[KATARIBE 31116] [BZ01P] エピソード『逢魔ヶ時の遭遇』

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Date: Tue, 19 Jun 2007 21:46:07 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31116] [BZ01P] エピソード『逢魔ヶ時の遭遇』
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2007年06月19日:21時46分07秒
Sub:[BZ01P]エピソード『逢魔ヶ時の遭遇』:
From:久志


 久志です。
うわあ、書いてないとほんとに衰える……

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
エピソード『逢魔ヶ時の遭遇』
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登場人物
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 西崎あさみ(にしざき・-)
    :自称天才女子高生魔術師な縁主。
 はむはむ
    :杖の縁具。外見は小型翼竜。中身はエロジジイ。

高いとこが好きです
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 日が沈み、わずかに残った日差しの名残が徐々に薄紫色に染まりつつある、
黄昏とも誰彼ともいう、曖昧な時間。

 あるいは、逢魔ヶ時とも。

 埃をひと掃きしたように人の流れが途切れた路地。
 完全に暗闇に沈むでもなく、紫がかった塀や電柱から垂れるように薄暗い影
を落している。むしろ暗闇よりも、何処かに何かが身を潜めていそうな不気味
な印象を与える。

 あさみ    :「るーるるー」

 白いスニーカーが弾むように影の落ちた路地を踏む。
 すらりと伸びた足元は紺のソックスに覆われ、その上からのぞく丸い膝小僧
がせわしなく動き、半分以上むき出しになった白い太ももにまとわりつくよう
にプリーツスカートが揺れている。まるで少女の周りだけ不気味な夕暮れ時か
ら切り離されたような明るい空気に満ちている。

 あさみ    :「ふふん」

 鼻歌を歌いながら弾むように路地を歩く少女がふと足を止める。
 自信たっぷりに片手を腰に当て、仁王立ちのまま挑戦的な声で声を上げる。

 あさみ    :「ねえ、出てくれば? あたし逃げないけど?」

 口元に笑みを浮かべたまま、ゆっくりと視線を背後に向ける。

 青年     :「ほぉう、覚悟できたってことかぁ?」

 少女の声に、ゆらりと電柱の影から滲み出るように頬のこけた青白い顔の青
年が姿を現した。

 あさみ    :「もー、趣味悪いなあ。ナンパならちゃんとそっちから先
        :に声かけてよね」
 青年     :「そんな面倒なこたあしないさ」

 ぬらりと爬虫類じみた顔に笑みを浮かべ、足元から舐めるように少女の体に
視線を走らせる。

 あさみ    :「そーんなスケベな目でじろじろ見てると引かれるよぉ、
        :いくらあたしの美脚がまぶしいからってさあ」

 つつつ、と指先でプリーツスカートの端を軽くつまんで、軽く裾を引き上げ
るように少しだけ持ち上げる。

 青年     :「いけないなあ、そんなけしからんことしちゃなあ、怖い
        :目にあっちゃうぜ」

 ちろりと細い舌先が唇を舐める。

 青年     :「教えてあげなきゃいけねえなあ、嬢ちゃんよ」
 あさみ    :「まーったく、せっかちなあお兄さん。そーんな相手の
        :ペース全然考えない自分勝手さんはモテないぞー」
 青年     :「言ってろ、俺がたっぷり教えてやんぜ。オトナに対する
        :態度ってやつをなぁ」

 だらしなく口をあけて身をかがめる、と。

 SE     :どくん
 あさみ    :「!」

 トレーナーの背がはちきれんばかりに伸びる。

 あさみ    :「……これって」

 息を呑む。
 膨張に耐えかねたトレーナーが裂け、むき出しになった男の背には異常なま
で巨大で赤黒く脈打つ瘤が除いていた。

 あさみ    :「こいつは……ふうん」

 目を細めて青年を見る。
 緩みきった口からは唾液が落ち、だらしなくだらりと両手を垂らし、白目を
むいている。縁具に意思を乗っ取られた縁主のなれの果て、欲望のままに縁具
に使われる人でなし

 あさみ    :「『喰われた』ってわけか、だらしないの」
 青年@崩主  :「ゲエェェェ」

 異形と化した青年にさして驚いた風もなく、向かい合ったままわずかに口元
をゆがめて笑う。

 青年@崩主  :「ケェェ!」
 あさみ    :「いくよ、はむはむ」
 渋い声    :「やれやれ、まだるっこしい」

 少女の影から伸び上がるように姿を現したのは、鱗に包まれた体、伸びた首、
尻尾をゆらし、翼を羽ばたかせた……一匹の竜。

 青年@崩主  :「ケェ!?」

 翼を羽ばたかせて少女の伸ばした腕へとひらりと舞い降りる。

 はむはむ   :「ふん、崩主か」
 青年@崩主  :「ケェ!!」

 体をかがめ、折りたたんだ両足で地面を蹴りつけて青年が少女へと飛び掛る。
伸ばした腕が少女の体を掴もうとした瞬間、横殴りの突風が青年の体を吹き飛
ばした。

 青年@崩主  :「ゲエェ!!」

 弾き飛ばされ道路に転がる青年。
 四つんばいで体を起こし少女がいた場所へと顔を向ける、が。

 あさみ    :「こっちだよ」
 青年@崩主  :「ケエェ!」

 ざわざわと整った短い髪が揺れている。
 傍らに竜を従えた少女の体が宙に浮いて青年を見下ろしている。

 あさみ    :「さあて、やっちゃおうか」
 はむはむ   :「もったいつけんではよう片をつけんかい」
 あさみ    :「うっさいなあ、いくよっ!」

 差し伸べられた手の上で竜の姿が歪む。
 細長く伸び上がり、光沢を帯び、その質を変化させた姿は。
 黒曜石をそのまま削りだしたかのような、一本の漆黒の杖。

 あさみ    :「よおし!」

 掴んだ手でぐるりと杖を一回転し、きろりと異形化した青年を見据える。

 青年@崩主  :「ゲエェェェ!!」

 屈みこんだ姿勢から全身のばねを使って飛び上がり、鉤爪を少女へと伸ばす。

 あさみ    :「我命ず! 心喰われし者を退けよ! 雷よ! 落ちろ!」

 目の前砕け散るような、閃光。
 胃の腑まで響くような、轟音。

 青年@崩主  :「ギャアァァァァァァァァ!!」

 眩い光の中、シルエットのように黒写しになる異形の姿。

 あさみ    :「へへん、だ」

 杖を一振り。
 残されたのは、かろうじて姿を保った黒焦げの物体。

 あさみ    :「天才美少女魔術師さまは無敵なのだ」
 はむはむ@杖 :「くだらん小細工などせんで、ちゃっちゃとやっとりゃえ
        :えもんを」
 あさみ    :「うっさいなあ、シチュエーションとかノリとか大事なの!」

 飛び降りて黒焦げの物体を蹴り飛ばす。
 抵抗もなく、青年だったものは乾いた音を立てて路地に崩れ落ちた。

時系列と舞台
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 夕暮れ時、中州のどこか。
解説
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 自称天才美少女魔術師あさみさん、フィッシング退治。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
以上



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