[KATARIBE 30949] [HA21P] エピソード『還ってくる者〜迎え入れる』

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Date: Tue, 3 Apr 2007 23:43:46 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30949] [HA21P] エピソード『還ってくる者〜迎え入れる』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2007年04月03日:23時43分45秒
Sub:[HA21P]エピソード『還ってくる者〜迎え入れる』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
なんかへれへれですが、またへれへれと流します。
へれへ(殴)
とよりん、ひさしゃん、訂正修正お願いします。

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エピソード『還ってくる者〜迎え入れる』
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登場人物
--------
 片桐壮平(かたぎり・そうへい)
     :吹利県警巡査、魂の無い不死身の男。
 淡蒲萄(うすえび)
     :女子高生吸血鬼。ギリちゃんファミリー長女。

本文
----

 とことこと、戻ってみれば窓の外に立つ人影。くすんだ銀縁の眼鏡と、どこ
か得体の知れない雰囲気。
 見たことがあるだけに、淡蒲萄はむかっとした。

         

 考え込んでいた片桐が目を上げると、いつの間にやら見慣れた人影が目の前
に突っ立っていた。

 片桐     :「おう、うっちゃん」 
 淡蒲萄    :「今の誰? 友達?」 
 片桐     :「ああ……仕事でちょっとな」 

 元々が吸血鬼。気配を消すのはお手の物だろうが、しかしここを『居場所』
にしてから、あんまりそういう気を使わないでいるよう、だったのだが。

 淡蒲萄    :「仕事持ち帰るなんて、らしくないんじゃね」 

 言葉の端々が荒い。
 どうやら不機嫌らしいとは見て取れるが、原因が分からない。片桐は少し肩
をすくめた。

 片桐     :「まあ、少々立て込んでてな。ああ、あと、当分タカはう
        :ちにおるわい」

 とりなすように紡いだ言葉に、ぴしゃりと返事が戻る。

 淡蒲萄    :「だったら尚更。あの人、近づけないでよね」

 実のところ、会ったと言っても通りがかり、それも相手からひょいと言葉を
かけられただけなのだが、とにかく淡蒲萄にしてみれば相性が悪い。生理的に
全くダメな相手なのである。どのくらいダメかといえば、自分はもちろんだけ
ど、こういうちみっちゃい子(=タカ)の情操教育にもヨクナイ……と、確信
をもってしまうくらいダメなのである。
 ……とは、いえ。
 そこらの事情は片桐には全く伝わっていない。従って『なんか不機嫌じゃの
う』とは分かっても、その理由までは思い至らない。

 片桐     :「おう、なるべくならワシも……ここではそうしたい」 
 淡蒲萄    :「なるべく、じゃなくて徹底」 
 片桐     :「……わかった」

 溜息混じりにそう言うと、片桐は表情を引き締めた。

 片桐     :「……うっちゃん」 
 淡蒲萄    :「はい?」
 片桐     :「ちょっとな、話があるんじゃ」 

 もうすっかり寝入ったタカの手をそっと布団の中に入れてやって。

 淡蒲萄    :「ワガママ言ったから頼み事だったら聞くよ」 
 片桐     :「ちょいと外で話したいんじゃ」 

 もう一度、眠っていることを確認するようにタカを見てから、片桐は煙草を
片手に部屋を出た。


 片桐     :「ひとつ、話しておくことがあってのう」 

 屋上から見る空は、どうやら雲が出てきたらしく、月の無い夜にも関わらず
星のひとつも見えない。その空を見るともなしに見ながら、片桐はぽつぽつと
今夜の……そして今夜に繋がる顛末を語りだした。

 タカの父親が、亡き妻を『水』によって取り返せると吹き込まれたこと。
 その為にタカを生贄にし、『水』に叩き込もうとしていたこと。
 ぎりぎりで阻止はしたが、どう考えてもタカをあの父親の元に置くわけには
いかないと判断したこと。
 
 片桐     :「当分な、家には帰さんつもりじゃ……タカのためにも、
        :タカの父のためにも」 

 手にしたタバコは一口か二口吸ったのみ、あとは煙となって流れていくのを
眺めつつ、片桐はゆっくりとそう言った。

 淡蒲萄    :「扶養手当も出ないのに、大変だ。いいよ、あたしは。む
        :しろ大歓迎」
 片桐     :「それで、なあ、いいづらいんじゃが……ワシは男やしな
        :あ……あまり気がまわらんのじゃ」 
 淡蒲萄    :「そうかなって思うけど……それで?」
 片桐     :「で、ワシが気がつかんことがあったら、助けて欲しいん
        :じゃ」

 服一つとってみても、女の子のことは良く分からない。特に相手は、そもそ
も女の子と子供の端境期、本人ですら分かってるのか分かってないのか微妙、
みたいなところのあるタカである。男親一人では少々荷が重い。
 
 片桐     :「それに、多分まだまだ不安だったりするじゃろうから、
        :ワシがいない間余裕があったら見てやってくれんか」
 淡蒲萄    :「ああ、そういうことなら……うん、いいよ」
 片桐     :「……おう、助かるわい」 
 淡蒲萄    :「役に立つかどうか保証ないけど」 

 ふつり、と、そこで言葉が途絶える。
 天使の代わりに、細いタバコの煙が往来する。

 淡蒲萄    :「なんか寒くなっちゃった。お茶飲もうよ」 
 片桐     :「……そうするか」

時系列と舞台
------------
 2007年3月19日〜20日。そろそろ日付が変わる頃。

解説
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 タカを迎える側の二人の会話。
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 てなもんです。
 であであです。
 


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