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Date: Thu, 21 Dec 2006 01:51:25 +0900
From: Subject: [KATARIBE 30519] [HA] 高技能値狭間イメージ断片その5
To: Kataribe-ml <kataribe-ml@trpg.net>
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こんばんは、Catshop/桜井@猫丸屋です。
続けて、今度は被害者の風景を。
──しかし、即興とはいえあまりにステロなシーン描写だなぁ(笑)。
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[HA] 高技能値狭間イメージ断片その5
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しんしょくされる、せかい
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人通り少ない裏路地を、会社帰りのOL風の女が走る。
SE :ぱしゃっぱしゃっぱしゃっ
女 :「はぁっはぁっはぁっはぁっ」
髪を乱し、スカートの裾がまくれるのも構わず走る逃げる。
会社勤めを始めて以来、長らく縁のなかった全力疾走に激しく呼吸が乱れて
いる。
女 :「どうして──」
どうして、わたしがこんな目に。
乱れる呼吸に、言葉にならない。
アスファルトは一面の水溜り。それがまた、慣れない足取りを鈍らせる。
SE :ぱしゃんっ
足をとられて転ぶ。
止まってしまえば、もう立ち上がれなかった。
慌ててあたりを見渡す。
人影はおろか、野良犬の気配さえない。ないことがいっそう不自然で、不安
で──
ずずっ、と水の中から人影が起き上がる。
いや。
それは人影ではない。ただの影だ。
ゆっくりと頭を振り、尻餅をついた姿勢のまま腕の力で必死にあとずさる。
濡れた髪が頬に額に、首筋にまとわりついて邪魔だ。
ぬらり、とのっぺりした影が女の方を向く。
女 :「い、や──」
乾ききってへばりついたような喉を精一杯開いても、やっとそれだけ。
SE :ぱしゃん
少しでも影との間にさえぎるものを求めて、腕を上げる。
腕に水がまとわりつく。
気がつけば、もう水面は胸の下。
おろろろろ──
綺麗な声で影が鳴いて腕を広げる。
女 :「あ、あぁ──」
言葉にならない。
ただ、恐怖と──諦めが声帯を幽かに振るわせる。
まん丸に開いた目で影を見る。恐ろしくて恐ろしくて、見たくもないのに目
をそらせない。
おろろろろ──
ぽっかりと開いた影の口の中に──
女は──
深海の色の青い静寂を見た。
解説
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異形のモノに追われ、襲われる一般人。
・侵されていく日常のイメージ
・他界に侵食される現実
・ホラーテイスト(ホラーではない)を織り込んだ伝奇モノのイメージ
"敵"のイメージワードは『水』と『影』で統一していけたら、イイカンジ
だと思っています。
関連ログ
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語り部IRCログ #KA-05 20061220
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