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Date: Fri, 22 Jun 2007 20:59:50 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31131] [BZ01P]エピソード:『焔と刺客と黒い蟻』
To: <kataribe-ml@trpg.net>
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ども、ナギィです。
投下するかどうか悩んだんですが、一応。焔で戦闘させるとこうなってしまう……。
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エピソード:『焔と刺客と黒い蟻』
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登場人物
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海岡焔(うみおか・えん):フェロモン料理人。色々狙われてる。
Sな刺客:海岡一族を狙う一派の刺客。外見は女王様。
蟻王と女王
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中洲の夜は、夜というほど暗くない。
元々、九州の不夜城として有名だった中州である。夜は昼よりも明るいのだ。
そんな中州にも、暗い陰はある。焔の家へ向かう道も、そういう場所だった。
焔 :「ふいー、今日は疲れたとよ」
焔の働く屋台『夜空』は、中洲で一二を争う有名屋台である。
店主が腕利きの縁主という事で、集まる縁主も個性豊か。そして騒がしい。
今日もまた、そんな縁主たちの相手をしつつ、料理の腕を振るったのだが。
焔の足取りが、ふと止まる。下げていた視線を上げ、彼女は目を細め。
瞬間、布を裂くような鞭の音が、中洲の闇に鳴り響いた。
焔 :「なんばしよっとね」
Sな刺客 :「フフ。貴方が来るのを、ずっと待ってたわ」
ゆらり。かすかな灯りの下に浮かび上がる、肉感的な肢体。
ボンテージファッションに紅の鞭。正に“女王様”な女が、ニヤリ笑う。
焔 :「善良な一市民にこげな人が何ば用とね」
Sな刺客 :「海岡焔。海岡一族の現当主の愛娘……」
焔 :「海岡の家とあたしは関係なか。そげん話は兄に」
かすかな違和感に気づいた時、既に敵は背後に居た。
振り返りかけた焔。その右半身に水流が叩きつけられる。
破壊的な圧力。たまらず吹き飛び、焔は激しく尻餅をついた。
焔 :「ぐあ!」
王蟻 :「ギィィィィイ」
六本の脚を蠢かせ、灯りの下に現れた一匹の蟻。
鋭い牙を覗かせる蟻の胴は、焔の背よりも長い。
女と蟻。それが刺客の姿と理解し、焔は目を細める。
焔 :「手荒な事はしたくなかけど、仕方なかね」
Sな刺客 :「可愛い子。勝てないくせに強がっちゃって」
焔 :「それはどやろ。海岡流猟理術を舐めちゃあかんよ」
Sな刺客 :「ふふ。そうだと思うなら、立ち上がってみれば?」
焔 :「そげんこと言われんでも、今立ち上がって」
SE :ぼろっ。
焔 :「きゃあ!」
思わず胸をかき抱いた焔の上半身。体を覆う服は、ぼろぼろに崩れている。
焔の頬から、蟻が吐いた水が滴り落ちる。次の瞬間、ブラの肩紐が崩れた。
焔 :「く、この、卑怯者!」
Sな刺客 :「うふふ。恥ずかしがる女の子、可愛くて大好き」
焔 :「ふ、ふん。どうせ暗闇やん。こんな服なんて無くても」
精一杯の強がり。服を抑えていた腕を外し、焔はぐっと膝に力を入れる。
その瞬間、焔の上半身がガクンと地に落ちた。
焔 :「な、うあ」
Sな刺客 :「蟻酸は服だけじゃなく身体も侵すの、残念だったわね」
にんまりと笑う女の前で、焔は大地に跪く。水を受けた腕や肩が重い。
頭を落とし、尻を突き出した姿は、まるで女王に鞭を請うような格好。
焔の羞恥が、女には極上の余興らしい。鞭が地を叩き、蟻が牙を鳴らす。
Sな刺客 :「さあ、ゆっくりと料理して、縁具を頂くわ」
王蟻 :「ギィィィィィィィイ!」
牙を大きく開いた蟻が、焔へ少しずつ近づいていく。ゆっくり、着実に。
蟻の接近を止める術を、焔は持っていない。ただ、じっと時を待つ。
そう、時を待っていたのだ。そして、その瞬間は訪れる。
焔 :「今だ、奔焔!」
Sな刺客 :「しまった、縁具を」
焔の鎖骨に広がった契印。それが紅の光を発し、胸から腹を覆う。
縁具“炎艶調布”を呼び出した焔。その効果に気づき、女が鞭を唸らせる。
だが、時既に遅し。逃げ出せない距離まで近づいた蟻が、牙を開いた瞬間。
焔 :「あハン♪」
焔の縁具。その能力は、自らの“艶気”を火炎へと変える力。
女が悦ぶほどの艶姿、艶気は空に満ちている。それが全て、一気に爆破した。
SE :ごおおおおおおお!
焔の周りを取り囲み、路面を吹き飛ばす炎。もちろん、蟻も例外ではなく。
王蟻 :「ギィィイィィイィィィイイイイ!?」
爆風にひっくり返された蟻。その足が空をかき、やがて動かなくなる。
王蟻 :(こんがり)
Sな女王 :「はあ、はあ。よ、よくも」
焔 :「それはこっちの台詞たい。お気に入りの服!」
がし。大地を掴み立ち上がろうとする焔の目に宿る、強い怒り。
加虐的なはずの女の顔に、一瞬広がる怯えの色。その後の反応は素早かった。
Sな女王 :「仕方ない、一時撤退!」
SE :ぼわん。
女が投げた包みから広がる煙。それが消えた時、女と蟻は居なかった。
敵は退けた。それを理解し焔はふうとため息をつき、大地に転がった。
焔 :「ああもう、やってられんとよ」
ぐったり。焔の姿には、その形容詞が正しく当てはまる。
身体の痺れは少しずつ取れていた。完全に回復するまで、とりあえず。
焔 :(くかー)
エプロンとジーンズという悩ましい格好のまま、彼女は眠る。
翌日、風邪をひいた彼女が仕事を休んだのは、また別の話である。
時系列と舞台
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深夜の中州路上。
解説
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仕事帰りの焔を狙う影。曰くつきの女の子は色々と大変なんです。
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とりあえず、次はもうちょっとセーブします^^;
それではー。
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