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Date: Sun, 6 May 2007 23:04:25 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30998] [HA06N] 小説『淡色の記憶』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2007年05月06日:23時04分25秒
Sub:[HA06N]小説『淡色の記憶』:
From:久志
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小説『淡色の記憶』
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登場人物
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橋本朱敏（はしもと・あけとし）
：ワーウルフなお兄ちゃん。
女の子
：朱敏のクラスメイト。ショートカットの活発な子。
夏の日
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そこそこ人当たりがよくて、そこそこ気安く話せて、成績はたいして良いわ
けでもなくかといって底辺でもなし、それなりに顔立ちも悪くないが際立って
整ってるというわけでもなく。取り柄といえば運動神経とクラスの男子達より
頭ひとつ抜き出た背の高さ。
それが橋本朱敏に対するクラスメイト達の共通の評価。
わかりやすく言えば極めて普通な一高校生。
家の事情の為吹利から九州へと引っ越してから数年が過ぎて、中学からの馴
染みの友人もでき、さしたる不満もない生活。
ひとつだけ望みをあげるならば。
一人の少女のこと。
アスファルトを照り返す眩しい日差し。
昼過ぎの大通りは、少しでも日陰を求める人々が泳ぐように歩いている。
朱敏の目の前で、跳ねるように動く毛先。
登校日の帰り、自転車を押しながら自分の少し前を歩く少女の後ろ頭をなん
ともなしに眺めている。
「あーあ、もう夏休み、終わりだね」
少女が半そでブラウスから伸びた腕を組み合わせて前に伸ばす。少し跳ねる
ように歩きながら、胸を反らして軽く伸びをする。
「そだねー、休みあけすぐテストでーそのあと文化祭準備だし」
ぼんやりと目の前の姿を眺めながら軽く相槌を打つ。
少し茶色がかった髪、日差しを受けて細い髪がきらきらと色を変えるのをど
こか眩しいと思いながら。
「あんまり泳げなかったなあ」
「はは、そだねぇ」
自転車を押しながら、少女の隣を歩く。
クラスメイトの女子。
何度か同じ班になって、何度か近くの席になって、時たま家の近い自分と帰
り道が同じになったりもする、まだそれきりの関係。
休み時間、女子生徒の会話の中で中心になって話す姿。
授業中、シャーペンを手にノートを見つめる横顔。
ぼんやりと、眺めることしかできなくて。
「ん？」
「……え、あ」
振り向かれて、一瞬心を見透かしたような気がして動揺する。
「どしたの？あっきー」
「あ、いや、ごめん、暑くてぼーっとしてた」
ぼうっとする。
なんとなく、見ているだけで。
「あはっ、そだね、ね、アイスかってこっか？」
「お、さんせー」
「ほら、いこ」
「おー」
笑って走っていく後ろ姿。
ふわふわと揺れる髪。
ミニスカートから伸びた細い足に白ソックス。
頬にほんの少し熱いものを感じつつ、後を追う。
芽生えかけた意識と気恥ずかしさを感じながら。
時系列と舞台
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2002年08月
解説
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http://kataribe.com/IRC/HA06-02/2007/05/20070504.html#000000
朱敏、トラウマ事件の前。どことなく意識していたクラスメイトと。
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以上
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