[KATARIBE 30356] [HA06P]エピソード『豆柴&豆柴』

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Date: Mon, 20 Nov 2006 18:29:43 +0900
From: 葵一 <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 30356] [HA06P]エピソード『豆柴&豆柴』
To: ML <kataribe-ml@trpg.net>
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Web:	http://kataribe.com/HA/06/P/
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こんにちは、葵でっす。
ちと古いログでしたが、埋もれさせるのは勿体無いのでちと手直ししました。

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エピソード『豆柴&豆柴』
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登場人物
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 如月 尊(きさらぎ・みこと):吹利商店街で花屋を経営するお姉さん。
                本業は退魔師だけど、最近は御無沙汰。
                年下の彼氏とらう゛街道邁進中(笑。
http://hiki.kataribe.jp/HA06/?KisaragiMikoto

 奈良井・トレース・知恵(ならい・−・ちえ):如月しすたーS’の中堅
                その発言は時として旋風を巻き起こす。
                本人悪気ないんですよ?(笑
http://hiki.kataribe.jp/HA06/?NaraiChie

 本宮 和久(もとみや・かずひさ):県警で最も子供に人気のあるお巡りさ
                んの称号を持つ男。
                愛称、豆柴。
                年上彼女の尊とただいまお付き合い中。
http://hiki.kataribe.jp/HA06/?Motomiyakazuhisa



秋の夕暮れの
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 和久      :「は……っくしゅんっ! うー……めっきり寒くなった
         :なあ」

 カサカサと軽い音を立てて風に舞うプラタナスの落ち葉を踏みしめて歩く仕
事帰り。
 真直ぐ帰る道からはちょっと外れる商店街。
 目的地は。

 SE:ピンポーン


豆柴 VS 豆柴
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 和久      :「こんばんは、尊さん」
 尊       :「あ、いらっしゃい和久君」
 和久      :「今日もお弁当ありがとうございました、鳥の唐揚美味
         :しかったですよ」
 尊       :「よかった、ちょっと味濃かったかなと思ったんだけど
         :(にこ)」

 ご馳走様でした、と空の弁当箱を返すと。

 和久      :「ん?」

 薄いピンクのスェットの上下に軽く束ねた髪、それにお気に入りのクマ柄の
半纏と、ラフな室内着なのはいつもとして。
 昨日拝見した時より胸部のサイズが五割増し(当社比)なのは、何故なんで
しょうか。

 SE:もぞっ

 和久      :「え゛?」

 その五割増し(当社比)となっている胸元が明らかに不自然な動きをしてい
ます。

 尊       :「ちょっ、あははっくすぐったっ……」

 SE:もぞもぞ

 ひょこっと、胸元から顔を出す顔。

 和久      :「わっ(汗)」
 犬       :「わふ?」

 こげ茶色の毛にピンと立った耳、クリクリと愛らしい目と引き締まった顔立
ち。
 どっからみても。

 和久      :「尊さん、その……犬は……」
 尊       :「うん、豆柴〜(くすくす)」
 和久      :「ど、どうして……(滝汗)」
 尊       :「旅行に出かけるお客さんに頼まれてね、数日預かる事
         :になったの」

 と、わんこの顔が引っ込んでまたもぞもぞと。

 尊       :「あはっ……ちょっ……くすぐったいったらっ……こぉら
         :(トレーナーの裾から豆柴(not和久君)を引っ張り出す)」
 豆柴(犬)   :「わふん(じたじた)」
 和久      :「な、なんでそんな所に」
 尊       :「この子、人懐っこい上に、かなり寒がりみたい、すーぐ
         :暖かいところに潜り込んで来るんだよ(くす) でもほ
         :ら、可愛いでしょ?」
 豆柴(犬)   :「くーん(抱っこされて撫でられてる)」

 尊に抱きしめられて、撫でられながらふすふすと鼻を鳴らす豆柴(not和久君)。
 一瞬、犬相手に焼き餅焼きそうになって。
 何考えてるんだ俺、いや、でも、と。

 尊       :「ね、可愛いでしょ?」
 和久      :「ええまぁ……」

 若干、憮然となるのは許してあげてください。
 で。

 知恵      :「いらっしゃい、本宮さん」
 和久      :「こんばんは、知恵さん」

 和久君がソファーに腰掛けたら。
 しゃきーん、と取り出されるボール。

 知恵      :「ボールです(和久君に手渡す)」
 和久      :「あの、これをどうしろと(汗」
 知恵      :「……ボールが大好きなのではないのですね」
 知恵      :「では…………フリスビー?(小首をかしげて)」
 和久      :「……(汗)」
 尊       :「……ちえちゃん……(頭痛づきづき)和久君はボール
         :やフリスビーで遊んだりしないから」
 知恵      :「でも、尊さんは豆柴はボールやフリスビーで遊ぶのが
         :大好きといいました(「仔犬の飼い方」と書かれたテー
         :ブルの上の本を指す)そして、本宮さんは豆柴だと聞き
         :ました」

 ぴっ、と指を立てて。

 尊       :「だぁ(滝汗)それは『本物』の豆柴の事を言ったのっ
         :(汗)」

 知恵ちゃん、立てた人差し指を顎に当てて、んー、と考えて。

 知恵      :「(和久君の方を向いて)……本物?」
 和久      :「えーと……(滝汗)」
 尊       :「ちーがーうー(頭抱える) ボールやフリスビーで遊
         :ぶのは犬の豆柴なのっ」
 知恵      :「……わかりました、では、おいで豆柴」
 和久      :(ぴくっ)

 両手を広げて、さぁおいで、と。

 豆柴(犬)   :「わふんっ(とてとて)」
 知恵      :「では、遊んできます、おいで豆柴」
 和久      :(ぴくっ)

 頭ではわかっていても、「豆柴」ワードに反応してしまう和久君。

 尊       :「……(じーっ)」
 和久      :「えっと……(こほん)、あの、尊さん……知恵さんって
         :(汗)」
 尊       :「あ、ああ、御免ね、ちょっとねぇ……学習の方向が……
         :(づつうずきずき)」
 和久      :「……いえ、俺は気にしてませんから(困惑しつつ焦り
         :つつ)」

 でも、と。

 和久      :「……あの、尊さん」

 テーブルに出されたミルクティーを一口飲んでから。

 尊       :「ん?」
 和久      :「俺、犬っぽいですか?(小首かしげ)」
 尊       :「(どきっ)……え?、あ、その……」
 和久      :「……尊さん?」
 尊       :「え、あ、そ、そんなこと無いわよ? うん(汗)」

 さすがに、小首傾げた仕草が可愛くて衝動的に抱き締めたくなったとは言え
ませんでした。

 和久      :「そうだと、いいんですけど……」

 ふう、と溜息ついて。

 和久      :「署内で何故か豆柴呼ばわりが当たり前になってて(汗)
         :……もっと、しゃんとしないとなあ」

 うーむ、と考える姿を眺めて。

 尊       :「和久君……豆芝って……呼ばれるの嫌?」
 和久      :「嫌なわけじゃないんですけど……」
 和久      :「やっぱりまだ、未熟って意味なのかなとか思って」
 尊       :「あたしは好きだけどなぁ、豆芝(にこ)」
 和久      :「そう、ですか(照)……そういって親しんでもらえる
         :のは、正直嬉しいです」
 尊       :「あれ、もしかして、知らないのかな? 豆芝ってね、
         :あの大きさで成犬なんだよ?」
 和久      :「え?」
 尊       :「豆柴ってね、賢くて、普段はやんちゃだけど自分の主
         :人を守るときは自分より大きな強い相手にも勇敢に向かっ
         :てく……」
 和久      :「……」
 尊       :「そんな犬なんだよ(にっこり)」
 和久      :「……そんな風になりたいですね」
 尊       :「なれるといいね(くす)」
 和久      :「……はい」
 和久      :「知恵さんや、蓉子ちゃん達を見てると、自分も多少は
         :大人になったかな、と思います……あの頃はいつも迷った
         :り悩んだりしていて」

 窓から見える空に視線を移して。

 和久      :「……ベーカリーでいろんな人に会うのが楽しかった」
 尊       :「そうね、でも、もう昔のもとみーじゃない、れっきと
         :した大人の和久君なんだから。自信もってドーンといけー
         :(背中ばしん)」
 和久      :「わっ……ありがとうございます、尊さん(くすっと笑う)」
 尊       :「後ろ見てたらね、足元疎かになって転んじゃうよ? 
         :ああすれば良かった、こうすれば良かったなんてのは、
         :臨終間際にすればいいのよ(くす)」
 和久      :「ええ、そうですね。 もたもたしてられません、結構
         :先輩にあれこれしごかれてますし。 今でも、迷ったり
         :悩んだりします。 でも、それが自分だってわかりまし
         :たから」
 尊       :「そうそう、そうでなくちゃ(つい、頭をなでなでと)
         :……っあ(赤面)ご、ごめんっ」
 和久      :「……あ(赤面)」
 尊       :「ご、ごめんなさい……知恵ちゃんで癖になっちゃって
         :……つい(赤面)」
 和久      :「あ、いえ、その……いいです、はい(わたわた)」
 尊       :「(まだ赤面中)……と、とにかく、悩むのは良いけど、
         :後ろ向きな悩みはダメよ?(にこ)」
 和久      :「はい」
 和久      :「後ろ向きに悩んでる時間はないですからね」

 二人の今後の事を考えたら、と付け加えそうになって内心慌てる和久君でした。



時系列 
------ 
 2006年11月初旬。

解説 
---- 
 もともと大分前のログがベースですが今のシーズンに合わせて手直し。
 豆柴君に豆柴を引き合わせたらどうなるか試してみたくて(笑
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葵 一<gandalf@petmail.net>


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