[KATARIBE 30524] [HA] 高技能値狭間イメージ断片その7

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Date: Thu, 21 Dec 2006 23:08:02 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30524] [HA] 高技能値狭間イメージ断片その7
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2006年12月21日:23時08分02秒
Sub:[HA]高技能値狭間イメージ断片その7:
From:久志


 久志です。
イメージ羅列。吹利県警新キャラ。

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
高技能値狭間イメージ断片その7
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発端
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 吹利県のどこか。
 無人になった廃工場前に佇む二人の男。

 片桐     :「ホンマに、こんなとこにあの男が潜んどるんか?」
 相棒     :「……それを確かめるのが俺らの役目だろう」

 訝しげに建物を眺める、くしゃくしゃとまとまりの無い鳥の巣を思わせるパ
ーマ頭に、年季の入ったよれよれのトレンチコートを羽織った長身の男。その
傍らで淡々とした口調で答える相棒らしいぴっちりしたロングコート姿の男。

 片桐     :「おう、わかっとるがな」

 答えつつ、胸ポケットの拳銃を確かめて。注意深く建物に近寄っていく。

 片桐     :「……しかし、あれやね。大学教授の職捨てて、何でまた
        :踏み外すもんかいな」
 相棒     :「どうだろうな……話によると一人娘が植物状態になって
        :から、変わったという話だが」 

 割れた窓から工場の様子を伺う。
 薄暗い建物の中、奥の部屋からかすかな水音が聞こえてくるのがわかる。

 片桐     :「いくか?」
 相棒     :「ああ」

 SE     :バン

 蹴りあけたドアの向う。
 水を満たした巨大な硝子ケースの前にたつ男。

 片桐     :「……そこまでじゃ」

 真っ直ぐに男に突きつけられる銃口。

 相棒     :「吹利県警の者だ、稲船……観念しろ」 

 淡々と告げる男の声に、稲船と呼ばれた男がゆらりと振り向いた。
 その目は、濁った虚ろな光を湛えていた。

 片桐     :「稲船。あほうなことせんと、おとなしくせえ」

 ぴたりと拳銃を構えたまま、野太い声が響く。
 稲船と呼ばれた男は、突きつけられた銃口にも警察と告げる男の声にもまる
で動じることなくにやりとゆがんだ笑みを浮かべた。

 SE     :ごぼっ 

 男の笑みに答えるように、巨大な硝子ケースにたたえられた水がひとりでに
泡立った。

 相棒     :「……なんだ?」 
 SE     :ばしゃっ 
 片桐     :「な、なんじゃ?!」

 噴出すように立ち上がる水柱。


病室
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 片桐     :「…………あ」 

 うっすらと目を覚ました片桐の視界に飛び込んできたのは、薄汚れた天井。

 片桐     :「……え?」

 がばっと起き上がって見渡す。
 白を基調とした病院の個室、中はベッドと脇に置かれた椅子一つ。

 片桐     :「…………あれは」 

 両手で頭を押さえる。
 着せられた淡いブルーの寝巻きの下の体は傷一つない。

 思い出す、記憶の中。
 口から鼻から入り込み、肺に溢れる水、水、水。
 ひたすらもがき、空気を求める手、手、手。
 そして……同様にもがき苦しむ相棒の姿と、水の中だというのにまるで意に
も介さず薄笑いを浮かべていた男。

 片桐     :「……あいつは!」 

 見渡す。病室には片桐一人。
 どうしてここにいるのか。
 相棒はどうなった?
 稲船は?

 片桐     :「……どうなっとるんじゃ」

 頭を抱えたまま、髪をかきむしる。


弔い
----

 吹利県警、生活安全部。 
 癖だらけのパーマ頭にせいいっぱい櫛をかけた、いかにも制服慣れしていな
い片桐の姿。

 片桐     :「…………」 

 目の前には、黒いリボンがかけられた相棒の写真と周りに飾られた花。

 部長     :「…………やり切れんな」 

 ひっそりと置かれた棺桶に取り縋って泣いているのは、結婚前から片桐もよ
く見知った相棒の妻と小学校にあがって間もないという、子供。

 片桐     :「……なんで、助かったのが……ワシなんじゃろね」 

 一人身で恋人もいない自分がどうして変わりになれなかったのか。

 部長     :「……片桐、後でお前と話したい連中がいるらしい」 
 片桐     :「ワシに?」 


スカウト
--------

 吹利県警、捜査零課。
 不審げにあちこちきょろきょろ見回しながらは言っていく男。
 デスクの前で出迎える男。

 片桐     :「えー、片桐壮平巡査であります」

 着慣れない制服姿のまま、どこかぎこちない敬礼。

 男      :「ああ、座ってくれ」 
 片桐     :「……ワシに、なんぞ用ですかいの」 

 十秒と堅苦しさが持たない片桐に椅子をすすめて口を開く。

 男      :「……君が遭遇したものに、ついてだ」 
 片桐     :(目が険しくなる) 


 窮屈そうにソファにどっかり腰を下ろした片桐。
 立ち上がって目の前を歩きつつ説明する男。

 男      :「……君が助かった理由、これが非常に重要なんだ」
 片桐     :「なんでっしゃろ」 

 片桐の問いに一瞬男が言いよどむ。

 男      :「……少し、言い難いことなのだが……君には、魂がない」
 片桐     :「はい?」 

 なんじゃそら、といわんばかりの顔で片桐が目をむく。

 男      :「その原因は……今回のことではなく、君の過去の出来事
        :で、君は一度、なんらかの要因で魂を抜かれた……そちら
        :に関しては調査中だ」
 片桐     :「ワシ、ここにおりまっしゃろ」 

 憮然とした風に答える。

 男      :「ああ、それは確かなんだ。だが……肉体に魂が無い」
 片桐     :「……そら、そんな……」 

 ぽかんと口を開ける。

 男      :「だから、今回の件で命を失わずにすんだ」 
 片桐     :「……死ぬほど苦しかったんは確かやぞ」
 男      :「ああ、苦しくても死なない。そも魂が無いから死ねない」 
 片桐     :「……そら、なんちゅう……」 

 唖然とした顔になる片桐。

 男      :「……要因は置いておいて。君のその『死なない』という
        :能力を見込んで、君をスカウトしたい」 
 片桐     :「ちょ、またんかい!」 
 男      :「……そして、今回の件の解決に……君の能力を生かして
        :欲しい」
 片桐     :「…………っ」 

 死んだ相棒の顔。
 縋ってなく妻の涙、歯を食いしばってなく子供の姿。
 ぎり、と。歯をかみ締める。

 片桐     :「……やりまっさ、ええ、やらいでか」 


要因
----

 過去風景。
 色とりどりのネオンが光る街並み。
 吹利県警生活安全部による風俗店一斉摘発。
 人外女性をフルタイムで働かせ、利益を得ていた店。

 片桐     :「しっかし……こんなガキくさい娘っこらでよくまあ」
 相棒     :「そういう趣向の店だからな、お前はつまらないかもしれ
        :ないが」 
 片桐     :「おうよ、おネエちゃんは高めの美女に限るわい。ロクに
        :成長しとらん乳臭いガキなぞ女のうちにも入らんわ」 

 からからと笑いながら。

 片桐     :「はいはい、子ヤギさんら。狼さんがきよったで」
 相棒     :「それだとラストが悲惨だぞ」
 片桐     :「じゃかあしいわ」 

 軽口を飛ばしあいながら。

 片桐     :「こっちは最後かいな?」
 相棒     :「ああ、あらかた片付いた」
 片桐     :「あっちはも一度見回ってくるわ」

 赤い回転灯の照らす中、連行される経営者と次々と保護される女性達。
 その片隅、淡い桃色のカーテンの向うガタガタと震える少女が一人。

 片桐     :「なんじゃ、まだおったんか」 

 カーテンを捲ってしゃがんで覗き込む。

 少女     :(びくっ) 

 艶々とした金髪に白い肌、頭に狐のような尖った耳を生やした少女。

 片桐     :「なんじゃ、妙な耳しよって……そういう飾りがはやっと
        :んのか?」

 手を差し出して。

 少女     :(がたがた) 
 片桐     :「なんも捕って喰ったりせんわい。もう、おっかないおっ
        :さんおらんわ、でてきい、な?」

 にやっと笑う片桐の顔を見上げて、恐る恐る手を掴む。

 片桐     :「おし、エエ子じゃ。おーい、こっちにもおったぞ」
 少女     :(ぢーっと片桐を見上げる) 
 片桐     :「おう、もう心配いらんぞ。もうこんなスケスケひらひら
        :服着て嫌なおっさんどものの相手せんでええ」

 わしわしと少女の頭を掴むように撫でて、ふわりと毛布を肩にかけてそっと
背中を撫でた。。

 片桐     :「ほれ、歩けるか?」
 少女     :(じーーーーっと見てる) 

 他の警官たちと話ながら歩いていく片桐の姿をじっと見つめている。


盗難
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 県警某所、片桐と男が向き合ってる。

 男      :「……つまり、だ」 
 片桐     :「……あの、小娘かい」 
 男      :「……その日の翌日から、妙に体が軽くなった、と」 
 片桐     :「妙に疲れが取れて、体が軽く感じたちゅうんは」 
 男      :「それ以前の資料や検査からは異常が全くみられない」 
 片桐     :「なん……あんクソがきゃ、恩を仇でっ」 
 男      :「そのお陰で命を落とさずにすんだんだ、感謝するべきだ
        :ろう」
 片桐     :「……っ」

 立ち上がりかけて、座る。

 片桐     :「…………くそ」 
 男      :「こちらの少女に関してはできる限り調査はする、だが、
        :犯罪もおこしていない以上、調べるのは困難だ」 
 片桐     :「ヒトの魂無断でぶっこぬくのは犯罪ちゃうんか」 
 男      :「刑法上は……」
 片桐     :「……盗難は?」
 男      :「……魂を盗まれました?」 

 貴方の心を盗みました?とでもいわんばかりに。

 片桐     :(がっくりうなだれる) 
 男      :「おいおい、こちらに慣れるということで……しばらく今
        :回の件に集中してくれ」 
 片桐     :「……アイアイサー」 


おまけ
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 謎の水を追う男(魂なし) 

 あいば    :「片桐壮平。人呼んで、魂無しのギリ!」 
 かたぎり   :「誰がタマ無しじゃワレ!」 

 ゲンコツ。


どんな人
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 相羽     :「ギリちゃん?ああ、三度のメシよりキャバクラが好きで、
        :高めのおネエちゃん大好きで、でもいい奴よ?俺と友達や
        :れるくらい心広いし」 

 その辺のオジサンの血吸って回ってたりしても許してもらえる?
 ほんの峰打ち程度。

 片桐     :「ワシの血は勘弁じゃ。カツアゲやオヤジ狩りより紳士的
        :じゃろ」

 匿名希望   :「ギリちゃんねえ……相羽君が結婚したって聞いて、
        :『何を莫迦さらしとんじゃー』とか言ったとか言わないとか」

 とりあえず零課でこきつかわれる不死身の男。
 死なないからお前いけ。

 史久     :「すみません、僕家庭が」 
 片桐     :「……あーしゃあねえな(ぼりぼり頭かいて)」 
 比呂     :「自分は次の大会が」(まて 
 片桐     :「まじかい、ったく優勝せえよ!」 
 和久     :「……子供、うーん自覚しなきゃなって」 
 片桐     :「そおけえ……おっしゃ、ワシがゆくけえ、補佐せい」 

 そんな人。

時系列と舞台
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 いつかのどこか。
解説 
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 断片的なイメージ。吹利県警から不死身の男が参戦。

狭間全般Wiki
 高技能値の狭間 http://hiki.kataribe.com/HA/?HighLevelHazama

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
以上。



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