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Date: Wed, 14 Feb 2007 23:40:26 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30808] [HA21P] エピソード『霊獣、それぞれ』
To: kataribe-ml@trpg.net
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Web: http://kataribe.com/HA/21/P/
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2007年02月14日:23時40分25秒
Sub:[HA21P]エピソード『霊獣、それぞれ』:
From:久志
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エピソード『霊獣、それぞれ』
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登場人物
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秋芳(しゅうほう)
:蒼雅家の霊獣。大鷹。蒼雅巧の対。苦労性。
穂波(ほなみ)
:蒼雅家の霊獣。三本尻尾の狐。蒼雅梓の対。結構好戦的。
墨染(すみぞめ)
:蒼雅家の霊獣。鴉。蒼雅至の対。どこか斜に構えてる。
ぼんやり
--------
夜更け、蒼雅家にて。
濃紺の着物を着込んだ三十半ばの長髪の男、朱袴姿の十代ほどの気の強そう
な若い娘、黒装束に黒髪の二十代ほどの青年がそれぞれ向かい合うように座っ
ている。
それぞれ人の姿を取っているが、いずれも霊獣使い蒼雅家の霊獣であり、
かつて蒼雅に生まれた人間だった存在でもある。
秋芳 :「……こうして、人の身となって我らがまみえるとはな」
:>三十半ばの男
墨染 :「呉羽さまがいらっしゃらぬ様子だが?」
:>二十代ほどの青年
穂波 :「呉羽さまは今回お呼びしなかった。この先、紫さまを水
:に関わらせないようにとの当主さまのご意志です」
:>若い娘
秋芳 :「本来ならば、私と穂波殿のみでもよかったのだが」
重々しく口を開く秋芳に墨染が口を挟む。
墨染 :「そうも参りませんでしょう。蒼雅は尊い人身御供のお家
:……いつなんとき至さまに累が及ぶかわからぬ時に」
穂波 :「墨染殿、不穏な言葉はやめていただきたい」
じろりと睨む穂波の視線を受けて、ひょいと肩をすくめる墨染。
秋芳 :「穂波、墨染……諍いはやめよ」
穂波 :「……はい」<すげー不承不承
墨染 :(腕組みしてむすっと)
とげとげしい空気に一瞬頭痛を覚えつつも、言葉を続ける。
秋芳 :「此度、霞ヶ池による危機により蒼雅当主である巧さま、
:梓さまは御霞の守護を務めることとなった」
墨染 :「使い捨てられる者達から最前線へ送るということですな」
穂波 :(じろっ)
墨染 :(つん)
秋芳、ため息をつきつつ、にらみ合う穂波と墨染を見やる。
秋芳 :「……本来、至さまは守護の任につかれてはいない、が。
:いつなんとき至さまに害が及ばないとも限らない」
墨染 :「無論、主を守るのは何を置いて優先する。貴方を見殺し
:にするという事になろうとも」
穂波 :「私もだ、墨染。お役目の為に身を捨てて尽くされている
:梓さまの為ならば私もなんの躊躇もせぬぞ」
じろりと墨染を睨む穂波。
秋芳 :「お前たち……戦うべき相手を見誤るな」
墨染 :(つん)>穂波から
穂波 :(ふん)>墨染やぶにらみ
秋芳 :「……我々の存在は主をお守りし助けることにある、それ
:以外にはない。わかるな穂波、墨染」
秋芳の言葉に、従容とうなづく二人。
秋芳 :「それが例え、人身御供として命を賭したものになろうと
:変わらぬ」
ゆっくりと二人を見やって。
秋芳 :「穂波、墨染、我らが諍いをしている場合ではない」
墨染 :(じろ)<穂波を
穂波 :(ぎろり)<墨染を
秋芳 :「よいな、二人とも」
墨染 :「……はい」
穂波 :「秋芳様がそうおっしゃるならば」
双方不承不承といった風情で頷くのを見て、内心深々とため息をつく秋芳
だった。
秋芳、ため息
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話し合いを終えて。
秋芳 :「……蒼雅のお家も……生贄の血筋も……安寧の世には
:もう必要ないものと思っていたが」
今まで、巫女を差し出す家として続いてきた家に想いをはせつつ。
秋芳 :「前当主さまが至さまを他家に婿に出したがったのも、
:梓さまの結婚を急いだのも……」
果たさねばならぬ役目。
それは秋芳とて理解している。
だが。
秋芳 :「それでも……逃れられぬか」
自らの対、巧。
御霞守護を言い渡された時の、巧のやりきれない想いに胸が痛む。
すっと立ち上がり、その身を鷹に変じる。
秋芳@鷹 :(ばさっと飛んでゆく)
墨染、誓い
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蒼雅家、至の部屋。
畳間に布団を敷いて眠る至、傍らに座して眠る至の顔を見つめる墨染。
墨染 :「……」
至 :「ふにゃ……むー」>寝返り打ちつつ
墨染 :「なんとしてでも、この危機を乗り越えて。至さまだけは
:蒼雅のお家から抜け、御守りしてさしあげなければ」
寝てる至を起こさぬよう、そっと頭を撫でて。
墨染 :「……お家よりも、至さまの幸せこそが。我が願い」
至 :(すぅすぅ)
墨染 :「必ず、お守りいたします。我が君」
影に溶けるように鴉の姿に変じ、至の枕元でくちばしを羽毛に埋もれさせ体
を丸める。
墨染@鴉 :(お休みなさいませ、至さま)
穂波、苛立ち
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蒼雅家、夜の境内。
穂波 :「……墨染め、お家を愚弄するとは……何たる無礼」
冷たい夜風に吹かれながら、頬を膨らませて歩く穂波。
ふと顔を上げて対である梓のいる社を見上げる。
穂波 :「梓さまも、お家もお役目も……私が御守りしなければ」
婚約者のある身でありながら、御霞の巫女としてその身を捧げなければなら
なかった梓を想い、唇をかみ締める。
穂波 :「……お役目は、果たさねばならぬ」
凛とした眼差しに、迷いはない。
時系列と舞台
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2007年1月ごろ。蒼雅家にて。
解説
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蒼雅家霊獣達の集い。使命は同じながらも、我の強い者ばかり。
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以上。
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