[KATARIBE 30376] [HA06P]エピソード『ハロウィンがやってくる』

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Date: Thu, 23 Nov 2006 23:53:42 +0900
From: Aoi Hajime <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 30376] [HA06P]エピソード『ハロウィンがやってくる』
To: kataribe-ml@trpg.net
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こんにちは、葵でっす
季節感てなんですかー美味しいんですかー(w

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エピソード『ハロウィンがやってくる』
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登場人物
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如月 尊(きさらぎ・みこと):思い込んだらまっしぐら、最近らう゛らう゛
               街道驀進中の花屋のお姉さん。(注:三十路)
               ところで、本業はどうした。

如月 夾(きさらぎ・きょう):とってもお姉ちゃん思い&働きものの女の子。
               じつは、花屋はこの子で持っているのかも知
               れない。

奈良井・トレース・知恵(ならい・−・ちえ):そのマイペースっぷりはもはや
               芸術の域。如月しすたーS’最強の誉れも高い。

軽部片帆(かるべ・かたほ):いつの間にか如月しすたーS’に巻き込まれた
              片帆さん、でも色々毒されて来てる気がします。

本宮和久(もとみや・かずひさ):県警好感度No.1を誇る好青年お巡りさん。
              今後一筋縄でいくんでしょうか。


れっつはろうぃん
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 十月末のある昼下がり。

 SE:Tel..Tel..Te..

 尊       :「はい、お電話有難うございます、FLOWER SHOP Mikoで
         :す」
 商店会長    :「やぁ、如月さん、いま時間良いかね?」
 尊       :「あ、商店会長さん、はい、大丈夫ですよ? 今日は何
         :か?」
 商店会長    :「例のえーと、なんだっけか、あの十月の末にやる、は
         :ろ…なんだっけ?」
 尊       :「はろ……ハロウィンですか?」
 商店会長    :「そうそう、その、ハロウィンなんだけどねぇ、実は商
         :店会一同でセールに合わせて仮装しようかと言う案が出
         :てねえ」
 尊       :「か……仮装ですか?(汗)」
 商店会長    :「うむ、全店あげてやることにしたから、如月さん所も
         :よろしく、あ、衣装代は領収証を後で商店会に回してね」
 尊       :「ちょ、ちょっと、会長さんっ!?」
 商店会長    :「如月さんところは可愛い女の子ばっかりだから、期待
         :しちょるよ? そういうことで、ひとつヨロシク」
 尊       :「あ、ちょっと!?」

 がちゃっ。
 つーつーつー。

 尊       :「…………(滝汗)」

 その日の晩。

 片帆      :「はぁ……コスプレですか」
 尊       :「こす……ま、まあ確かにコスプレには違いないでけど
         :(汗) でもホント、一方的なんだから……酷いですよ
         :ねぇ?」
 片帆      :「いいんじゃないですか?(あっさり)」
 尊       :「え゛?」

 そんなアッサリ(笑)

 片帆      :「だって、尊さん大概のもの似合いそうですし、それに」
 尊       :「それに?」
 片帆      :「一回くらい、派手な格好であの朴念仁の度肝抜いてお
         :くのも良いかも知れませんよ?」

 ニヤリと笑う片帆さん。
 「あの朴念仁」が誰を指すかは推して知るべし。

 尊       :「でも、えーと……それは、あの……(視線がうろうろ)」
 尊       :「と、とりあえず、無難な所で済ませ……」
 片帆      :「ダメです(びしっ) 商店会の催しならキッチリやら
         :ないと、ですよね?」

 ですよね、と笑って尊の後ろに視線を投げる片帆さん。
 振り返ると。

 夾       :「おねえちゃんガンバですっ(にっこり)」
 知恵      :(ぐっ:さむずあっぷ)

 にっこり笑って並んでる二人。
 包囲網完成です。

 尊       :「あう(観念)」

 数日後。

十月三十一日
------------

 和久      :「なんだか街が騒がしいなぁ……」

 トコトコと勤務開けの道を歩く和久君。
 町中がハロウィン一色になっています。
 それもそのはず、商店街挙げてのハロウィンセールになってるのですから。

 煙草屋の婆ちゃん:「おや、本宮さんお仕事終わりかい」
 和久      :「あ、おばあちゃ……」

 後ろから声をかけられて振り返った瞬間表情が固まりました。

 煙草屋の婆ちゃん:「どーしたね、鳩が豆鉄砲喰らったような顔して……
         :ひっひっひ」
 和久      :「……(汗)」

 鳩が豆鉄砲と言うより、犬がエアガンで撃たれたみたいな状況ですが。
 いつも穏やかに店番してる煙草屋の婆ちゃんが。
 白髪をボサボサに垂らして、三角帽子被って、鷲鼻のつけ鼻つけて、ねじ曲
がった杖ついて。
 どっからどーみても「おとぎ話の悪い魔法使いお婆さん」になってたら。

 和久      :「お婆ちゃん、その格好……」
 煙草屋の婆ちゃん:「商店街セールの『いべんと』でのう、こすぷれぢゃよ、
         :ひっひっひ」

 その笑い方、似合いすぎてコワイのでやめてください。
 ほら、子供が半泣きで逃げて行きましたよ?

 和久      :「そ、そうなんですか(汗) が、頑張って下さいねー
         :(後ずさり)」
 煙草屋の婆ちゃん:「そうそう、本宮さんや」
 和久      :「はい?」
 煙草屋の婆ちゃん:「今日も花屋のみこちゃんの所行くんじゃろ?」
 和久      :「えー、その、はい(ちょっと赤面)」
 煙草屋の婆ちゃん:「そうかえそうかえ……楽しみにしていくがええぞ?
         :ひっひっひっひっ……ワシももう少し若かったらあんな
         :格好してみたいもんじゃて、ひっひっひっ」

 いや、だからコワイって(笑)

 和久      :「あんな格好って……」

 とりあえず、首を捻りながらも花屋に向かう和久君でした。
 で。

 夾       :「あ、おにいちゃんこんにちはー」
 和久      :「こんにちは夾ちゃん、夾ちゃんもハロウィンの仮装か
         :い?」
 夾       :「はいですっ」

 奥から出てきた夾ちゃん。
 サイズが合ってないのか、袖が余って裾を引きずっちゃうだぶだぶの魔女衣
装に顔が半分隠れる三角帽子を斜めに被って。
 ☆の飾りの付いたステッキもって。

 和久      :「中々似合うよ?」
 夾       :「えへへ……あ、お姉ちゃんならちょうど今、上で着替
         :えてますよ? 上あがります?」
 和久      :「い、いや、じゃぁちょっと待ってた方が良いかな(汗)」

 一瞬、以前うっかり尊の入浴中にドアを開けてしまった事を思い出して冷や
汗をかく和久君。
 もう一度……もとい、もう二度とアレはやってはマズイなと思い直す。

 和久      :「それにしても……」

 ガラス窓には、ナイトメアのスプレーペイント。
 ぐるっと店内を見回すと、色々取りそろえられたハロウィンの飾り付け。

 和久      :「ハロウィン一色だねえ」
 知恵      :「こんばんは、本宮さん」
 和久      :「ああ、知恵さん(振り向き)こんば……うぁぁぁっ(汗)」

 ご丁寧に目を光らせてのっそり立ってる Jack-o'-Lantern (カボチャのお化け)。

 知恵      :「どうしました?(ずいっ)」

 迫る Jack-o'-Lantern(笑)

 和久      :「(指さして口ぱくぱく)」
 夾       :「……知恵さん、その被ってるカボチャ取った方が良い
         :と思うです」
 知恵      :「判りました(頭に被ってるくり抜いたカボチャをすぽ
         :んと取る)
         :これで宜しいですか」
 和久      :「び……びっくりした……」
 知恵      :「トリック・オア・トリートです」

 毎度おなじみ、人差し指をピッとたてて。

 和久      :「ああ、そうか(笑) お菓子なら……はい」

 肩から提げたバッグから首飾り状にしたキャンディーを取り出し知恵ちゃんの首にかけてあげる。

 知恵      :「ありがとう御座います(ぺこり)」

 ……って、もう先に悪戯しとるやん。

 和久      :「夾ちゃんにも(首にかける)」
 夾       :「ありがとうですー(かけて貰う)」
 片帆      :「なーにやってるの?」
 夾       :「あ、片帆おねえちゃん」

 お店の奥、二階からつながる階段から下りてきた片帆さん、なぜか和久君の顔をみてニヤっと。

 片帆      :「そこ、なに油売ってるんですか、さっさと上あがるっ(びしっ)」
 和久      :「え?」
 夾       :「おねえちゃん、気合入れてましたもんねえ(笑)」

 いや、周りが、だと思うんですが。

 和久      :「え、あの……」
 片帆      :「さっさと上あがるっ」
 夾       :「行くですっ」
 和久      :「え、あ、はい」

 追い立てられるように二階へ上がる和久君。

 和久      :「なんだか……」

 今までのパターンからすると、この尊さんの部屋のドアを開けるのが怖いような。
 ……でも楽しみのような。

 和久      :「……尊さん?」

 軽くドアをノックして。
 暫く待ったけど、返事が無くて。

 和久      :「あれ? 尊さ……(ドアを開ける)」

 真っ暗な室内、微かな人の気配

 尊       :「和久……くん?」
 和久      :「尊さん? 真っ暗で……電気つけますよ?」
 尊       :「あっちょっまっ……」

 ぱちっ。

 和久      :「真っ暗にしてどう……」

 この時の心境を和久君は後にこう語っている。
 曰く、「色々コスプレを見たけど、アレが一番心臓に負担が掛かった」
 と。

 尊       :(照)
 和久      :「……そ……れ」
 尊       :「うん……その……片帆さんと、夾ちゃんとに……」

 黒レザーの編み上げブーツ。
 黒レザーのショートパンツに、上半身は胸元を皮紐で編み上げた光沢ある黒
レザーのビスチェ。
 ご丁寧にビスチェの背中からは黒いシルクにワイヤーの骨組みが入った蝙蝠
の羽根が広がって。
 真っ白い肌と黒いレザー、薄く透き通る黒シルクの羽根と黒髪。
 まるで。

 尊       :「ちょ、ちょっとやり過ぎ」
 和久      :(ぼーぜん)

 強めに惹かれたアイシャドウと長い睫。

 尊       :「だよ……ね(照)」

 深紅の唇に。

 和久      :「……い、や……」
 尊       :「えっと…… Kiss me or treat?(くすっ)」


時系列 
------ 
 2006年10月末。

解説 
---- 

 えーと、最後の一言を書きたくて(脱兎

$$
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Aoi Hajime  gandalf@petmail.net

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