[KATARIBE 31138] [BZ01N]数山先生のお説教

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Date: Sat, 23 Jun 2007 19:30:15 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31138] [BZ01N]数山先生のお説教
To: 語り部 <kataribe-ml@trpg.net>
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液体窒素です。
学校の設定が決まったので書いてみました。


登場人物
・水夜叶:中州門童学院高学部の生徒
・数山幹男:中州門童学院数学担当教諭

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(ヒマだぁ〜)

ここは中州門童学院。
中州内にある一貫校である。
そんな学校の高学部のあるクラスで数学の授業が行われていた。
教えているのは数山幹男(46歳・独身)
教師暦20年の彼は薄い髪と、少しメタボリックな感じの体系になってきたのを密かに(すでに周知のことだ
が)憂いているうちのクラスの担任でもある。

「…であるからして、この範囲におけるこの二次関数の最大値は…」

カッカッカッカッと眠気を誘っているとしか思えないリズムを奏でるチョークの音と
、そのチョーク音の効果を高めるためとしか思えない呪文のような説明が狭い空
間を支配していた。
クラスの大半は数式よりももっと強大な敵と戦っていた。
そして、

(うー、どうやらアタシにも強大な敵の魔の手が迫ってきたみたい…)

水夜叶もそんな一人であった。
初めは窓の外を眺めたりして、ごまかそうとしていたが、5分と経たないうちに単
調な景色飽きてしまい、今ではシャープペンの先で腕や手をツンツンして強大な
魔の手に抗戦している。
時計を見れば授業が始まってからまだ30分しか経っていない。
経った30分でクラスの大半を無力化するとは、数山幹男、侮れない男である。

(ダメだ負けそう…)

みんなもダメみたいだしアタシも… あんな数式いじるよりカッターいじった方が
楽しいのに…

そうして彼女の意識は闇に溶けてゆき……

……コツ
……コツコツ
……コツコツコツ

(…あーうー、アタシの快眠を妨げるフラチなヤカラは誰じゃぁー)

闇から生還した叶は、突っ伏していた体を起こして、文句の一つを言おうと顔を上げ

「うげっ、ミッ……数山先生…」

そこには左手に開いた教科書を持ち、右手に指示棒を持った数山が立っていた。
えっ? と時計を見れば最後に見たときから40分が経っており、板書の内容も見覚え
のないものに変わっていた。
さらにクラスメイトたちを見回すと、みんな背筋を伸ばして起きており、叶に向かって「
なに寝ちゃってるのさ」という表情で叶を見ている。

(う、うらぎったなあぁっ…!)

おそらく、先生が注意し始めるとき、睡魔の魔の手に勝利した、あるいは逃れた人が
手助けをしたのである。
しかしその手助けは叶には回ってこなかった。
何故か。
数山先生は説教が長い。
つまり誰か一人が犠牲になれば授業は進まず、先生の注意もそちらへ向く。
その間に寝ていた人間は起きていたから人間から数学の極意が記されたノートを写
すなり、ひそひそ話しでひと時の憩いの時間を楽しんだりできる時間が作られるので
ある。
つまり今回、叶はそのための生贄に選ばれたのであった。

(うぅ… 何故こんなときだけうちのクラスは団結力があるんだっ)

叶と目を合わせた学友は、不自然に目を逸らすもの者もいれば、「すまんな」と返し
てくる者もいた。

「ずいぶんと気持ちよさそうだったな、水夜君。確かに今日は天気も良く心地よい。し 

かし私が君と同じ年の頃には……」

(でたっ、ミッキー節)

彼が「私が君と同じ年の頃には…」と始めると、大抵10〜20分は止まらない。
ちらりと彼女が辺りを盗み見ると、「よしっ」と言わんばかりに小さくガッツポーズを取
る者がいた。

(おのれ〜〜!)

「つまりだな、心身共に… ん? 聞いているのかね?」
「は、はいっ、もちろんであります、サー!」
「ふむ。つまりだ、君には…」

そしてたっぷり15分後。

「…ということだ。わかったかね?」
「はい、よーくわかりました…」

(や、やっと終わった… うなだれていたから首イタイ…)

しかし、本当の恐怖はこの後に来る。

「では、この問題集の82ページの問題の1、3、4、6、7番を明後日の朝までにノート 

に書いて提出するように」
「え… せ、先生こんなにはちょっと、キビシイんじゃないかな〜なんちゃて…」
「数は多いがどれも基本的な内容だ。もしわからなかったら友達に聞くか、私のとこ
ろまで質問にきなさい」

(何が基本的な内容よっ バッチリ上に『応用問題』って書いてあるじゃん!)

これがいわゆる「特別課題」である。
長いお説教は耐え切ればいいだけだが、これはそうもいかない。
やってこなければ、職員室で再び長いお説教が待っているだけである。

「む、あと5分か。予定よりは進めなかったが、教科書の内容としてはキリがいいの
で今日はこれで終わりにする。今日習ったところは重要な部分だ。くれぐれも復習を
忘れないように」

そう言って教壇に戻った先生はテキパキと荷物をまとめると教室を出て行った。
今日の授業はこれで終わりである。
「うっしゃー」「水夜、さんきゅー」「終わったー」「叶、ありがとねん」など口々に言って
教室を出て行く学友達。
叶は立ち上がる力すらないのか、また机に突っ伏して呟いた。

「………もう、ヤダ…」

こうして叶の今晩と明日の予定が課題との格闘に変更されたのであった。

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時系列
・ある平日で、場所は中州門童学院の高学部の教室

解説
・数山幹男先生登場。お説教はきついです。 


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