[KATARIBE 30509] [HA06L] 「スワロウテイルの夜 14 :アゲハの時間」

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Date: Wed, 20 Dec 2006 10:03:12 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30509] [HA06L] 「スワロウテイルの夜 14 :アゲハの時間」
To: kataribe-ml@trpg.net
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2006年12月20日:10時03分11秒
Sub:[HA06L]「スワロウテイルの夜14:アゲハの時間」:
From:Saw


[HA06L]「スワロウテイルの夜14:アゲハの時間」
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登場人物 
-------- 
 揚羽/ソーニャ・ヴラドヴナ :少女、時々吸血鬼。歌を忘れた歌い手。 
 御厨正樹 :揚羽を家族として迎え入れた少年。
 蒼雅紫 :代々の霊獣使い。揚羽の友人。 
 品咲渚 :ごく普通の女子高生。正樹、紫、揚羽の親友。

 豊秋竜胆 :吸血鬼。GARDEN店主。ソーニャの理解者。

夜明け前
--------
──GARDEN 早朝5時。まだ日の出までは時間がある。 

[Toyolina] #もう品咲さんは呼び出されててもいいっすか 
[Saw] #はい 

 ソーニャ   :「さて、何から話し始めたモノか」 
 正樹     :「じゃあ、質問。海に流れ着いてたのは何でだ?」 
 渚      :「なんやまたきっつい言い方して」 
 紫      :「……正樹さま」
 正樹     :「きついかな。」 
 ソーニャ   :「仕方ないよ。私は確かに君達に迷惑をかけたし。『御厨揚
        :羽』とも言ってみれば別人なのだから。では、そこから話し
        :始めよう……そもそも、私は吸血鬼『だった』ものだ」 
 紫      :「……だった、とおっしゃいますと」 
 正樹     :「今は違うのか。」 
 渚      :(よくわからないところから始まったので黙って聞いてる)
 ソーニャ   :「私は400年を吸血鬼として生きた。そして半年前に吸血鬼
        :として滅ぼされた」 
 正樹     :「滅ぼされたって……えらくあっさりと」 
 紫      :「……では、今は」 
 渚      :「四百」
 
[Toyolina] #まさゆかと温度差が激しく生じそうな展開 
[kisilabo] #生まれの問題がありますから。 
[Toyolina] #そこをうまくフォローできるとまさきさまに花丸あげちゃう 
[kisilabo] #……無理じゃないかな、PLにスキルがない。(ぇ 
[Toyolina] #昨日のイベント時みたいに動けば大丈夫じゃないっすかねw 

 ソーニャ   :「滅ぼされたはずなのにこうして存在する以上、あの滅びの
        :意味は私にもよくわからない。とにかく君達と出会ったのは
        :ただの「アゲハ」で、僅かばかりの力を残した人間、なのだ
        :と思う。その後彼女は「御厨揚羽」となりあとは君達も知っ
        :ての通りだ。ただ一つ君達も知らないのは──」 
 紫      :(ごくん) 
 渚      :(つまり今ここにおるのはアゲちゃんやないと) 
 ソーニャ   :「御厨揚羽の中には『吸血鬼としての私』も残っていたとい
        :う事だ」 

[Hisasi] #こう、ソーニャさまは正樹さまがお好きなのだということをゆかり
んが知って 
[Hisasi] #棘を残したい 
[Hisasi] #察するでもよし 
[Saw] #その展開は望むところッス 

 正樹     :「ソーニャ、だっけ? それで、今の状況はどうなってるん
        :だ?……記憶喪失の人が記憶を取り戻したような感じなの 
        :か?」
 ソーニャ   :「それに答えるのは難しいな。揚羽は確かに一人の独立した
        :人間だ。ただそこに私と言う吸血鬼が混じり、いわゆる二重
        :人格──今は解離性人格障害っていうんだっけ? あれに近
        :しい状態なのだと思う」
 紫      :「……それ、では」 
 紫      :「ソーニャさま……は、血を」 

[Hisasi] #どきどき 

 ソーニャ   :「大丈夫、血は吸ってない。信じてくれ。御厨揚羽として生
        :き返ってからは一度も人間は襲っていない。信じがたいかも
        :しれないが──」 
 紫      :「……(じっとソーニャを見て)……」 

[Hisasi] #見透かされそうなほど見て 

 紫      :「…………信じます」>じっと 
 正樹     :「そういや、妙な疲労感を何度か感じたことがあったが……
        :心当たりとかあるか?気のせいかもしれないが。」 

[Hisasi] #嘘だったらとても悲しい顔をしますよ 

 渚      :「信じるっていうか、実際吸われてないしなあ……吸うんや
        :ったら今頃うちらみんな吸われてるやろ」 
 正樹     :「ばれないようにするなら、身内からは吸わないと思うがな」 
 渚      :「なんでまさきさまはそんな、疑ってかかるわけ」 
 正樹     :「こういう性格なんだよ」 

[Toyolina] #あなたは人を信じすぎ>みぎ 

 ソーニャ   :「化物と共に住まわされていたんだ。正樹が気を害するのも
        :当然さ。おそらく今の私がこうして存在するために無意識に
        :正樹から幾度か精気奪っていたのだろう」 
 正樹     :「や、別にソーニャを化け物扱いする気はないけどな。」 
 正樹     :「こうなる前に説明してくれても良かったんじゃないかとは
        :思ってる。」 
 紫      :「……」>そっとソーニャの手をとってみる 
 紫      :「……確かに、貴方とアゲハさまは……目が、違いますね」
 ソーニャ   :「ありがとう……以前、リクトという男に襲われた事があっ
        :ただろう?」 
 正樹     :「あぁ、うん。」 
 紫      :「……あ、あの、店長様のお知り合いの方……ですね」 
 竜胆     :(少し離れたところで。なんだ結さん道理で)
 ソーニャ   :「あの男もやはり私の過去を知り、疑って討伐に来たんだ。
        :彼は事情を話したらあっさり引いてくれたがね。そして九折
        :も──私はね、君達の価値観、法から言えば確かに罪人なん
        :だよ。いくら揚羽と『私』が別物だと言っても、事情を説明
        :したら御厨の家にはいられなくなる。そのことが……正直恐
        :かった」 
 渚      :(ごく。察した) 
 正樹     :「はぁ……そういうことね……」 
 紫      :「……ソーニャさま」 
 紫      :(正樹を見る) 

[Hisasi] #なんかその言葉の裏に 
[Hisasi] #どこかドキリとした何かを感じた 

 正樹     :「まぁ、言わせてもらうと。」 
 正樹     :「だからなんだって感じだけどな。」 
 正樹     :「アゲハがいい子だったのは疑いようがないし、過去とはま
        :ったく関係ないわけだし。」 
 正樹     :「で、ソーニャ。君はまた犯罪を犯そうとしてるのかい?違
        :うだろ?」 
 紫      :「正樹さま……」 
 ソーニャ   :「私は言ってみれば人殺しだ。今は善人だという理由で犯罪
        :者を放置する事は君たちの倫理が許さないだろう。人間と共
        :に生きてしまった以上、その事を軽視することはできない」
 竜胆     :「そうですね、どちらにせよ許されることでは。正樹君が優
        :しいのはよくわかったけど」 
 正樹     :「君が犯罪者だとして、アゲハを巻き込んで罪償うのはいや
        :だけどな。」 
 紫      :「……ソーニャさま、貴方は……どうされるおつもりなんで
        :すか?」 

揚羽の家族
----------

 ソーニャ   :「私は、全てを秘密にしたまま終えるつもりだった」 
 渚      :「さっきからまさきさま聞きすぎや。ソーニャさんの言いた
        :いこと言われへんのちゃうん」 
 ソーニャ   :(渚を見て苦笑し軽く首を振る。私にはそれに答える義務が
        :あると言う風に)
 ソーニャ   :「正樹の言うとおり、アゲハを巻き込みたくはなかった。私
        :が何も言わずに消えればアゲハはただの人として生きられる、
        :そう思おうとしていた」 
 ソーニャ   :「幸い、私はもうすぐ消える存在だしね」 
 紫      :(はっ) 

[Hisasi] #思わず、顔をあげて 
[Hisasi] #ソーニャの顔をじっと見る 

 ソーニャ   :(正樹を見て自虐的に微笑) 
 紫      :(ソーニャとまさきさまをみて) 
 紫      :(ちくり) 

[Hisasi] #ああ、ソーニャ様の気持ちがよくわかります 
[Hisasi] #そして何かが刺さります 

 正樹     :「……お前が消えたらアゲハが残るのか?」 
 ソーニャ   :「そのはずだ。私は言ってみれば御厨揚羽に間借りしてるだ
        :けの存在だからね」 
 正樹     :「……そうか。」 
 紫      :「でも、ソーニャさま……あなたは」 

[Hisasi] #正樹さまにお伝えすることがおありなのでは 

 正樹     :「……じゃー、俺からは聞くことは何もないや。」 
 紫      :「それで……貴方はいいのですか……」>ソーニャ 
 ソーニャ   :(紫をみて軽く首を振る)「こんなことになってしまって申
        :し訳なかったと思う。君達の日常に影響を及ぼす気は微塵も
        :なかった。今後はこの竜胆さんか吸血鬼同士の扶助組織に頼
        :るさ。そうすればきっともう妙な事は起きない。安心して欲
        :しい」
 渚      :「よくわからんけど、お別れなん?」 
 ソーニャ   :「それが妥当だ」
 正樹     :「何を馬鹿なことを言ってる。いないほうが日常に影響があ
        :るっての」 
 紫      :「そうですっ」 
 ソーニャ   :「……私が消えて、その後何もないようであれば……『ただ
        :の御厨揚羽』が君達の生活に再び入り込むことは、許される
        :のだろうか……?」 
 紫      :「アゲハさまは……家族です」 

ソーニャの時間
--------------

 しばしの沈黙。

 正樹     :「いや、別にソーニャも居たら良いじゃん。」 
 ソーニャ   :(正樹の言葉で下を向く) 
 竜胆     :「正樹君」 
 正樹     :「何があったのかは知らんが、消えるまで俺の妹やってれば
        :いいじゃないか。」 
 正樹     :「嫌なら、別に無理は言わない。」 
 ソーニャ   :「まったく。キミは本当に……」

 ソーニャ   :「──私はこれから記憶を失っていく。そうしたらこうして
        :まともに話す事もきっと出来なくなるだろう。きっととても
        :無様なことになる。そんな私といる事に君が耐えられるとは
        :思えない」 
 正樹     :「……お前はどうしたいんだ?」 
 正樹     :「迷惑とか、そういったことなしで。」 
 ソーニャ   :「私くらいの年になるとね、迷惑とかそう言った事抜きで何
        :かを決める事なんて…………いや、すまない。私に意気地が
        :ないだけか。いつもアレほど正樹に説教していたのに自分の
        :事になるトコのざまだ」 
 竜胆     :「最期くらい甘えてもいいんではないでしょうか、ソーニャ」 
 竜胆     :「正樹君にその覚悟があれば……ですけど。君の想像の範疇
        :に収まらない事態であるとは言っておく」 
 紫      :「正樹さま、ソーニャさまは自分が変わっていってしまうと
        :ころを正樹さまに見られたくないんです」 
 紫      :「……でも、それでも……正樹さまも私も渚さまも……アゲ
        :ハさま、ソーニャさまどちらも家族だと思ってるんです」 

[Hisasi] #ぎゅっと膝の上で両手をにぎって 

 正樹     :「……」 
 ソーニャ   :「皆さん、少しだけ正樹と二人で話をさせて貰っていいだろうか」 
 竜胆     :「どうぞ、あちらを使ってください」 
 紫      :「……はい」 
 ソーニャ   :(頭を下げて移動) 

[Hisasi] #待ってる 


タヨリタイ
----------
 ソーニャ   :(沈黙……沈黙……沈黙……) 
 正樹     :「……消える前とか、具体的にどうなるのか想像はつくのか?」 
 ソーニャ   :「まずは君達のこともわからなくなるだろう。そして私自身
        :の事も。まあ、それは覚悟していた事だ。別にいい。ただ、
        :そのことで君が『揚羽』についてまでしこりを残してしまわ
        :ないか、それが恐い」 
 正樹     :「大丈夫だろ。」 
 ソーニャ   :「何故そう言いきれる!」(声を荒げる) 
 正樹     :「……俺は変人だからな。」 
 正樹     :「……紫や渚はあわせないほうが良いかも知れないが……」
 
 ソーニャ   :(諦めたように嘆息)「……怒鳴って悪かった。別に信用し
        :ないわけじゃないんだ」 
 正樹     :「言いたいことはなんとなくわかるけどな、心配してるんだ
        :ろ?」 
 正樹     :「正直、ソーニャを引き止めてるのは俺の自己満足だしわが
        :ままだけど……」 
 ソーニャ   :(話を変えるように)「さっき、一人で何も言わずに消える
        :つもりだったと言っただろう。アレは半分嘘だ」 
 正樹     :「半分?」 
 ソーニャ   :「正樹、君にだけは聞いて欲しかった──」 
 正樹     :「それは……どうして?」 
 ソーニャ   :「君がきみだからさ」(正樹に向かい合うように立つ) 

[Hisasi] #まさきさまこのやろーーー 
[Hisasi] #けりてえヨ!? 
[Toyolina] #(・Д・) 
[kisilabo] #またかっ、またなのかっ 

 正樹     :「……良くわからんが……ほめてるのか?」
 ソーニャ   :「私は最後に、どうしても名乗りたかった。君にだけは」
 正樹     :「…………」
 ソーニャ   :「私はソーニャ・ブラドヴナ。過去、黄金と呼ばれた吸血鬼
        :だ。音楽を忘れた歌い手だ。私は今此処にいる!」
 正樹     :「…!」
 ソーニャ   :(正樹の胸を掴む)「忘れないで! 私はいたんだ。今、こ
        :の時に! 確かにっ」 
 ソーニャ   :(正樹の胸に頭をうずめる)「頼む。覚えてくれているだけ
        :でいい。誰からも忘れられるのは、今の私には辛い」 
 正樹     :「……操糸の魔術師、御厨正樹。創作と爆発を併せ持つもの。
        :私はソーニャのことを忘れない。」

[Toyolina] #カッケエ 

 ソーニャ   :(振り返り、登りつつある朝日に臨む)「頼って、いいのかい?」 
 正樹     :「はっ、俺を誰だと思ってる?天下のマッドサイエンティス
        :ト、吹利学校の爆発魔、御厨正樹様ですよ?」 

[Toyolina] #落とした 
[kisilabo] #落差がひどいw 

 ソーニャ   :(笑みで答える)「みんなを呼んできてくれ」 
 正樹     :「わかった。」 

解説 
---- 
 約束。

狭間06hiki-スワロウテイルの夜 
http://hiki.kataribe.jp/HA06/?SwallowtailsNight 

$$


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