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Date: Thu, 28 Jun 2007 15:53:40 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31180] [BZ01P]エピソード『父から子へ』
To: 語り部 <kataribe-ml@trpg.net>
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液体窒素です。
春、新縁具ゲットのためのエピを。
登場人物
・嘉納春:長光現当主
・メイ:春の縁具
・嘉納貞道:春の父
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掃除屋『ちょーこー』の事務所も兼ねた嘉納宅。
そこにある和室に3人の男女が正座している。
一人は長光現当主・嘉納春。
一人は春の縁具・メイ。
そしてもう一人は春の父親であり、先代の長光当主・嘉納貞道である。
神妙な面持ちで座る3人。
そんな中、貞道が口を開いた。
貞道: 「突然呼び出してすまなかったな」
短い白髭をたくわえた紺の浴衣姿である貞道は、鋭い目つきで春の目を見なが
ら重々しく言う。
がっちりとした体格、厳格な雰囲気と相まって、どこかの組の組長やってます、と
言えば信用してしまうだろう。
春: 「いえ。それで父上、ご用件はなんでしょう?」
服装、アクセサリの類普段どおりだが、口調は改まっており、いつもの軽薄な雰
囲気は微塵も見えない。
対して、隣に座っているメイは先ほどから緊張しまくりである。
メイ: (こ、これがシュンくんのお父様… お会いするのは初めてだけどこんな厳
格な人だったなんて…)
そんなメイを貞道をちらりと眺め
貞道: 「うむ。実は…」
ごくりっ、と唾を飲む音が聞こえた。自分かもしれない。
貞道: 「……だー、もうダメだ! やっぱこういう堅苦しいのは好かねぇな」
春: 「あ、やっぱり? 僕もダメ。うわ、ちょっと足しびれてるよ」
そう言って二人はガハハハ、ケラケラと笑い出し思い思いに楽な体勢で座りなお
した。
メイ: 「……はい?」
目が点になるメイ。ガシガシと頭を掻いている貞道からはさっきまでの雰囲気は
全くない。
春: 「そういえばメイは会うのが始めてだっけ。これが僕の親父」
貞治: 「おい、春。親に向かって「これ」って言うんじゃねぇよ」
そう言う貞道はしかし、特に気にした様子はない。
春: 「で、僕を呼んだ用件って?」
貞道: 「ああ。大した事じゃないんだねぇんだけどな。お前、『長光』の当主になっ
て今日で1年経ったろ?」
春: 「そうだっけ? 覚えてないや」
貞道: 「1年経ったんだよ。んで、長光ってか嘉納家の家訓として、当主が変わっ
て1年経ったら前当主は現当主に1本、刀を打たなきゃなんねぇんだよ」
春: 「初耳だね。代交代のときそんなこと聞かなかったよ?」
貞道: 「何のことはねぇ、俺もつい二ヶ月前まで忘れてた」
ガハハハと笑う貞道。
春: 「そんな大事なこと忘れないでよ…」
貞治: 「気にすんねぇ。それにちゃんと打ってきてやったんだからよ」
そう言って貞道は奥の襖に声をかけた。
貞治: 「おーい、ついおー」
するとガラリと襖が開き、一人の女性が現れた。
春: 「? 刀じゃないじゃん」
貞道: 「アホ。縁具だよ。名前は鎚王。どうだカワイイだろ?」
ニヒヒと口を吊り上げて笑う。
春: 「まったく…」
春は言う。
春: 「グッジョブ」(親指をぐっ、と立てて
貞道: 「おう」(同じく親指を立てて返す
メイ: 「ちょっとシュンくん!!」
隣で黙ってやり取りを聞いていたメイが声をあげた。
春: 「ん? どうしたメイ?」
メイ: 「どうしたじゃないよっ お父様が刀をシュンくんにあげるのは別にいいけど、
それが縁具でしかも女の子なんて、私ヤダよっ!?」
春: 「なんで?」
メイ: 「な、なんでって…」
(だってだって、シュンくんがあれと契約したら、私も変わっちゃうかもしれないし、
そしたら私の今の気持ちも…!)
勢いで立ち上がったはいいものの、いざ理由を問われれば、言えない。
メイ: 「と、とにかく、私は反対っ 私とシュンくんが組めば全然平気!」
ぷいっ、と顔を背けてしまった。
春には何がいけないのかわからない。
貞道: 「何、心配することはねぇ。あいつはどうも自我が薄くてな。仮に春のやつ
が契約しても、メイちゃんの意思は普通に残るぜ」
さっきのやり取りに何かを感じ取ったのか、貞道が説明する。
メイ: 「で、でも…」
貞道: 「何だい、新しい力手に入るんだぜ? 春の力になれるってのにそれがイ
ヤなのかい?」
そう言われれば何も返すことはできない。
春はメイが(しぶしぶ)納得したのを見て、貞道作の刀・鎚王と契約した。
結局、貞道の言うとおり、メイに性格上の変化はなかった。
ただ少し、以前より純粋な「パワー」が増えただけ。
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時系列
・初めてのナインゲイツに出場した次の日。嘉納宅にて
解説
・春、新縁具を入手。
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