[KATARIBE 30543] [HA] 高技能値狭間イメージ断片その 16

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Date: Mon, 25 Dec 2006 20:52:55 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30543] [HA] 高技能値狭間イメージ断片その 16
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2006年12月25日:20時52分54秒
Sub:[HA] 高技能値狭間イメージ断片その 16:
From:葉月知洋


とりあえず、祝・テスト終了。
で、一気に書く。ただし、気分のままに(こら)
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高技能値狭間イメージ断片その16
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 空鬨獅子騎(あきとき・ししき)
   :日常では『空緋季軋騎(あきびき・きしき)』と言う名前。
    意外と普通の性格。
    非日常世界では戦闘狂。異名はベルセルクかバーサーカーとか殺陣騎。

 白い少女(しろいしょうじょ)
   :獅子騎が勤めている図書館によく来るらしい少女。


とある図書館にて
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 棚がある。それは木でできていて、本がたくさん入っている。
 本棚である。それが部屋中に統一性をもって並べられている。
 図書館である。ここは吹利市内にある図書館である。
 その図書館にパソコンがある。台数は元より少ないが、その中でも本の情報
を管理しているパソコンがある。そのパソコンを扱っている男が居る。
 めがねをかけ、黒いセーターに黒い長ズボンをはいた20代後半の男である。
男の髪はただ墨で塗りつぶしたように黒く、光を跳ね返さない。

「……なるほどね。うん、よし。」

 男はパソコンを見ながら頷き、見ていたものを画面から消して本の管理の画
面へと手元の資料を打ち込み始める。

それから数分後、男の後ろから声が来る。

「空緋季ー、何か新しい本入った?」

 黒い男に話しかけるのは、10歳ほどの白い和服を着た少女である。中でも髪
が雪のように、むしろ、何もない空白のように白いことが目を引く。
 空緋季と呼ばれた男はパソコンから少女の方に視線を動かして返答する。

「うん、幾つか入ってるよ。今はまだちょっと作業中だけど……早く読みたい
んだったら、特別に見てみてもいいよ。」
「わ、ありがと。」

 まっててね、と空緋季は奥のほうに行って本が入っている段ボール箱を抱え
て帰ってきた。

「空緋季、はやくはやく。」
「はいはい。ほら、どうぞ。おとなしくよむんだよ。」
「わかってるよ、空緋季。えーっと、こういうときは『勿論だね?』っていう
んだよね。」

 せかす少女の前にダンボールを置いて、頭をなでて声をかける空緋季と、そ
れに笑いながら応える少女。

「……いつも思うんだけど、君の周りに何か変な日本語のお手本がいない?」

 その少女の返答に苦笑しつつ少女の前にしゃがんで尋ねる空緋季。

「んと、おにぃちゃんの言葉遣い真似してる。」
「……妙なお兄さんだね。」

 やっぱり笑顔で答える少女に先ほどと同じく苦笑で返す空緋季だった。

しばらくするとやはり冬。すぐに暗くなり、いつもより鮮やかな光が街を浮か
び上がらせる。それもそのはず、今日はクリスマスイヴである。
 すでに少女は外が暗くなる前に家へ帰っており、その後は誰も来なかったの
で入った本の作業の殆どを終えることができた空緋季は閉館作業を済まして、
事務室へと入っていった。


路地裏にて
----------

 夜の街、そして寒空。街は本来ならば明るいクリスマスなのだが。
 ここは違う。クリスマスでも、正月でも、盆でも関係なく。建物が光を喰ら
い、そのため何時も暗い、路地裏の中の路地裏。
 そして、今日は絶対に、一般人が来ない場所。
 なぜならば、二重、三重、四重に結界が重ねられているからである。
 その中には十数人程の人影があった。彼らは、半分の当たれで分かれており
、お互い鞄を持って何か話し合っている。

「ハッ、結界張ってチィッと気ィ緩んでやがる……なァ。コイツァつまらん仕
事になりそうだぜェ?」

 結界の中の風景をビルの上から見る男がひとり。黒皮ジャケットに黒皮のジ
ーンズをはいた男である。
 その男の髪と眼は、街から溢れる光にうつらず、ただ光を飲み込んでいた。
 しばらくの間、男は結界内を眺めていたが、ふっと、手をジャケットの裏に
入れ、丸っぽい形のものを取り出す。
 それについているピンを抜いて、続けざまに、5つ。結界の中をめがけて投
げる。
 本来ならば、結界に拒まれ弾かれるはずのそれらは、何もないかのように、
結界をすり抜け、その中の人影の間に落ちる。
 突然のことに状況が飲み込めていない様子のそれら。だが時間は容赦なく、
理解するのを待ってくれはしない。
 そして、結界内を数瞬満たす、炎。

「……ハッ。さて、とォ……一体どンくらい生き残ってくれるンだろォ……な
ァ?4人のこりゃァ、上等と思っておくか……なァ。」

 結界内の炎が収縮した後、結界が解除される。結界内の空気を焼き尽くした
のだから当然だろう。そのままでは、次の敵の攻撃云々酸欠で死ぬ。あまり強
固に作りすぎるのも考え物である。
 そして、解かれた結界の中から現れる人影は2人。それぞれ壁や地面に手を
ついて咳き込んでいる。

「2人かよ……すくねェなァ、おィ。まァ、行くぜェ?」

 呆れたような口調でぼやいた後、屋上から跳躍。落下中に闇から大剣と銃を
引きずり出す。2人の内のひとりに向かって大剣を振り下ろし、別のひとりに
向かって銃を向け、2連続でトリガーを引く。

「くッ!」
「ぐわぁっ!」

大剣を振り下ろした相手はぎりぎりで避けたが、銃を向けた相手は二射目の散
弾をかわせず、直撃。辺りに血が散る。

「けッ、よえェなァ……ッたくよォ……つまンねェ。テメェら、つまンな過ぎ
る!歯応え足りねェぞ!それなりに重要な取引なら、もう少し厳重にやっとけ
ってンだよ!ヒャハハハ!」
「……ベルセルク……何故こんな所に…………」

 残ったひとりが上から降りてきて哂い始めた男を見て呟く。

「あァン?テメェらの情報秘匿が弱かったからだろォが。さてと、今回はモノ
渡しゃァ、帰っても良ィぜェ?貴様なんざと戦っても楽しくねェだろうしなァ
。どうせなら、また歯応えのあるヤツを持ってきて欲しいし……なァ?」
「ぐッ……相手が悪すぎる……か。いいだろう。ここはひとまず引こう。しか
し、憶えておけ。必ずや、その魔道具、取り返す。」

 そう言うと何も持たず、走って暗闇の奥へ走り去る男。

「おゥ、待ってるぜェ?目一杯くれよ、戦を……なァ。……………………クハ
、ヒャハハ、ヒャハハハハハハハ!」

 その背中にベルセルクと呼ばれた男はニヤァといった表情を作り、声をかけ
る。そして、誰もいない路地裏に響くのは、男の笑い声。
 街は鮮やかで、路地裏には色に乏しく。街は明るく、路地裏は暗い。

「ようこそ。異界と現実の狭間。必ずその場に存在するが存在しないこの場所
へ。そんな魔道具、ってなァ……ヒャハハハハ!」

 そういって鞄を雑に掴み、更に闇に消えていった。

時系列と舞台
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クリスマス。
図書館と、路地裏にて。

解説 
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獅子騎の日常側を少し出してみました。
意外と良い人とやってます。
終わりは結局狂気ですけれど。
ついでに、魔道具2つ奪取。

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ごめんなさい、マジで好き勝手にやってますね。
世界自体で動く方向性が決まれば、その方向にスライドさせたい所です。
それでは、お付き合い感謝。



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