[KATARIBE 31163] [BZ01P]エピソード『褐色の女教師』

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Date: Tue, 26 Jun 2007 16:45:13 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31163] [BZ01P]エピソード『褐色の女教師』
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ども、ナギィです。
新キャラ作ったので、それの紹介エピを投下!
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エピソード『褐色の女教師』
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登場人物
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河合草菜(かわい・そうな):かわいそうな子。学院の生徒。
ミフネ・S・ウェブリー:褐色の肌の音楽家。学院の非常勤講師。

ぴ〜ひゃらら
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 中洲童門学院は、芸能に特化した学校でもある。
 特区から出られない縁主にとって、作品を外に輸出できる技術は重要である。
 その為に、学院には多くの非常勤講師が集い、生徒たちを指導している。
 だが、どんなに指導を受けても、トロい子は存在するもので。
 河合草菜も、そういう生徒の一人なのだった。

 草菜     :「ええと、こうやって、こう、こうかな?」

 放課後。学院に複数ある練習室の一つで、草菜は一本の笛と格闘していた。
 個室のような練習室。草菜は一人、リコーダーに指を這わせ、吹く。

 SE     :ぴょろ〜。

 草菜     :「うう、やっぱりダメです」

 基本的に、草菜は手先が不器用だ。それに加え、自分に自信もない。
 自然、音はすぼまり、それが更に気を重くさせ、後は繰り返しである。
 リコーダーのテストは明日。どうにかしないと、大目玉を食らってしまう。
 はああ、と凹んだ瞬間。ふと、背後に気配を感じた。

 ミフネ    :「……」
 草菜     :「い! み、ミフネ先生、いつの間に」

 返ってくるのは沈黙。そして、困ったような視線。
 ミフネ・S・ウェブリーという音楽教師は、不思議な女性である。
 非常勤教師である彼女は、管楽器を主に教え、自身もプロの音楽家だ。
 だが、極端にシャイな性格のミフネは、あまり自分の事を話したがらない。
 褐色の肌とエキゾチックな顔立ちもあって、彼女は学院でも浮いていた。

 ミフネ    :「……」
 草菜     :「あ、あの、何なんでしょうか」

 返事はない。ただ、ミフネの視線は草菜の手に向いている。
 もしかして。恐る恐る差し出したリコーダーを、ミフネが受け取る。
 す、と自然にリコーダーを構えたミフネは、深く息を吸い。

 SE     :フィィィィィィィィイ。

 草菜     :「わ。綺麗な音……」

 たった一音。それだけで虜になる。
 彼女は続けて、滑らかに手を動かし、一本の棒から様々な音を奏でる。
 その指の素早さ、正確さは流石にプロのもの。何より、音が心地よい。
 気持ちいい。謎の先生に対する怯えなど、この音の前には消え去ってしまう。
 心の赴くままの演奏が、何分間続いただろうか。ミフネの指が止まった。

 ミフネ    :「……ハイ」
 草菜     :「え、はい?」
 ミフネ    :(こくり)
 草菜     :「あ、えっと、吹く、んですか?」
 ミフネ    :(にこり)

 どうやら、そういうことらしい。
 返されたリコーダー。ゆっくりと、その先に唇を当てる。
 そのとたん、ミフネが音もなくさっと動き、草菜の背後に回った。
 背中から伸ばされる腕。草菜の指先にそっと触れ、押さえ位置を直す。
 ぴったりとくっついたミフネ。胸の柔らかさ、指の温かさ、静かな息遣い。

 草菜     :「(な、なんだろ。ドキドキする)」
 ミフネ    :「吹いて」
 草菜     :「は、はい!」

 内心の動揺を押し隠し、草菜は、リコーダーに息を吹きかけた。

 SE     :フィ。

 草菜     :「あ」
 ミフネ    :「もっと」
 草菜     :「あ、は、はい」

 SE     :フィ。フィ。フィィィィィイ。

 涼やかな麗音。草菜の目が、驚きに見開かれる。
 耳元で、うん、という呟き。背中の柔らかさが、そっと離れて。

 草菜     :「あ……」
 ミフネ    :「ん?」
 草菜     :「い、いや、何でも!」
 ミフネ    :(にこり)

 満足げに笑って、練習室を出て行くミフネ。微かに、甘い残り香が漂い。
 彼女の姿が見えなくなった瞬間、草菜はくたりとしゃがみこんだ。

 草菜     :「(や、やばい。あの先生、色んな意味でやばいです!)」

 止まらぬ鼓動を抑えつつ、今度からは本当に一人で練習しようと誓う草菜。
 だが、背中の温もりを忘れるには、しばし時が必要なのだった。

時系列と舞台
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 放課後。中洲童門学院の音楽室。
解説
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 リコーダーがどうしても吹けない草菜。それを見かねたミフネ先生は……。
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……あれー?
何か想像以上に妖しくなってしまった気が。でもまあ、いいか(ぉ
ともかく、ミフネ先生をどうぞよろしく。それではー。 

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