[KATARIBE 30983] [HA06] チャットログ『正義』

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Date: Tue, 1 May 2007 17:33:44 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30983] [HA06] チャットログ『正義』
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Message-Id: <200705010833.RAA13226@www.mahoroba.ne.jp>
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2007年05月01日:17時33分44秒
Sub:[HA06]チャットログ『正義』:
From:久志


-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
チャットログ『正義』
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登場人物
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 薗煮広矢(そのに・ひろや)
    :吹利県警熱血企画人。別の顔で警備部特務部隊分隊長を務める。
    :親子代々警察一家に生まれ、エリートでもあったらしい。

正義とはなんぞや
----------------

[Hisasi] #二年ほど昔の話 

 薗煮     :「……大分、風が強いな」 
 隊員1    :「ええ、避難勧告も出ています。付近住民は皆近くの小学
        :校に避難しています」

[Hisasi] #薗煮、機動隊時代 
[Hisasi] #暴風雨で避難する住人 

 薗煮     :「ここは頼む、もう一度俺は様子を見てくる。避難の遅れ
        :た者が居ないかそっちも確認してくれ」 
 隊員1    :「はい」 

[Hisasi] #分厚い雨合羽を着込み、ライトを片手に 

 薗煮     :「……上流付近、無人との話を聞いていたが……」 

[Hisasi] #なんか人が居そうな雰囲気を感じて、見に行く 
[Hisasi] #徐々に雲が分厚くなり、大粒の雨がだんだん激しくなっていく。 

 薗煮     :「誰か!誰かいますか!警察です!現在暴風雨による避難
        :勧告が出ています!居たら返事をしてください!」 

[Hisasi] #川沿い上流付近にある 
[Hisasi] #街から大分外れた小屋っぽいもの 

 薗煮     :「……やはり、無人か」 

[Hisasi] #気のせいだったのだろう、引き返すか、と 

 ??     :「うぅ」 
 薗煮     :「!」 

[Hisasi] #小さな声 

 薗煮     :「誰かいるのか!」 

[Hisasi] #小屋の戸を開けて 

 飛頭蛮の少年 :「う……ひっく」 

[Hisasi] #小屋の隅にうずくまった少年 

 薗煮     :「君は!大丈夫か!」 

[Hisasi] #顔を上げて 

 飛頭蛮の少年 :「……誰?」 
 薗煮     :「吹利県警警備部薗煮広矢。君は?」 
 飛頭蛮の少年 :「……(ふるふると首を横に振る)」 
 薗煮     :「どうした?お家の人は?ここは危ない、避難しなければ、
        :な!おいで!」 

[Hisasi] #手を差し出して 

 飛頭蛮の少年 :「……(ぶんぶん首を振る)」 
 薗煮     :「どうしたんだ?家族の人もきっと心配している。おいで、
        :大丈夫だよ」 
 飛頭蛮の少年 :「……ヒト、いや」 
 薗煮     :「……え?」 

[Hisasi] #よく見ると少年の首の辺りに縫い目のようなものがある 

 薗煮     :「……君は」 

[Hisasi] #飛頭蛮の少年 

 薗煮     :「……君は……人、では、ない?」 

 飛頭蛮の少年 :「……イヤだ」 
 薗煮     :「……でもここは危ない、いつ川が増水して流されるかわ
        :からないんだ。大丈夫、俺がついてる、避難しよう」 

[Hisasi] #手を差し出して 

 飛頭蛮の少年 :「……」>膝を抱えて首を振る 
 薗煮     :「怖がらないで、大丈夫だ。絶対に守る」 

[Hisasi] #手を差し出そうとして 
[Hisasi] #轟音 

 薗煮     :「うわっ」 
 飛頭蛮の少年 :「!」>びくっ 
 薗煮     :「何だ!」 

[Hisasi] #入り口に戻って外を見る 
[Hisasi] #流されたっぽい流木がぶつかって増水した川が今にも溢れそうに
      なってる

 薗煮     :「くそっ!」 

[Hisasi] #問答無用で少年の腕を掴んで抱き上げる 

 飛頭蛮の少年 :「!」 
 薗煮     :「避難する!もう一刻の猶予もない!」 

[Hisasi] #少年を抱き上げて、戻ろうとして 
[Hisasi] #戻る道が増水でふさがっている 

 薗煮     :「……くそっ……回り道しか、ないのか」 
 飛頭蛮の少年 :「……うぅ」 

[Hisasi] #少年を抱えたまま、道を探すべく 

 薗煮     :「こちら薗煮、聞こえますか?」 
 声      :『どうした!どこにいる!無事か!』 
 薗煮     :「はい、こちら場所○○。上流付近の小屋から少年を一人
        :保護しました。道が増水の為塞がっており、救助ヘリの出
        :動を要請します」 
 声      :『少年?わかった』 
 薗煮     :「……大丈夫」 
 飛頭蛮の少年 :「……」>震えてしがみついてる 
 薗煮     :「助けを呼んだ、直に救助ヘリが来る。大丈夫だ、俺がつ
        :いてるぞ」 

[Hisasi] #抱きかかえて、空を見上げる 
[Hisasi] #目印用の蛍光オレンジの目印をつけて 

 飛頭蛮の少年 :「……嘘だ」 
 薗煮     :「嘘じゃない」 

[Hisasi] #背中を叩いて、安心させるように 
[Hisasi] #しばし経った後 
[Hisasi] #通信機が鳴る 

 薗煮     :「薗煮です、救助ヘリはまだこちらに向かっていませんか?」
 暗い声    :『……薗煮分隊長』 
 薗煮     :「はい……?」 

[Hisasi] #いつもの救助隊の人の声じゃない 

 薗煮     :「すみません、救助ヘリは……救助隊の通信をお願いします」
 暗い声    :『君は一人か?』 
 薗煮     :「はい。少年を一人保護しています、河川上流にある場所
        :○○から保護した、痩せ型の十歳前後の少年です。体力的
        :に一刻も早い救助をお願いします」 
 暗い声    :『……そうか、君でよかった』 
 薗煮     :「……はい?」 
 暗い声    :『薗煮、少年などいない』 
 薗煮     :「なっ」 
 薗煮     :「どういうことですか!」 
 暗い声    :『……人間の少年はいないということだ』 
 薗煮     :「……それは」 
 暗い声    :『その場所は、かつて居住地の立ち退きに応じず、市の公
        :共活動に繰り返し妨害を続けていた人外達が集会場にして
        :いた場所だ』 
 薗煮     :「!」 
 暗い声    :『立ち退きに応じなかった為に水害対策が遅れ、このよう
        :な事態を招いたのだ』
 薗煮     :「……」
 暗い声    :『繰り返す、人間はいない。薗煮、持ち場に戻れ』 
 薗煮     :「…………っ」 

[Hisasi] #わなわなと震えて 

 飛頭蛮の少年 :「?」 
 薗煮     :「…………」 

[Hisasi] #きゅ、と。少年を抱き上げる手に力をこめて 

 薗煮     :「救助ヘリの出動を要請します」 
 暗い声    :『……命令に従え』 
 薗煮     :「……救助すべき子供がいる、その事実は、変わらない」 
 暗い声    :『薗煮』 

[Hisasi] #通信を切って 
[Hisasi] #ぴぽぱ 

 薗煮     :「薗煮です。聞こえますか」 
 隊員1    :「分隊長!今どちらに!」 
 薗煮     :「ああ、現在場所○○、避難の遅れた子供を一人保護して
        :いる。救助ヘリの出動を要請する……頼む、急いでくれ!」 
 隊員1    :「……あの、住人の避難は完了した、と」 
 薗煮     :「頼む!子供がいるんだ!今すぐ、ヘリを回してくれ!」 
 隊員1    :「……わかりました、なんとかします」 

[Hisasi] #通信終了 

 薗煮     :「……」>ぎゅ、と片手で通信機を握り締めてる 
 飛頭蛮の少年 :「……」>震えてる 
 薗煮     :「大丈夫だ」 

[Hisasi] #通信機をしまって、少年の頭をなでる 

 薗煮     :「俺は正義の味方だぞ」 

[Hisasi] #自分に言い聞かせるように 

 薗煮     :「…………」 

[Hisasi] #そのにひろや、しょうらいのゆめ。
      正義を守るおまわりさんになりたい。

 薗煮     :「…………正義」 

[Hisasi] #命令、子供を見捨てろ 

 薗煮     :「……大丈夫だ」 
 飛頭蛮の少年 :「……うん」 
 薗煮     :「はは、やっと笑ったな少年。なに、大丈夫だ。直にピッ
        :カピカの最新ヘリが救助にくる。めったにできない経験だ
        :ぞ、焼き付けとけ!」 

[Hisasi] #わしわしと頭を撫でて 
[Hisasi] #レインコートを脱いで少年に着せて冷えないように抱きかかえて 

 薗煮     :「……絶対に」 
 飛頭蛮の少年 :「うん」 

[Hisasi] #ぎゅ、っと薗煮の服を掴んで 

 薗煮     :「…………」>空を見上げてる 

[Hisasi] #雨が顔に、眼鏡に当たって、伝う 
[Hisasi] #雨以外のものも、頬を伝ってるようなきもする 
[Hisasi] #空の向こう 

 薗煮     :「っ!来た!」 

[Hisasi] #自衛隊救助ヘリが 

 薗煮     :「来たぞ、助けだ!もう大丈夫だ!」 
 飛頭蛮の少年 :「……あ」 

[Hisasi] #ヘリから救助用ロープがたらされる 

 救助隊    :『薗煮巡査!』 
 薗煮     :「……大丈夫だ、さあ」 
 飛頭蛮の少年 :「……うん」 

[Hisasi] #ロープに少年を固定し、自分も 

 薗煮     :「オーケーだ!上げてくれ!」 

[Hisasi] #雨の中、ヘリがあがっていく 

 薗煮     :「……」>吊り上げられながら 

 #暗い声   :『薗煮、少年などいない』 

[Hisasi] #脳裏によぎる、言葉 

 薗煮     :「……(歯を噛み締める)」 

[Hisasi] #引き上げられて、タオルをわたされつつ 
[Hisasi] #少年にタオルをかけて 

 薗煮     :「もう大丈夫だ、な?」 
 飛頭蛮の少年 :「うん……」 

[Hisasi] #じっと薗煮の顔を見て 

 飛頭蛮の少年 :「ありがとう……」 
 薗煮     :「おう、任せておけ」 

[Hisasi] #にっと笑って 
[Hisasi] #さっきの言葉を胸にしまいこむ 

 薗煮     :「……俺は……」 

[Hisasi] #俺の正義に背かない 


一室にて
--------

[Hisasi] #一室にて 

 暗い声の男  :「薗煮」 
 薗煮     :「……はい」 
 暗い声の男  :「何故、持ち場を離れ職務放棄にも等しい身勝手な行動を
        :とった?」 
 薗煮     :「住民の避難を確認するため、上流付近の建物を確認中、
        :逃げ遅れた少年がいたのを発見し、これを保護しました」 
 暗い声の男  :「…………」 

[Hisasi] #面倒なことしやがってみたいな雰囲気 

 薗煮     :「その結果、隊の行動を乱し、各方面にご迷惑をおかけし
        :た点に関しては処分を覚悟いたします」 
 暗い声の男  :「……物分りの悪い男だ」 
 薗煮     :「…………」 


降格人事
--------

[Hisasi] #後日 
[Hisasi] #薗煮、異動辞令 
[Hisasi] #吹利県警警備部機動隊分隊長から吹利県警交通部交通企画課へ異動 
[Hisasi] #ほぼ降格人事 

 薗煮     :「…………」 
 上司     :「……薗煮」 
 薗煮     :「謹んで、お受けします」 
 上司     :「すまない……私も、随分かけあったのだが……」 
 薗煮     :「いえ、職務放棄ととられても仕方ない行動でした。
        :ご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳ありませんでした」

[Hisasi] #深々と頭を下げて 
[Hisasi] #退出 

 隊員1    :「薗煮分隊長!」 
 隊員2    :「分隊長!」 
 薗煮     :「おう、すまんな!どうしても俺の企画能力が必要とあら
        :ばしかたあるまい!」 

[Hisasi] #ことのほか明るく 

 隊員1    :「……薗煮分隊長……」 

[Hisasi] #薗煮一人が処分されることで他全部お咎めなし 

 隊員2    :「……どうして(歯を噛み締めて)」 
 薗煮     :「しけた顔をするな!わははっ、これからもがっつり俺の
        :魂を交通企画課で生かすさ!任せろ!」 

[Hisasi] #ばん、と隊員達の背を叩いて 

 隊員達    :「……」 

[Hisasi] #踵を鳴らして背筋を伸ばして整列 

 隊員達    :「薗煮分隊長、お元気で!」 

[Hisasi] #びっといっせいに敬礼 

 薗煮     :「…………」>びっと敬礼 

[Hisasi] #背を向けて手を振って歩き去ってゆく薗煮 
[Hisasi] #薗煮が飛ばされた理由、以上 

 離れた場所で。

 薗煮     :「……」>壁に頭突きして 

[Hisasi] #両手をついて 

 薗煮     :「…………ちくしょう」 
 薗煮     :「…………」>ぎゅっと拳を壁におしつけて 

[Hisasi] #ぽつ、ぽつ、と涙が落ちる 
[Hisasi] #少年一人、守れないのか。 
[Hisasi] #何が正義なのか 

 薗煮     :「……(ぶんと頭を振って顔を拳で拭う)」
 薗煮     :「後悔はしない。俺の正義を捻じ曲げたら、師匠に合わせ
        :る顔が無い」

 師匠=西東南北(さいとう・なほ)さん。
 報われない片思い。


あれこれ
--------

[Toyolina] 漢度がUP! 
[Tihiro] かっこいい 
[chita] 迎えにきたヘリコの乗員が薗煮に銃を向けるんじゃないかと思ってた
[Hisasi] きっとこの後一人でボロ泣きした 
[TK-Sleep] # 最後に、テレビで死亡者として報道される少年とかあると 
[TK-Sleep] # 泣ける 
[TK-Sleep] 私も、ヘリコの乗員が少年をパンと撃って「余計な手間をかけさ
      せやがって」とかいうものかと 
[hari] そんな露骨な 
[hari] ちゃんとそのにんを舞台のところに下ろして 
[chita] 上層部が薗煮ごと見捨てようとしたんだけど、仲間に愛されてるから
    救助にきたんだよ、きっと 
[hari] 病院に向かいます、とへりのドアが閉まって 
[hari] ローターが回転を揚げて 
[hari] se:パンッ 
[hari] 飛び立つヘリ 
[hari] くらいに 
[Tihiro] にゃーッ(汗 
[Hisasi] ひいい 
[Hisasi] というわけで歯食いしばってる薗煮さんの背中をぽんと叩いてあげ
     てください、西東さん 
[hari] はっ、とスローモーションになって振り返るそのにん 
[hari] 飛び去っていくヘリを見送って 
[Hisasi] そして、少年とはまったく連絡がとれずどこに入院してるかもわか
     らず
[TK-Sleep] 薗煮広矢、後の仮面ライダーガタックである 
[TK-Sleep] 撤回します 
[kisito] #とりあえず、そんなに少年を殺したいのか……とか思ってしまった
     私は駄目ですか? 
[TK-Sleep] 正しい感性です、大事にしましょう 
[Hisasi] まあ、上がどう思ってても 
[Hisasi] なんも事情を知らない救助隊や他の隊員に存在をしられたので 
[Hisasi] もみ消すわけには 
[Hisasi] 薗煮一人しかしらんかったら見捨てさせた 
[chita] 知ってはいけないことを知った薗煮。彼に迫る危機。そういう展開を
    予想してしまうのもそれはあれそれ 
[TK-Sleep] 消す必要も無いものなら最初から救助しても問題なかろうに 
[TK-Sleep] ハッ、もしやただヘリ飛ばす予算を惜しんでの命令 
[Hisasi] けちくさっw 
[TK-Sleep] ショッパすぎるぜ。なんて世知辛い世の中 
[hari] 予算は、『国民』のために使うものだ 
[hari] 正しい判断といって欲しいものだね 
[Toyolina] 来年の予算取りのために使うものだ、計算が狂っても困る 

 さりげなく漢度あっぷの薗煮広矢。
 ただ恋は報われません、コード的にもPL的にも。

解説
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 http://kataribe.com/IRC/HA06/2007/04/20070418.html#230000
 薗煮広矢、エリート街道を走っていたはずの男が企画に飛ばされるまで。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
以上



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