[KATARIBE 31131] [BZ01P]エピソード:『焔と刺客と黒い蟻』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Fri, 22 Jun 2007 20:59:50 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31131] [BZ01P]エピソード:『焔と刺客と黒い蟻』
To: <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <000301c7b4c4$d6b38f30$3318a8c0@tubo01>
X-Mail-Count: 31131

Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/31100/31131.html

ども、ナギィです。
投下するかどうか悩んだんですが、一応。焔で戦闘させるとこうなってしまう……。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
エピソード:『焔と刺客と黒い蟻』
-------------------------------
登場人物
--------
海岡焔(うみおか・えん):フェロモン料理人。色々狙われてる。
Sな刺客:海岡一族を狙う一派の刺客。外見は女王様。

蟻王と女王
----------
 中洲の夜は、夜というほど暗くない。
 元々、九州の不夜城として有名だった中州である。夜は昼よりも明るいのだ。
 そんな中州にも、暗い陰はある。焔の家へ向かう道も、そういう場所だった。

 焔      :「ふいー、今日は疲れたとよ」

 焔の働く屋台『夜空』は、中洲で一二を争う有名屋台である。
 店主が腕利きの縁主という事で、集まる縁主も個性豊か。そして騒がしい。
 今日もまた、そんな縁主たちの相手をしつつ、料理の腕を振るったのだが。
 焔の足取りが、ふと止まる。下げていた視線を上げ、彼女は目を細め。
 瞬間、布を裂くような鞭の音が、中洲の闇に鳴り響いた。

 焔      :「なんばしよっとね」
 Sな刺客   :「フフ。貴方が来るのを、ずっと待ってたわ」

 ゆらり。かすかな灯りの下に浮かび上がる、肉感的な肢体。
 ボンテージファッションに紅の鞭。正に“女王様”な女が、ニヤリ笑う。

 焔      :「善良な一市民にこげな人が何ば用とね」
 Sな刺客   :「海岡焔。海岡一族の現当主の愛娘……」
 焔      :「海岡の家とあたしは関係なか。そげん話は兄に」

 かすかな違和感に気づいた時、既に敵は背後に居た。
 振り返りかけた焔。その右半身に水流が叩きつけられる。
 破壊的な圧力。たまらず吹き飛び、焔は激しく尻餅をついた。

 焔      :「ぐあ!」
 王蟻     :「ギィィィィイ」

 六本の脚を蠢かせ、灯りの下に現れた一匹の蟻。
 鋭い牙を覗かせる蟻の胴は、焔の背よりも長い。
 女と蟻。それが刺客の姿と理解し、焔は目を細める。

 焔      :「手荒な事はしたくなかけど、仕方なかね」
 Sな刺客   :「可愛い子。勝てないくせに強がっちゃって」
 焔      :「それはどやろ。海岡流猟理術を舐めちゃあかんよ」
 Sな刺客   :「ふふ。そうだと思うなら、立ち上がってみれば?」
 焔      :「そげんこと言われんでも、今立ち上がって」

 SE     :ぼろっ。

 焔      :「きゃあ!」

 思わず胸をかき抱いた焔の上半身。体を覆う服は、ぼろぼろに崩れている。
 焔の頬から、蟻が吐いた水が滴り落ちる。次の瞬間、ブラの肩紐が崩れた。

 焔      :「く、この、卑怯者!」
 Sな刺客   :「うふふ。恥ずかしがる女の子、可愛くて大好き」
 焔      :「ふ、ふん。どうせ暗闇やん。こんな服なんて無くても」

 精一杯の強がり。服を抑えていた腕を外し、焔はぐっと膝に力を入れる。
 その瞬間、焔の上半身がガクンと地に落ちた。

 焔      :「な、うあ」
 Sな刺客   :「蟻酸は服だけじゃなく身体も侵すの、残念だったわね」

 にんまりと笑う女の前で、焔は大地に跪く。水を受けた腕や肩が重い。
 頭を落とし、尻を突き出した姿は、まるで女王に鞭を請うような格好。
 焔の羞恥が、女には極上の余興らしい。鞭が地を叩き、蟻が牙を鳴らす。

 Sな刺客   :「さあ、ゆっくりと料理して、縁具を頂くわ」
 王蟻     :「ギィィィィィィィイ!」

 牙を大きく開いた蟻が、焔へ少しずつ近づいていく。ゆっくり、着実に。
 蟻の接近を止める術を、焔は持っていない。ただ、じっと時を待つ。
 そう、時を待っていたのだ。そして、その瞬間は訪れる。

 焔      :「今だ、奔焔!」
 Sな刺客   :「しまった、縁具を」

 焔の鎖骨に広がった契印。それが紅の光を発し、胸から腹を覆う。
 縁具“炎艶調布”を呼び出した焔。その効果に気づき、女が鞭を唸らせる。
 だが、時既に遅し。逃げ出せない距離まで近づいた蟻が、牙を開いた瞬間。

 焔      :「あハン♪」

 焔の縁具。その能力は、自らの“艶気”を火炎へと変える力。
 女が悦ぶほどの艶姿、艶気は空に満ちている。それが全て、一気に爆破した。

 SE     :ごおおおおおおお!

 焔の周りを取り囲み、路面を吹き飛ばす炎。もちろん、蟻も例外ではなく。

 王蟻     :「ギィィイィィイィィィイイイイ!?」

 爆風にひっくり返された蟻。その足が空をかき、やがて動かなくなる。

 王蟻     :(こんがり)
 Sな女王   :「はあ、はあ。よ、よくも」
 焔      :「それはこっちの台詞たい。お気に入りの服!」

 がし。大地を掴み立ち上がろうとする焔の目に宿る、強い怒り。
 加虐的なはずの女の顔に、一瞬広がる怯えの色。その後の反応は素早かった。

 Sな女王   :「仕方ない、一時撤退!」

 SE     :ぼわん。

 女が投げた包みから広がる煙。それが消えた時、女と蟻は居なかった。
 敵は退けた。それを理解し焔はふうとため息をつき、大地に転がった。

 焔      :「ああもう、やってられんとよ」

 ぐったり。焔の姿には、その形容詞が正しく当てはまる。
 身体の痺れは少しずつ取れていた。完全に回復するまで、とりあえず。

 焔      :(くかー)

 エプロンとジーンズという悩ましい格好のまま、彼女は眠る。
 翌日、風邪をひいた彼女が仕事を休んだのは、また別の話である。

時系列と舞台
------------
 深夜の中州路上。
解説
----
 仕事帰りの焔を狙う影。曰くつきの女の子は色々と大変なんです。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
とりあえず、次はもうちょっとセーブします^^;
それではー。 

 ---------------------------------------------------------------------
http://kataribe.com/ 語り部総本部(メインサイト)
http://kataribe.com/ML/ メーリングリストの案内
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/ 自動過去ログ
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/31100/31131.html

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage