[KATARIBE 30805] [HA21P] エピソード『蒼雅のお役目』

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Date: Wed, 14 Feb 2007 13:12:00 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30805] [HA21P] エピソード『蒼雅のお役目』
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2007年02月14日:13時11分59秒
Sub:[HA21P]エピソード『蒼雅のお役目』:
From:久志


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エピソード『蒼雅のお役目』
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登場キャラクター 
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 蒼雅巧(そうが・たくみ)
     :霊獣使い蒼雅家の長男。現当主。霊獣秋芳を使役する。
 蒼雅彬(そうが・あきら)
     :蒼雅家前当主、巧の父。体を壊して当主を譲った。

お達し
------

 吹利県、蒼雅家。広い敷地に立つ屋敷。その一室で向かい合う父と息子。 
 着物袴姿で背筋も正しく正座し鋭いまなざしでじっと父を見る少年。その目
の前で息子に良く似た面差しの男が深く溜息をついて息子の顔を見る。

 巧      :「……父上」 
 彬      :「……よもや、当主を継がせて幾日も経たないうちに、
        :このような知らせが届くとは」 

 二人の間、目の前に置かれた書状。
 達筆で書かれたらしい文はどこかおどろおどろしい何かを感じさせる。

 彬      :「巧、御霞神社は知っておるな?」
 巧      :「はい、竜神の部下が祭られている神社のひとつ、と」 
 彬      :「そうだ、かつて霞ヶ池を封じた者の一人と伝承され、封印の
        :かなめ石的存在となる、重要な場だ」 
 巧      :「……はい」 

 答える巧の目を見て、彬がひとつ息を吸う。

 彬      :「霞ヶ池、再び、あやしき動きあり」 

 静かな言葉に、巧が思わず手を握り締め唇を噛む。

 彬      :「我が蒼雅、微弱ながらも吹利の安定を担う家の一つ」
 巧      :「はい」 
 彬      :「……蒼雅の新当主として、御守りせよ、巧」 
 巧      :「わかりました」

 両手をついて深々と頭を下げる。

 霞ヶ池の危機。
 平穏な日々の終わり。
 ささやかな希望だった進学の夢が消えていくのを、巧はどこか遠い場所の出
来事のように感じていた。


巫女
----

 同時期。吹利県、蒼雅家。 

 巧      :「父上……その、お話は……」 

 父の言葉に一瞬絶句する巧。

 彬      :「そうだ……梓を、巫女に、と」 
 巧      :「お待ち下さい父上。姉上はもう弧杖に嫁がれる身です。
        :それをっ」

 なおも言葉を続けようとする巧を手で制する。

 彬      :「……私も迷ったのだ、だが我が家でもっとも巫女の資質
        :があり最強の霊獣を持つあの子が適任である、と。お上が
        :判断されたのだ」 
 巧      :「そんな」 

 蒼雅家。地鎮の為に巫女を差し出し、霊獣を従える家。
 時に命を落すこともある任に、既に婚約の決まった梓を差し出すという。
 人より少しとぼけた者であればあるほど、巫女や護人としての力が高いとい
う理由であるとはいえ、あまりに酷い話だ。

 彬      :「……悠長なことを言っていられないのだ」 
 巧      :「他の者をたてるわけにはいかないのですか?」
 彬      :「他に適任となる娘というと……紫しかいない」
 巧      :「……それは」 

 きゅっと、拳を握る。
 姉の梓、従妹の紫。いずれも巧にとってはかけがえのない家族でもある。

 彬      :「しかし、紫では力が足りないのだ……」 
 巧      :「……(唇を噛む)」
 彬      :「それに、至は玖珂家への婿入りが決まっている、当主で
        :ある巧、お前にもしもの事があらば、紫に婿を取らせてお
        :家を繋がせねばならない」

 地鎮の任に就きつつ、蒼雅の血筋も残さねばならない。その大切さは巧とて
承知している。だが、心の片隅にどこかやりきれない想いが微かに燻っていた。

 巧      :「…………わかりました。姉上は、御霞は、私が必ずお守
        :りいたします」 

 深々と頭を下げて。

 姉を、紫を、至を、蒼雅を……そして御霞を、護ることを。
 巧は心に誓った。

時系列 
------ 
 2006年12月下旬。
解説 
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 蒼雅家に課せられた使命。霞ヶ池に立ち向かう為に立つことになる巧。
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以上。

 苦労人、巧。色々背負わされてます、がんばれ。


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