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Date: Tue, 20 Mar 2007 10:24:07 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30918] [HA21P] エピソード『使役者達の亀裂』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2007年03月20日:10時24分06秒
Sub:[HA21P]エピソード『使役者達の亀裂』:
From:久志
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エピソード『使役者達の亀裂』
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登場人物
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宇流盃(うるはい)
:中年。蒼雅を使役するものの一人。
我江埜志(がえのし)
:老人。蒼雅を使役し、霞ヶ池を封じる者の長。
安堵
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吹利の地より現と理を違える、『統制室』と呼ばれる一室にて。数人の男達
が向かい合って座っている。
最年長と思われる顔中に深い皺を刻んだ枯れ枝のような老人が口を開いた。
がえのし :「巧が戻った、と」
うるはい :「はい、以上もなく、手を加えられることもなく」
その声に答えたのは黒々とした髭を湛えた中年の男。満足げに何度も頷きな
がら安堵を隠し切れない様子だった。しかし、それは巧の身を案じてというよ
りも自らの作品に対する一方的な独占欲のようなものを感じさせる。
がえのし :「……そうか、多少負傷しているようだが、いずれ守護の
:任に戻れよう」
うるはい :「無論です。あれは我が傑作、西条のような出来損ないの
:下卑とは比べ物になりません」
履き捨てるような言葉に一瞬がえのしが眉を引くつかせた。
がえのし :「…………時に、綻びについての話に移りたい」
どこか言いよどむように、うるはいの顔色を伺いながら言葉を続ける。
がえのし :「吹利の各所で起きている、綻び……霞ヶ池の侵蝕は霊的、
:肉体的、精神的に……非常に危うい状況下にある」
うるはい :「はい、それは調査により明らかです」
何をいまさらと言わんばかりの顔になるうるはいの顔を伺いつつ、慎重に口
を開く。
がえのし :「ともすれば、全ての境界が侵蝕され、最悪の事態ともな
:りかねん」
うるはい :「それを封じ防ぐ為に我が蒼雅があるのではありませんか」
がえのし :「……ああ、そこで、だな」
視線が泳ぐ、歯に絹が挟まったような物言い。
がえのし :「ひとつ、策があるのだが……いや、またにしよう。巧の
:回復を待ってからのほうがよい」
うるはい :「左様ですか、蒼雅を使う策、と。はは、お任せを」
がえのし :「…………」
満足げに頷くうるはいを眺めながら。今後予定している大浄化の術の内容を
いかに伝え納得させるべきか、がえのしは頭を悩ませていた。
時系列と舞台
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2007年3月上旬。
解説
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http://kataribe.com/IRC/KA-06/2007/03/20070307.html#230000
西条の乱の後。巧の無事に安堵するうるはい。
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以上
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