[KATARIBE 31153] [BZ01N] 『『ツンデレ妹登場』

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Date: Mon, 25 Jun 2007 20:05:39 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31153] [BZ01N] 『『ツンデレ妹登場』
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三毛山です。
ぬいぐるみ屋の店長の妹に関するお話を書いてみました。
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『ツンデレ妹登場』
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登場人物
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 吉祥寺天子(きっしょうじ・てんこ):ツンデレおせっかい妹。
                   おまけにブラコン。
 吉祥寺歩(きっしょうじ・あゆむ):ぬいぐるみ屋の店長。
                  シスコンじゃない……と思う
 ポー:でっかいクマのぬいぐるみ。
    天子がやたらつっかかってくる。

妹登場
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 ある日の昼下がり、歩が経営するぬいぐるみ店の前に一人の凛々しい少女が
立っていた。
「ここがお兄様のお店ですわね」
 女子高校生であるだろう制服に身を包み、何か長い棒状のものが入った布袋
を肩に担いだその子は、お店の前で軽く呼吸を整えると意を決したように店の
中へ入っていった。

 一方その頃、店の中の歩とポーはというと、歩はカウンターに突っ伏して、
「ねむー」と呻き、ポーは陳列棚のぬいぐるみ達を何か頷きつつ整えていた。

カランカラーンと扉についたベルが揺れて鳴る。

「いらっしゃいませー、ぬいぐるみの店吉祥寺へようこそー」
 いつの間にか、突っ伏していたはずの歩が玄関のところまでやってきて営業
スマイルを浮かべていた。

「ごゆっくり店内をご覧下さいねー」
そう言いながら、歩は中へと促す。
「お兄様、私です」
少し躊躇いがちに言う少女。しかし歩はピンと来なかったらしく、
「えっとー……。いきなりお兄様とかは照れるなあ。ああでも呼んでくれても
いいんですよ? 今日から貴方のお兄様になりましょう、ええ」
「お、お兄様。それは何かのご冗談ですか……?」
「え?」
少女のただならぬ様子に何かひっかかる歩。しかし、思い出せない。
「えっと、どこかでお会いしましたっけ……?」
「お兄様、私(わたくし)天子です。貴方の妹の吉祥寺天子ですっ!」
「え……あーっ! 天子か。ごめんごめん。しばらく見ない間に大きく
なったね。お兄さん全然気づかなかったよ。あははは……」
笑ってごまかす歩。ちなみに、歩が一番最近天子とあったのは今年の正月のこ
とである。
「ま、まぁ、お兄様は昔からそういう方ですから、私はほんのちょっぴりしか
気にしておりませんわ」
「あ、うん。ありがとう」
そしてしばし流れる沈黙。それを破ったのは、今まで二人のやりとりを無視し
て作業をしていたポーだった。
「どうでもいいけどよ、何しに来た妹」
「貴方には関係ありませんわ。私はお兄様にお話があるのです」
「じゃあ、さっさと話してさっさと帰れ。商売の邪魔だ」
「ちょ、ちょっとポーさん。そんなに冷たい事言わなくても」
「はん。貴方に言われる筋合いはありませんわ。ぬいぐるみはぬいぐるみらし
くもうちょっと愛らしさを振りまいたらどうですの?」
「ふん」
「うーん……」
思えば、天子とポーは昔から仲が悪かったなあと思い返す歩。
「とりあえず、二人とも言い合いはやめて。えっと、それで天子は今日は何し
に来たんだ?」
「今日は、お兄様に吉祥寺家に戻り家を継いで頂くよう説得しに参りました」
「えっと、言った筈だよ? 俺は家は継がないって。天子が継いでよ。俺よ
り実力あるんだしさ」
「いいえ、そうは行きません。代々吉祥寺の当主は長兄が継ぐしきたりです。
私達の代でそう易々と変えるわけにはいきませんわ」
「えー。だって、父さん母さんは良いって言ってるじゃないか」
「いいえダメです。お爺様も反対していらっしゃいます」
「むー……」
「どうしてもダメ?」
「ダメです」
「一応、お店経営してるわけだから、さすがに家業と二足の草鞋は出来ないんだが」
「では、辞めて下さい」
「いや、さすがにそれは……」
「おい妹、無茶言ってんじゃねえ。つうか帰れよ」
「いいえ、帰りません」
「困ったなあ」
天子は昔から言ったことは絶対に曲げない子なのだというのを歩はよく知って
るので、どうしたものかと悩んでると、電話が鳴った。
 「もしもし、ぬいぐるみの店吉祥寺ですが」
 「おう、歩か。天子がそっちに行ってないか?」
その声の主は、歩と天子の父であった。
 「ああ、父さん。天子来てるよ」
 「すまんなあ。私も止めたんだが。きっと頑としてお前の言う事聞かんのだ
 ろう?」
 「そうなんだよ、一体どうすれば……」
 「うーん、そこで考えたんだが、一部でいいんだが掃除屋の仕事をやってく
 れんか? 一応、親族への面子もあるからな。お前の仕事に支障のない程度
 でいい。」
 「まあ、それも悪くはないけど……わかったよ、そこら辺で手を打っておく」
歩が電話を切ると、天子とポーはまだ何やら言い合いをしていた。
「まったく、貴方は縁具のくせにどうして私に逆らうのですかっ」
「いかにも俺は縁具だが縁主はお前ではない。何故俺がお前に従う必要がある
よ?」
「はい、ストップ。天子にポー、今俺父さんと話してたんだが、掃除屋の仕事
をある程度手伝う事になったからよろしく」
「「えっ?」」
二人の声が重なる。どっちも意外だったらしい。
「んで、天子。詳しい事は父さんに聞け。そろそろお客さんも来るから。な?」
「わ、分かりました。では、お兄様……」
「えっと、継ぐか継がないかは分かんないからな。そこらはまた、おいおい」
「は、はい……」
天子は、少し納得いかない顔をしていたが、しぶしぶと帰っていった。
しかし、歩は知らなかったのだ。これから自分の身に起こることなど。



時系列と舞台
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時系列で言うと、2007年で、渉くんを雇った後ぐらい?

解説
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妹登場。店長さんもいろいろ大変なようです。
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以上、妹はこんなPCです的小説+店長の方の縁具集めのほうの動機作りで
した。
ちなみに伏線ぽくなってる記述は全部どうするか決めてないだけです(笑
念のため。
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