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Date: Fri, 17 Nov 2006 18:01:17 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 30349] [HA06P] エピソード『影で哂う者』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200611170901.SAA43900@www.mahoroba.ne.jp>
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Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
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2006年11月17日:18時01分17秒
Sub:[HA06P] エピソード『影で哂う者』:
From:久志
久志です。
なんかノッてるので一品。
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エピソード『影で哂う者』
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登場キャラクター
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橋本芳弘(はしもと・よしひろ)
:ワーフェレットな空手少年、クラス委員も勤めてるらしい。
男子生徒:樋口に従ってるっぽいいじめっ子男子。狡猾。
いじめられっこ:いじめられてるようです。
樋口恭子(ひぐち・きょうこ)
:陰口女子。小日向素直をいじめるグループの中核に位置する。
放課後
------
吹利高校中等部。人気の無い校舎裏、二人の生徒が向き合っていた。
両手で自らの体を抱え込むように震える小柄な少年と、その姿をじっと見下
ろす細身の少年。
男子生徒 :「ホントはボクだってこんなことしたくないんだよ?」
いじめられっこ:「……(びくっ)」
しおらしい言葉と態度を見せているようにも見えるが、細身の男子生徒の目
はどこか暗い光が宿っていた。一歩細身の少年が足を踏み出す、一度体を大き
く振るわせた小柄な少年は、そのまま両手で頭を守るようにしゃがみこむ。
男子生徒 :「こうしなきゃ、次にボクが標的になっちゃう」
頭を抱え込んだまま震える男子生徒の前で、すっと足を上げ、止める。
男子生徒 :「だから仕方ないんだ──ゴメンね」
その申し訳なさげな声とは裏腹に、その足は鋭く振り下ろされた。
通りがかり
---------
一方、同時刻。
芳弘 :「よいしょ」
脇に廃棄処分用のベニヤ板を抱えて、芳弘は廃棄物置き場のある校舎裏へと
向かっていた。別段クラス委員の仕事でもなんでもなかったのだが、たまたま
通りがかった学年主任の先生に頼まれて、特に断る理由もなく両手で脇に抱え
たベニヤ板を支えながら歩く。
芳弘 :「廃棄物置き場……っと」
人気のない校舎裏、ふと何か鈍く響くような音が聞こえる。
芳弘 :「ん?」
顔を上げた先。
芳弘 :「あ……」
手から落ちたベニヤ板が固い地面に落ちて甲高い音を立てる。
そこには。
男子生徒 :「!」>ばっと振り向く
いじめられっこ:「……」>亀の子のようにうずくまったまま
亀の子のように首をすくめ、て両手で頭をかばったままうずくまる小柄な少
年と、振り上げた足を止めてはじかれたように振り向く細身の少年。二人とも
芳弘には見知ったクラスメイトの顔だった。
芳弘 :「……な」
一瞬、芳弘は絶句した。
クラスでいじめが行われているらしい、という話は聞いていた。
いいことではないが、いじめ自体は珍しいことではないことも知っている。
だが。
頭を抱えてうずくまった少年の背中には、何度も蹴られたらしい靴の跡くっ
きりと残っていて、その目の前で、今まさに蹴りつけんばかりに振り上げた足
が止まっている。
もはや、ケンカとかそんなレベルじゃない。
一方的な暴力だった。
芳弘 :「……お前っ!!」
喉の奥がかぁっと熱くなった。
芳弘 :「何やってんだよっ!」
怒鳴り声を聞いたか聞いてないか。一言も言葉を発せず、細身の少年は身を
翻して走り去っていった。
芳弘 :「待てよっ!」
追おうとして、しゃがみこんだ少年が身じろぎするのが目に映った。慌てて
駆け寄り、倒れた体をゆっくりと起こす。
芳弘 :「大丈夫か?」
いじめられっこ:「……う」
背中一面に、一方的に踏みつけられたと思われる靴の跡がびっしりと残っている。
そっといたわるように背中を撫でて埃を払う。
いじめられっこ:「……(けほっ、けほっ)」
芳弘 :「保健室まで、ついてくよ。歩けるか?」
いじめられっこ:「……うん(こくん)」
咳きこみながらか細い声で答えるクラスメイトの肩を支えながら、芳弘は唇
を噛み締めた。
忠告
----
翌日、昼休み。
昨日と同じ校舎裏で、芳弘は呼び出したクラスメイトと向かい合っていた。
男子生徒 :「…………何、話って」
芳弘 :「あのさ、昨日の事」
男子生徒 :「ああ、あれね」
口ごもる芳弘の顔を一瞥して、目をそらして髪をかきあげた。
男子生徒 :「ボクのこと告げ口する?するよね?見ちゃったんだし。
:いいよ、先生に言えば」
芳弘 :「待てよ」
男子生徒 :「言えばいいじゃん、ボクがいじめてたって。チクればい
:いじゃん、優等生の委員長さん」
芳弘 :「だから、待てって」
男子生徒 :「それとも何?口止め料?いいよ、払うよ、払えばいいん
:だろ」
芳弘 :「違うって!!あのさ、そうじゃなくて。俺が言いたいの
:はさ。あいつのこといじめるの止めて、ちゃんとあいつに
:謝ってくれれば。先生に言わないおくから、だから……」
男子生徒 :「……相変わらず、優等生のいい子ちゃんだね」
吐き捨てるようにつぶやく言葉。
芳弘 :「止めようぜ、そういうの。何が楽しいんだよ?」
男子生徒 :「ボクだって、好きでいじめてると思ってるのかよっ」
芳弘 :「……え?」
男子生徒 :「だって、ああしなきゃ、ああしなきゃ──次はボクがい
:じめられるんだ!」
男子生徒の顔が歪む、目尻に涙が浮かんだ。
芳弘 :「そんなっ……誰が?!」
男子生徒 :「言えるかよ……言ったのがボクだってばれたら……」
おびえたように視線をさまよわせて、がたがたと体を震わせる。
芳弘 :「俺、言わないから!誰に命令されたんだ?」
男子生徒 :「……言えない」
うつむいたまま、肩を震わせる。
芳弘 :「なあ……俺でよかったら、力になるから。教えてくれよ、
:頼む」
男子生徒 :「無理だよ」
芳弘 :「どうして?」
男子生徒 :「……橋本、ボクみたいな弱い立場の人間のことちっとも
:わかってない」
芳弘 :「……なんで……(ずきっ)」
男子生徒 :「力になるって、どうやって?!あいつらのこと叩きのめ
:してもう二度とボクの前に現れないようにしてくれるの?
:報復されそうになっても二十四時間いつでもずっと守って
:くれるの?!できないだろっ!無責任なこと言うなよっ!」
芳弘 :「……それは」
男子生徒 :「橋本は強いからそんな事が言えるんだっ!」
芳弘 :「待てよっ」
振り向きもせず駆けていく背中を見つめて。
芳弘 :「…………強くなんかない」
哂う者
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机の上に座って足を組む女子生徒。その傍らでにやにや笑いを浮かべている
男子生徒。
樋口 :「脆いなあ」
男子生徒 :「ホント、全然手ごたえないよ。腕っ節だけの脳筋だね」
樋口 :「まあいいわ、あんまり委員長サン達に頑張ってもらうと
:ヨシキくんの邪魔になるし」
短いスカートのまま足を組みかえてくすくすと哂う姿。
樋口 :「……あと、目障りなのは」
視線が巡る先。
樋口 :「ま、かませ犬はチビと油ギッシュに任せときましょ」
時系列
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2005年11月初旬。
解説
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色々あるみたいです。
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以上
脆いです、芳弘。
ちなみに男子生徒は猫屋さんがイメージしたいじめっ子を採用。
いじめられてるほうはみぶろさんがよければ素直くんにしてもらうという
手もあるかなあとか思います。
今日は飲みなので来るかはわかりませんが〜
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