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Date: Tue, 19 Jun 2007 15:21:00 +0900
From: Subject: [KATARIBE 31112] [BZ01P]エピソード『ツギハギ』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <20070619152100.z0000.naggyfishuho@dj.pdx.ne.jp>
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ども、W-zero3より初メールのナギィです。
無事に届くかなと心配しつつエピソード投下!
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エピソード『ツギハギ』
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登場人物
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鬼島歓子(きじま・かんこ):金欠掃除屋。小金稼ぎは欠かさない。
継剥屋(つぎはぎや):異形の縁結び屋。セールスは欠かさない。
縁結び屋「継剥屋」にて
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東中州に古くから建つ映画館の隣。その店はひっそり営まれていた。
店内に掲げられた無骨な武器、美麗な服、そして雑多な道具。
中州で名の知られた縁結び屋は、屋号を「継剥屋」と言った。
カンコ :「おっす。開いてるか?」
ツギハギ屋 :「ハアイ、イラシャイマセー」
暖簾に付けられた鳴子が、カランと来客の存在を告げる。
一見して古着らしいシャツを着たカンコを、店主が出迎えた。
にまにま、と笑顔の店主。その顔に、幾筋もの傷跡が生々しく残る。
カンコ :「中古売りに来たぜ、ツギハギ屋」
ツギハギ屋 :「オウ、ありがとですですニャーン」
カンコ :「は、はは。相っ変わらず壊れてんのな」
百戦錬磨の閑古鳥が苦笑する。それほど、彼の要望は異様だ。
四つに分割された顔、両の腕、脚、丸められた背中。
その全てに共通するもの。それは、統一感の欠如だ。
カンコ :「ツギハギ男の継剥屋、か」
ツギハギ屋 :「何かおっしゃいましたでゴワス?」
カンコ :「いいや。で、これ、幾らになりそうだ」
どさりと置かれたビニール袋。その中に転がる鉄の槌。
ふむ、と呟いた継剥男は、重厚な槌を軽々持ち上げ、見遣る。
ツギハギ屋 :「これは……八千円てところですにょー」
カンコ :「ハア? いくら何でも安すぎだろ」
ツギハギ屋 :「そう言われましても、これ元々当店の商品じゃよ」
カンコ :「ておいツギハギ屋、また怨主に縁具売ったのか!」
声を荒らげるカンコに、彼は全く意に介した様子もない。
縁結び屋にとって大事なのは、客の素性ではなく、商品の品質。
その一点において、「継剥屋」は中州で一番の縁結び屋なのだった。
カンコ :「チッ、まあいいや。所で、ちょっと話あるんだが」
ツギハギ屋 :「なんですにょん?」
カンコ :「はは……。いやな、服の縁具ないかなと思ってな」
掃除の度に服を破損するのはキリがない。ならば縁具で代用しよう。
しかし、それをツギハギ屋に相談するのには一抹の不安もあった。
そして案の定。彼が奥から出して来た服の縁具とは……。
カンコ :「紐?」
ツギハギ屋 :「いやいや、ちゃんとした服ですにゃん。ほら」
カンコ :「ほらって、ンな紐水着、人前で着れるか!」
ツギハギ屋 :「性能は良いのですがにょー。ではでは」
再び在庫を探す彼を見て、カンコは憶測が現実に変わった事を知る。
ツギハギ屋にとって重要なのは、あくまで縁具の『性能』である。
美的センスは三の次。それを覚悟した彼女の前に、二枚目の服が。
ツギハギ屋 :「これはどないですか。浴衣でゴンス」
カンコ :「お、なかなか良いじゃん。能力はなんだ?」
ツギハギ屋 :「艶踊といって、この浴衣のみを着て踊る事により」
カンコ :「却下」
ツギハギ屋 :「さいですか。では次にゴー」
ごそりと在庫を漁るツギハギ屋を見つつ、カンコは頭痛を感じていた。
彼に足りないのはセンスではない。そもそもの常識が違うのだ。
次は何を出されるのか。不安は、意外な形で払拭された。
ツギハギ屋 :「こんなのどうでしょ」
カンコ :「お、皮ジャン? かっけーじゃん」
ツギハギ屋 :「でしょうでしょう。買いますかにゃ?」
カンコ :「その前に聞いとこう。こいつの能力は?」
ツギハギ屋 :「裾を振って、圧風を飛ばせるのですにゃー」
カンコ :「なんだ、普通のもあるじゃねえか、それじゃ」
買う、と言いかけたカンコの脳裏に感じる違和感。
今までの流れ、そしてこの商品。何かおかしい。出来すぎてる。
小首を傾げたツギハギ屋の襟。よく見れば、そこに黒い突起物が。
カンコ :「ツギハギ屋、そこに何潜ませてやがる」
ツギハギ屋 :「それは秘密クロスケ君デース!」
クロスケ :「初志貫徹しろよ! ……あ」
気まずい沈黙。延びる手。捕まれる頭。
引き出されたクロスケの頭が、ミシ、と音を立てた。
クロスケ :「ちょい待ち、ギブ、ギブ!」
カンコ :「洗いざらい話してくれたら考えるぜ」
クロスケ :「いや、マジであの縁具カッケーんだぜ、ただ」
カンコ :「ただ?」
クロスケ :「ちょっとだけ、胸太る」
カンコ :「ちょっとだけ?」
クロスケ :「ちょっと……かもしれないててててててて!」
SE :ごきゅ。
沈黙したカラスを胸元に詰め込み、カンコは大きく溜息をつく。
ちらり。視線を向けた先で、ツギハギ屋がジャンバーを手にしていた。
オチは聞いた。しかし、確かに、その皮ジャンのデザインは格好良い。
少し悩み、カンコはがしっと頭を掻いた。
カンコ :「とりあえず、取り置いといてくんない?」
ツギハギ屋 :「了解でゴンス。はい、八千円」
カンコ :「あ、そか。ありがとよ」
渡された千円札。とりあえず、今週の食事代にしようと決め。
見送る異相に手を振って、カンコは凶相をゆるめるのあった。
時系列と舞台
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昼過ぎ。東中州の縁結び屋『継剥屋』にて。
解説
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手に入れた縁具を売りに行ったカンコ。そこで勧められた縁具は……。
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今回はエロはサブで、縁結び屋のサンプルを示すということで。
キャラもけっこう出てきましたし、そろそろセッションしたいですね。時間つくろう(^^;
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