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Date: Thu, 31 May 2007 19:41:29 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31049] [HA06L] チャットログ『白郎鬼の願い』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200705311041.TAA46432@www.mahoroba.ne.jp>
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2007年05月31日:19時41分29秒
Sub:[HA06L]チャットログ『白郎鬼の願い』:
From:久志
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チャットログ『白郎鬼の願い』
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登場人物
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本宮尚久(もとみや・なおひさ)
:名家・本宮家の嫡男。結婚に反対され出奔、二人の子に恵まれる。
本宮麻須美(もとみや・)
:尚久の妻。生まれつき体が弱い。異能の血を継いでいる。
小池国生(こいけ・くにお)
:尚久のかつての恋敵であり親友。正体は白鬼。
史久、友久
:尚久の長男次男。
過去の光景
----------
[Hisasi] #今から、、、28・9年ほど前
[Hisasi] #まだ麻須美さんのお腹の中にゆっきーがいた頃。
[Hisasi] #朝、尚父を送り出して
尚久 :「じゃあ、行ってきます」
:>若手弁護士、知人の弁護事務所に所属
麻須美 :「はい、いってらっしゃい」
史久 :(えへへ、と手を振ってる)
友久 :(ぎゅーっと史久の手をにぎってぢーっと見てる)
尚久 :「あまり遅くならないようにしますから」
[Toyolina] #イソ弁時代
まだあまり裕福でない頃。所属する弁護士事務所で務める傍らいくつも内職
や掛け持ちで働いて生計を立てていた頃。
麻須美 :「ええ、でも無理しすぎないでくださいね」
[Hisasi] #ちょっと膨らんできたお腹
[Hisasi] #女の子が欲しいなあとか言いながら、そろそろ移動とか大変に
なってくるなあと
尚久 :「麻須美さんも、無理はしないように、なにかあったら
:すぐに連絡をいれて」
[Hisasi] #手を振って、にこっと笑って
[Hisasi] #事務所に向かう
[Hisasi] #この時は、この後におこる出来事に気づきもしなかった
[Hisasi] #史久は近所の幼稚園、友久は祖母にあやしてもらいつつ
麻須美 :「ふぅ」
[Hisasi] #ぱたぱたと、ゆっくり掃除をしつつ
[Hisasi] #お腹がちょっぴり重いなあと思いつつ
この頃お腹にいたのは三男の幸久。
麻須美 :「……あ」>蹴られた
麻須美 :「元気な子、ね……やっぱり男の子なのかしらねえ」
[Hisasi] #一休みしつつ
麻須美 :「……ふぅ」
[Hisasi] #ふと、
麻須美 :(くらっ)
[Hisasi] #意識が、ふと、遠のき。
麻須美 :「……あ」
[Hisasi] #誰かに助けを求めようとして
[Hisasi] #崩れ落ちるようにその場に倒れる
麻須美 :「……はぁ(苦しい)」
[Hisasi] #だれか
[Toyolina] #誰かーッ
麻須美 :「…………うぅ(お腹を押さえて)」
[Hisasi] #ゆっくり、意識が遠のいていく
訪問者
------
[Hisasi] #その頃。
小池 :「麻須美さん、気に入るでしょうか」
[Hisasi] #営業の一息の間に
[Hisasi] #立ち寄ったケーキ屋で買った新作を片手に
[Hisasi] #本宮家へと足を運ぶ小池
SE :ぴんぽーん
小池 :「買い物にでもでかけてるのかな?」
[Hisasi] #ふと、ドアに手を触れて
[Hisasi] #開いてる
小池 :「……麻須美さん?」
[Hisasi] #ふと、なんか嫌な予感
小池 :「麻須美さん!」
[Hisasi] #戸を開けて、
[Hisasi] #しん、とした家
小池 :(なんか言い知れない不安)
小池 :「お邪魔します!麻須美さんいらっしゃいますか!」
[Hisasi] #ケーキを玄関において一声かけてあがっていく
[Hisasi] #そして、たどり着いた台所で
麻須美 :(気を失っている)
小池 :「……っ」
[Hisasi] #苦しそうに額に汗がにじみ
小池 :「麻須美さんっ!!」
[Hisasi] #助けおこして
小池 :「麻須美さん」
麻須美 :「……あ……こ……い」
[Hisasi] #震える声、荒い息
小池 :「しっかり!」
[Hisasi] #そして、慌てて電話で
小池 :「すみません! 救急車をお願いします! はい、吹利
:本町……」
急転
----
[Hisasi] #病院にて
小池 :「…………」
[Hisasi] #待合室でベンチに座ってる
[Hisasi] #容態急変、母子共に命の危険
小池 :「…………っ」
[Hisasi] #両手を組んで、祈っている
看護婦 :「……」>なにやら深刻そうな顔で数人で話している
小池 :「……麻須美さん」
[Hisasi] #そこに
[Hisasi] #息を切らして駆けてくる男
尚久 :「小池さん!」
小池 :「尚久くん……」
尚久 :「小池さん、麻須美は……」
[Hisasi] #完全に取り乱して、髪を振り乱して、縋るように
小池 :「……今は、なんとも言えない状態らしい」
尚久 :「……っ」
[Hisasi] #ずる、と膝が崩れそうになり
小池 :「尚久くん」
[Hisasi] #体を支えて
尚久 :「……すみません……」
小池 :「しっかり」
[Hisasi] #背中を支えるように
尚久 :「…………麻須美」
[Hisasi] #込み上げてくる何かを堪えつつ
小池 :「…………」>背中を撫でて
[Hisasi] #それきり、言葉を失ってしまった尚久を座らせて
小池 :「…………」
[Hisasi] #麻須美と尚久を想い
[Hisasi] #その場を後にする
お医者さん :「……気を強くもって、聞いてください」
尚久 :「……はい」
[Hisasi] #その頃、お医者さんと尚父
[Hisasi] #友久は祖母にだっこされて
[Hisasi] #史久はその隣でベンチにちょこんと座ってる
お医者さん :「……奥様は……非常に、危険な状態です」
尚久 :「…………」
お医者さん :「…………お子さまは」
[Hisasi] #奥さんを諦めるか、子供を諦めるか……だが子供を諦めたとして
も母体が持つか
尚久 :「…………」
お医者さん :「……本宮さん」
尚久 :「……はい」
[Hisasi] #今日はなんとか落ち着かせて、明日にでもオペをとかいう話をき
かされつつ
尚久 :「……麻須美」>ベンチに座って顔を覆う
友久 :「……」>ぎゅ、と隣に座って尚久の服の裾をつかむ
尚久 :「友久、おいで」
[Hisasi] #抱き上げて
友久 :「……」>ぎゅうっと、尚久の首にしがみついて
尚久 :「……大丈夫」
[Hisasi] #頭を撫でて
尚久 :「大丈夫だよ」
友久 :(そのまま尚久の首にしがみついたまま顔を埋めて)
尚久 :「……麻須美」
[Hisasi] #その頃、病院の外
小池 :「…………」
[Hisasi] #振り返る
小池 :「……麻須美さん……尚久くん」
[Hisasi] #彼女を救いたい
[Hisasi] #うつむいて
[Hisasi] #たった一つだけ方法がある
小池の正体、白鬼。
http://hiki.kataribe.jp/HA06/?Byakki
血や肉を与えることにより、一時的に霊力を分け与えたり傷や病を癒すこと
ができる。
小池 :「…………」
[Hisasi] #それは
自らの血肉を食べてもらうこと。
小池 :「……」>ぎゅっと唇を噛んで
[Hisasi] #やるしかない、と
[Hisasi] #ふと、目をやると
史久 :(ぽつねん、と歩いてる)
小池 :「史久くん」
史久 :(顔をあげる)
小池 :「どうしたんだい、こんなところで。お父さんのそばにい
:なくていいのかい?」
史久 :「……小池さん……」
[Hisasi] #ぢっと、小池の顔を見上げて
[Hisasi] #ふにゃっと顔が
小池 :「史久くん……」
史久 :「(ふえ)……こいけさん」
[Hisasi] #袖をぎゅっとつかんで
史久 :「……おかーさん……死んじゃうのかな」
小池 :「……史久くん」
史久 :「……赤ちゃんも……」
[Hisasi] #ふえ
小池 :「死なせないよ」
史久 :(ふえええええん)
[Hisasi] #泣き出した史久を抱きしめて
小池 :「……」
[Hisasi] #麻須美さん、尚久くん……
[Hisasi] #そして子供達
[Hisasi] #自分は、何をなすべきか
白鬼の決意
----------
[Hisasi] #夜
小池 :「…………」
[Hisasi] #一人、立つ
[Hisasi] #子供達は麻須美の実家へと預けられ、
[Hisasi] #尚久はそのまま病院で眠れずにいる
小池 :「……私は」
[Hisasi] #すぅっと姿が
[Hisasi] #白い髪が肩まで伸び、額に現れる角、瞳は深い紫
小池 :「……鬼にも戻れぬ、人になることもできぬ、半端者」
[Hisasi] #自らをすべて投げ打ってでも、幸せになって欲しい。
小池@鬼 :「……私を愛してくれなくてもいい、他の男を愛していよ
:うと……不毛な愛だろうと」
愛しているのは麻須美か、尚久か。
[Hisasi] #幸せに笑っていてさえくれれば、何もいらない
小池@鬼 :(地面を蹴って飛ぶ)
[Hisasi] #悠々と数十メートル跳躍し、
[Hisasi] #開いた窓から病院内へと
[Hisasi] #そして
麻須美 :「……」
[Hisasi] #昏睡状態
[Hisasi] #チューブとか繋いで、ぐったりと
小池@鬼 :「……」>音も無く、通風孔から降りてくる。
[Hisasi] #そのまま傍らに近づいて
小池@鬼 :「……私は」
[Hisasi] #すっと左手をあげて、その手首に右手の指が触れる
小池@鬼 :「……貴方に」
小池@鬼 :「……貴方達に……笑っていて欲しい」
[Hisasi] #しゅっと、左手首にざっくりと傷が
小池@鬼 :「……愛しています、貴方を、彼を……貴方達が生き抜い
:てきた軌跡、なにもかも」
[Hisasi] #溢れてきた血を口に含んで
[Hisasi] #口移し
麻須美 :(ぴくん)
小池@鬼 :(どうか)
[Hisasi] #数度、
[Hisasi] #繰り返す
[Hisasi] #だんだん血を与えるにつれ、麻須美の顔に赤みが差し息が落ち着
いてくる
小池@鬼 :「……はぁ」>だんだん意識が薄らいできた
麻須美 :(息がおさまってきて)
[Hisasi] #この時点で致死量に近い血を
[Hisasi] #分け与えて
小池@鬼 :「……っ」>必死で意識を保ちつつ
麻須美 :(すーすー)
[Hisasi] #すっかり落ち着いて、命の危機が去ったのを確認して
小池@鬼 :「……」>一度だけ麻須美の顔を見下ろして
小池@鬼 :「……どうか……幸せに」
[Hisasi] #いつまでもいつまでも、幸せに、微笑んでいてください……
[Hisasi] #どうか
小池@鬼 :「……」>よろ
[Hisasi] #最後の力を振り絞って跳んで、外へと
奇跡
----
[Hisasi] #病院にて
[Hisasi] #なんか騒いでる
尚久 :「……ん?」
看護婦 :「○○室の患者さんが?」
[Hisasi] #看護婦同士であれこれ
尚久 :「!」
[Hisasi] #がたん
尚久 :「妻が、どうかしましたか!?」
看護婦 :「あ、あの」
[Hisasi] #お医者さんもばたばた出てきて
お医者さん :「……なんと申し上げたらいいのか……」
[Hisasi] #すげえわけわかめな顔で
[Hisasi] #さっきまで危篤状態だったのが、いきなり全快してます
[Hisasi] #何があった?
[Toyolina] #奇跡ダ
尚久 :「……それはっ」
お医者さん :「……正直、混乱しておりますが……現在、大変落ち着い
:ておられます」
[Hisasi] #オレもわかんないヨ
お医者さん :「医者である私がいうのも、なんですが……奇跡としか」
尚久 :「奇跡?」
[Hisasi] #ふと、思い当たる節
お医者さん :「ともかく、奥様の容態は持ち直しました……本当に、
:よかった」
尚久 :「はい……」
[Hisasi] #悪い予感がする
魔王の涙
--------
[Hisasi] #病院の外の植え込みのあたり
小池 :「う……」
[Hisasi] #飛び降りて、着地はしたものの
[Hisasi] #動けない
小池 :「……はぁ」
[Hisasi] #血なくしすぎて、意識が遠のいてきた
[Hisasi] #人間だったらもう死んでる
小池 :「……麻須美さん……尚久くん……」
[Hisasi] #それでも、後悔はしない
[Hisasi] #このまま、儚くなってしまったとしても
小池 :「……どうか、いつまでも」
[Hisasi] #いつまでもいつまでも幸せでいて
[Hisasi] #目を閉じて、そのまま全てをまかせようとしたとき
[Hisasi] #すごい力で抱き上げられる
小池 :「……?」
尚久 :「……あなたはっ!」
[Hisasi] #うっすら目をあけると、自分を抱き上げる尚久の姿
小池 :「……なおひさ……くん」
尚久 :「どうして、こんなことをっ!」
[Hisasi] #涙をこぼしつつ
小池 :「……失いたくなかった」
尚久 :「……君は」
小池 :「……何を捧げてもいいと思った……だから……
:君たちが……幸せで」
尚久 :「嫌だ!」
[Hisasi] #涙が落ちる
尚久 :「こんなのは嫌だ! 君を生贄にして、彼女を生かしたい
:なんて思わない! どうして!」
小池 :「……私は、何もいらない……何を捨てても……惜しくな
:いんだ」
尚久 :「ふざけるな!」
[Hisasi] #抱き上げて
[Hisasi] #走っていき、自分の車に乗せて走り出す
[Hisasi] #小池葬儀社へと向かって
[Hisasi] #途中で
[Hisasi] #かき集められるだけの花を集めて
尚久 :(ばたんと小池を抱き上げたまま社長室の棺桶に小池を
:ねかせて)
小池 :(息が細い)
[Hisasi] #どさどさと花をのせていく
小池 :(ふぅ)
[Hisasi] #小池に触れた花が瞬時に萎れて乾いてカサカサと崩れ落ちていく
尚久 :「……足りない……全然」
[Hisasi] #花じゃ全然精気が足りない
小池 :「……いい、んだ……」
尚久 :「駄目だ!……私の為に彼女の為に……何を捨てても惜し
:くないといったな!」
[Hisasi] #小池の肩をつかんで
小池 :「……尚久くん」
尚久 :「ならば答えは一つだ!」
[Hisasi] #涙が小池の頬に落ちる
尚久 :「死ぬなっ」
[Hisasi] #右手に小さなナイフを持って、左手首に当てる
小池 :「尚久くんっ……?」
[Hisasi] #すっと、引いて
[Hisasi] #尚久の手首に滲む血
小池 :「何を……」
尚久 :「あなたの命は私がもらう……死ぬことは、許さない」
[Hisasi] #血を口に含んで
[Hisasi] #口移しで、血を飲ませる
小池 :「!」
[Hisasi] #栄養満点の人の血です
[Toyolina] #キャー
[Hisasi] #しかも黒の系譜100%
[Tihiro] #そこはなにかちがうきがっw
小池 :(ふっと、体が軽くなって)
[Hisasi] #力がみなぎってくる
[Hisasi] #この間、約三十秒ほど
小池 :「……(はぁ)」
尚久 :「……」
[Hisasi] #ようやく、人心地ついてぐったりと棺桶に横たわる小池を見下ろして
尚久 :「……頼む……何も言わずに……命を捨てないでくれ」
小池 :「……はい」
[Hisasi] #そっと頬を撫でて
[Hisasi] #額にキスして
尚久 :「……ありがとう、小池さん」
この後に生まれた幸久、小池さんの血を引く霊感持ちの子になります。
そして黒の系譜の血筋がマイルドになりました。むしろ漂白されたとも。
これ以降生まれた和久も素直で白い子です。さすが白郎鬼。
おまけ
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[Hisasi] というか、あんたらなにラブシーンやってんデスカ
[Toyolina] キャーキャー
[Hisasi] (誰が書いてんだよ)
[Tihiro] 大変目の保養に(以下省略
[Toyolina] もうちひろんが今晩は寝られないじゃないか
[Hisasi] しゅこーしゅこー
[Tihiro] にゃふふふふ……(目がキラリ
#みぎー :「ゆかりの危機にはうちが(ゴゴゴ)」
[Hisasi] 僕の血をおのみ!(アンパンマン風)
[Hisasi] なにかちがくねえ?」
[Toyolina] 新しい血よっ
[Hisasi] ふっかーつ!
[Hisasi] なんか色々台無しになった気がするけどまあいいや!
[Toyolina] 愛の年季やわあ
[Toyolina] その絆の強さに憧憬しまくる。所長さんもおじさまもすごい尊敬
しちゃう
[Hisasi] つまりン十年におよぶ愛
時系列と舞台
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1977年初夏あたり
解説
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http://kataribe.com/IRC/HA06/2007/05/20070525.html#000000
命を駆けて麻須美の命を救おうとした小池。
というか、何アンタ達キッスとかしてるんですか!(誰のせいか)
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
以上。
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