[KATARIBE 31118] [BZ01N] 快晴。星の下の夜空

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Date: Wed, 20 Jun 2007 16:46:39 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31118] [BZ01N] 快晴。星の下の夜空
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2007年06月20日:16時46分39秒
Sub:[BZ01N]快晴。星の下の夜空:
From:葉月知洋


小説『快晴。星の下の夜空』

登場人物
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 森風梗林(もりかぜ・こうりん):屋台『夜空』の店主。眼鏡の似合う人。
 時雨紅魔(しぐれ・こうま):喧嘩屋。マイペースでのんびり。

屋台『夜空』
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 大通りから少しそれた川沿にある、屋台の幾つか並ぶ通り。特区となっても
屋台の姿が中州から消え去ることは無い。
そのなかでも、少し大きめの屋台があり、わいわいと声が聞こえている。その
屋台の暖簾には「夜空」と描いてあり――言うまでも無くそれが店の名である
が――その暖簾を潜る女性が1人。

「おっじゃましまーす」
「はい、いらっしゃい」
 陽気な声を上げて入ってきた女性に博多とんこつラーメンでお馴染みの細麺
を茹で上げながら挨拶をするのは、銀縁の眼鏡をかけた男性。
屋台の店長である梗林である。が、服は和服のような服を着、静かそうなイメ
ージを持つので、賑やかな屋台には少し違和感を感じる。……まぁ、客の大半
は既に見慣れているのだが。
「さてと、ご注文は?」
「んー。牛スジ煮混みとー明太こんにゃく……辛葱ラーメンにチャーシューと
煮卵。あとはビールの大ジョッキと……あ、高菜チャーハンもちょうだいー」
「随分と食べるね……今日の戦績は上々だったのかい?」
 客へ話題を振りながらも、既に酒とつまみの料理を準備ている辺り、慣れた
ものである。
「2勝1敗。良い感じで勝ってたけどさ、『虎』が久々に参戦してきて負けた
ー。まー、倍率の関係もあるし、稼ぎは上々だったよー」
 上機嫌で頬を緩ませながら喋っているのは、常連の1人である紅魔。黙って
いれば美人なのだが、マイペースな上喧嘩好きなので、彼氏は居ない。まぁ、
特区中州ではよい出会いは中々無いだろうが。ちなみに、今の話も喧嘩関係で
ある。とある路地裏でストリートファイトの賭けをやっており、紅魔も参加者
なのだ。今回は戦う側だったようである。
「んー、『虎』は仕方がないよ。でもよかったね。お疲れ様」
「ふー、頑張ってきたよぉ〜」
「それと余裕があるなら2回分のツケ、8750円も徴収して大丈夫かい?」
「うーぁー、それは勘弁してー。明日の昼ごはんが食べれなくなるからっ」
「それなら、注文する品を減らせばいいのに。まぁ、今度に回しておいてあげ
るから。」
 苦笑しながら言いつつも、ビールと牛スジ煮混み、明太こんにゃくを紅魔の
前に並べていく。
「どうもーありがとー。……んーやっぱりスジおいしー。明太こんにゃくも酒
が進むねっ」
 スジとこんにゃくの減り方よりも、ビールの減り方の方が多いのは、紅魔が
酒飲みのせいである。基本的に飲みすぎである。
「そう言ってくれると作り甲斐があるよ。でも、そんなに飲んでるとまた懐が
寒くなるんじゃないかい。気をつけないと駄目だよ」
 笑いながらも他の客の注文を受け、それらの客とも会話しつつも、手際よく
幾つもの作業を平行して進めている。忙しくても、余裕は無くさない。その辺
が梗林の商売人としてプライドである。
「はい、おかわりーっ!」
「はいはい」
 と早くも2杯目の紅魔に苦笑しつつもジョッキに注いで渡す。相変わらず、
手際よく対応はしているのだが、客も増え始め、会計も片付けもある為流石に
梗林1人では手が足りなくなってくる。
「フェイー、忙しくなってきたからそろそろお願い。」
「うむ、分かった。」
 そう梗林に呼ばれて、ふわりと出てきたのは、マスコット人形程度のサイズ
の女の子である。服は中華と陰陽師の間くらいで金髪、その頭の横から龍の角
が生えており、なんだかちょっと偉そうなのだが、サイズと顔が幼いせいで、
「子供が威張ってるみたいで可愛い」という評価が多数。今では既に『夜空』
のマスコット扱いである。
「うにゃー、いっつもながらにかぁーいいねー」
「む、私を可愛いなどと……」
 紅魔が言った言葉に対して、少しむっ、とした感じで返すフェイ。
「おっとー、フェイちゃーん、ビールお替わりー」
「……む。わかった。私に任せておけ」
 だが、そう言うとふよふよと紅魔のジョッキを浮かせて持って行き、ビール
を注いで戻ってくる。
「うやー、ありがとー。」
「礼には及ばぬ。気軽に呼ぶがいい」
 えっへん、と言うポーズをしているフェイを見て、
(あはー、やっぱりかぁいいなぁー、うちのヒコとどっちがかぁいいかなぁ〜)
 などと考えてる紅魔。上機嫌な上、アルコールも回り始めて良い感じのよう
である。喧嘩好きでも、可愛いものはすきなのだ。それとコレとは別。
 ちなみに、紅魔の縁具のヒコは現在お疲れにてお休み中である。1日フル稼働
で紅魔を応援してお疲れ中のようで。
「フェイーちゃん、おあいそお願いー」
「うむ、任せろ。いつも来てくれて感謝するぞ」
ふよふよとまた他のお客のもとへ会計へ行くフェイ。
『夜空』の広くない屋台の中は賑やかで、皆わいわいと楽しんでいる様子。

今日の開きになるのはいつになるやら。
中州の夜は、長いのである。



時系列と舞台
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 夜が深くなってくる頃の中州、屋台『夜空』にて
解説
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 屋台『夜空』の日常的風景。こんなかんじでわいわいがやがやと。
店の中は狭いですけどねー。賑やかです。
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