[KATARIBE 30941] [HA06P] ふにふにゆかりん

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Date: Mon, 2 Apr 2007 15:52:03 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30941] [HA06P] ふにふにゆかりん
To: kataribe-ml@trpg.net
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2007年04月02日:15時52分02秒
Sub:[HA06P] ふにふにゆかりん:
From:Toyolina


[HA06P] ふにふにゆかりん
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登場人物
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 蒼雅紫     お酒を飲むとふにふにになっちゃう
 品咲渚     紫がふにふにになるとどきどきしちゃう


春休みを振り返る
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 三月末日、品咲さんのお家。
 今日もゆかりんがお泊まりに来ている様子。
 一緒に晩ご飯つくって食べて、新年度の始まりを祝っちゃおう、なんて微笑
ましい二人のぷち催し事。

 渚      :「あと30分くらいで、新年度が始まっちゃう」
 紫      :「どきどきしますね」

 両手を軽く握りしめて、興奮を隠しきれない様子の紫。
 まるで大晦日のカウントダウン待ち。

 渚      :「さようなら、ジョシコーセーの紫とうち。こんにちは、
        :ジョシダイセーの紫とうち」
 紫      :「新たな始まりなんですね」

 具体的に、何かあるわけでもないのに、身を乗り出しつつ応える紫。

 渚      :「うん、でもうち一個だけ気に入らんことがあるねん」
 紫      :「どうしたんですか?」
 渚      :「入学式なんやけどな、なんで明後日やねん、っていうね」

 渚      :「もっと春休み欲しい」
 紫      :「……あっという間でしたね」

 入試に追われた慌ただしい数ヶ月。合格発表の後の、慌ただしい数日。
 今、こうして改めて振り返ると、確かに春休みは短かった。


お酒飲んじゃうよ
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 そして無事に、新年度を迎えて。
 お祝いに、二人で焼いたケーキをちまちま食べながら。

 渚      :「高校やなくなって、一番ええのはお酒飲んでも大目に
        :見てもらえることやなあ」
 紫      :「……お酒」

 カクテルの缶を冷蔵庫から出してきて、飲み出す渚。たくさんあるワイング
ラスを引っ張り出してきて、注いで。
 時折泡立つ赤い液体をなんとも美味しそうに飲んでらっしゃる。
 ゆかりんは、お酒と聞いて、時折、お父様がなさっている晩酌と、元旦に頂
いたお屠蘇の味を思い浮かべる。ゆかりんの知っているお酒とは随分違う。

 渚      :「紫もなんか飲む?」
 紫      :「よろしいですか?」

 少し緊張した面持ちで、渚からショットグラスを受け取る。
 まずは、味見といったところ。

 渚      :(紫がどれくらい飲めるか、把握せなあかん)

 普通、大学生になれば、飲み会にそれなりに誘われる。
 いろいろな意味で、間違いを起こさない為にも、紫の限界を把握しておく必
要があった。
 紫の保護者兼親友として自他共に認められ、さらに紫のことが大好きでしょ
うがない渚としては、紫を魔の手から守り通さなければならないのだ。
 しかし。
 ごくん、と一息で飲んでしまう紫。なんとも豪快というか、お酒に馴染んで
いない。

 紫      :「……すこし、甘い、ですね」

 ほわ、とほんのり頬を赤らめて、えへ、と笑う。
 渚が言うところのエンジェルスマイルだ。もっとも、渚にかかれば、紫の笑
顔は全部エンジェルスマイルなのだが。

 渚      :「ジュースみたいな感じで飲みやすいやろー。あんまり
        :ぐでんぐでんになったりせーへんし……」
 紫      :「はい、甘くて飲みやすいです」

 エンジェルスマイルを目の当たりにして、内心ドキドキしつつ、これくらい
なら大丈夫かな、と今回のお酒や主旨について少しだけ解説する。

 渚      :「飲み会やと、グラスが空いた瞬間に、勝手におかわり
        :頼まれたり、勝手に注がれたりするって。限界知っとかん
        :と、急性アル中で救急車とかもあるし」

 もっともらしい理由を述べながらも。
 紫の限界把握という当初の目的は、早くも忘却の彼方。
 紫は、はい、そうですね、えへへ、と既にふにゃふにゃになっている。


ふにふにかわいい
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 渚      :(やべーかわいー、もうちょっと飲ませてみよ……)

 酔った紫がふにふにしているところを、間近でたっぷりと堪能したいという、
微笑ましい魂胆をどうにか隠して、渚がもう一杯、と勧める。

 渚      :「もうこれ以上はあかん、ってなったら、断固ことわらな
        :あかん、そのためにも限界を把握せな」
 紫      :「は、はいっ、では……もういっぱい」

 もう一口だけです、と唇を小さく動かして、こくこくとショットグラスを空
けるゆかりん。

 紫      :「……ふわぁ……」

 ふーっと、堪能するように目をつむり、息を吐く。

 紫      :「おいしい……です」

 すぐ隣に、なんとも和む脱力系の紫の表情。渚もつられてすっかり脱力しきっ
た顔になっている。
 紫は表情だけでなく、体も脱力して、渚の細い肩に寄りかかる。
 その瞬間、一気に動き出す渚の心臓。わかりやすい。

 渚      :「え、なに、もう回った?」
 紫      :「……あれ、まだ少ししか……」

 ふにゃり、と体勢を崩しかける紫。渚は背中に手を回しつつ、ごそごそと座
り直して、紫をしっかりと支える。

 渚      :「うん、ちょっとだけやけど……大丈夫?」
 紫      :「は、はい……なんだか、甘くて……飲んでたら……」

 とろん、としつつもがんばって説明しようとする紫。
 ええとええと、と指をさしたり、仕草をしたり。意思の伝達に役立っている
かどうかはさておき。渚は彼女の身振り手振りを解読出来る数少ない一人だ。
 間近でうんうん、とうなずきながら、紫の髪をなでる。

 紫      :「……でも、ええと……お父様のお酒とはちがって、ふわーっ
        :と甘くてて……えーと」
 渚      :「うんうん、甘くて美味しくて、ついがぶがぶ飲んじゃった?」
 紫      :「はい……それに……渚さまとご一緒だから、その……安心、
        :というか……」

 まぶたがかなり閉じてきて、語尾も不明瞭になってきて。
 それでも意図が通じているのは、やっぱり愛のなせるワザなんだろう。

 渚      :(飲み会でお酒飲ませたらあかんな、これは。ウーロン茶か
        :ソフトドリンク専門にしとかんと)

 渚は心の奥底で固く決意する。
 紫を守るためにも。そして、このふにふにしている紫を独占する為にも。

 渚      :「うん、二人でおるときは、お酒飲んじゃおっか」
 紫      :「……はい」

 安心しきった顔で、渚の肩に。ことんと頭を乗せて。
 そのまま、すぅ、と寝息をたてはじめる。

 渚      :(えへへ、しあわせー)
 紫      :(すぅ)

 大好きなゆかりんにぴったりくっつかれて、幸せいっぱいなみぎーだった。


時系列と舞台
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2007/03/31〜2007/04/01

解説
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ふにふにゆかりんを独占する気満々なみぎー。なんて邪悪。微笑ましすぎる。

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Toyolina 





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