[KATARIBE 30972] [HA21N] ハントサークル 2

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Thu, 19 Apr 2007 23:53:56 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30972] [HA21N] ハントサークル 2
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200704191453.XAA01525@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 30972

Web:	http://kataribe.com/HA/21/N/
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/30900/30972.html

2007年04月19日:23時53分56秒
Sub:[HA21N] ハントサークル 2:
From:Toyolina


[HA21N] ハントサークル 2
==========================
登場人物
--------
 部長
 宮島希愛


----

 夕暮れの霞山駅は、定時退社してきたサラリーマンや、下校してきた学生で
ごった返していた。
 駅舎の大きな柱の影に、どこか冴えない風体の大学生らしい男が一人、立っ
ていた。ルーズを演出した結果、単にダルくなっているジーンズ姿で、ポケッ
トからは厚みのないヴィトンの財布がはみ出ている。どこかそわそわしながら、
携帯をいじるその男は、明らかに誰かを待っていた。
 しばらくして、男の背後方向からショートカットの女子高生が現れた。大半
の女子高生がそうしているように、携帯をいじりながら男の隣に立つ。
 男が気づいて顔を向けても、女子高生は携帯を見たままだった。

「みやじー?」
「チワーッス、会うの二ヶ月ぶりくらい?」

 平坦なアクセントで応える女子高生。

「前が試験空けだったからそんなもんか」
「いいな大学生、春休み二ヶ月くらいあんでしょ。半分ほしーな」
「無理無理。今2年だっけ、再来年まで待てって」

 人一人分くらい間隔を開けて、軽口をたたく。
 二人が知り合って、一年には少し満たない。ちなみに、きっかけは出会い系
サイト。

「んで、部長、やるんだっけ、結局」
「やるよ? 最後になるだろうけど」

 部長、と呼ばれた男は、即答する。
 彼は在籍している大学で、小さなサークルを主宰しているのだ。みやじーと、
彼に呼ばれている女子高生もそれを知って、部長と呼んでいる。

 彼女は、本名を宮島希愛という。表向きは、至って普通の女子高生だが、彼
女には裏の面があった。『楽園』と呼ばれる秘密結社の幹部の一人なのだ。そ
れを部長が知ったのは出会ってすぐの頃だった。
 それ以来、部長は自らの目的を達成するために、宮島に協力を何度か仰いで
いる。宮島も同様で、手足として部長を使っているのだ。
 そして今回は、宮島が彼らを使うパターンだった。

「じゃあ、はいコレ。あんまりないから大事に使ってよ」

 百貨店の紙バッグを渡す宮島。中には、500mlのペットボトルが三本。

「助かる。どう使うんだったっけ」
「求めよ、さらば与えられん。ほしい効果を考えながら、コップ一杯くらい?
目安で飲んだらいいよ」
「一人一本、4,5回くらいか」
「そんなかんじ。ああそうそう、これ。前の写真はあんまりよくなかったから、
もうちょっとマシなの探してきた」

 コーチの財布から、コピー紙にインクジェットで印刷した写真。前回のもの
よりはマシになっていたが、それでもまだ鮮明とは言い難い代物だった。
 部長はそれを手にとって一瞥する。

「前よりはマシだけど、やっぱイマイチ判別出来ないな」
「ちぇっ、そう言うと思った」

 宮島は、軽くペットボトルの水を口に含んで、部長と唇を重ねる。むしろ、
奪ったといった方がしっくりくる程の勢いで。部長は反応出来ないまま、数秒
硬直したままだった。
 周囲に気づかれるかどうか、ぎりぎりのところで、宮島はさっと離れる。
 口内に入り込む異物の感覚と、同時に流れ込む水の感覚。平行して脳裏に浮
かぶ女子高生の姿。

「大サービスしちゃった」

 上目遣いで、指先で唇を隠しながら、宮島は小さく笑う。
 四つ下の少女に翻弄されながらも、部長は脳裏に浮かんだ映像を、写真から
受ける印象と結びつけようとする。

「なるほどな……大体わかった」
「油断しちゃダメだよ、そいつはそんなナリしてても、瞬きしてる間にアンタ
を殺せるんだから」

 今までいたぶってきた連中とは次元が違う。
 忠告めいたことを言いながら、宮島は、手傷の一つでも負わせられたらラッ
キーなどと考えていた。
 部長が、喉を鳴らして唾を飲み込む。しかし、彼の目に怯えの色はなく、む
しろスリルを楽しむような光があった。

「じゃ、がんばって。応援してっから」
「お、おう、サンキュな」
「いいっていいって。それじゃ、またね」

 手を小さく振って、宮島は改札を通ってホームへと消えていく。
 その姿を見送るでもなく、部長は受け取った荷物をぶらさげて、バス停留所
に向かった。


時系列と舞台
------------
1の数日後。


解説
----
エロい水使いの女子高生とハントサークル部長の再会。


-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
Toyolina




 ---------------------------------------------------------------------
http://kataribe.com/ 語り部総本部(メインサイト)
http://kataribe.com/ML/ メーリングリストの案内
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/ 自動過去ログ
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/30900/30972.html

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage