申しますが、伸ばし
て欲しがるのはいつの世も……。
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いじょ。
というわけで、加筆・修正・訂正・指摘・割り込ませたいシーン、等々
ありましたら遠慮無くやっちゃって下さい。
ではでは。
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ごんべ
gombe at gombe.org
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