[KATARIBE 30342] [HA06P] エピソード『ひそかな声』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Thu, 16 Nov 2006 14:20:39 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 30342] [HA06P] エピソード『ひそかな声』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200611160520.OAA82758@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 30342

Web:	http://kataribe.com/HA/06/P/
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/30300/30342.html

2006年11月16日:14時20分39秒
Sub:[HA06P]エピソード『ひそかな声』:
From:久志


 久志です。
 中学生組のちょっとしたお話。
ダエぽんの配下の陰口女子と芳弘のお話。

いじめっこ女子の設定はこんなんでよろし?>みぶろさん

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
エピソード『ひそかな声』
========================

登場キャラクター 
---------------- 
 橋本芳弘(はしもと・よしひろ)
     :ワーフェレットな空手少年、クラス委員も勤めてるらしい。
 樋口  :陰口女子。小日向素直をいじめるグループの中核に位置する。

放課後
------

 放課後。吹利高校中等部、二年の教室にて。
 橋本芳弘は、クラス委員の仕事として、配ったアンケートをまとめていた。

 芳弘     :「ふぅ」

 再生紙のプリントをまとめて机の上で軽く揃える。

 芳弘     :「部活の時間までまだ少し余裕あるか」

 軽く目を上げて時計を見る。成り行きでなったとはいえ、クラス委員の仕事
はちゃんとこなさなければいけない。
 手にしたプリントの内容。

 『いじめ』についての意識調査。

 芳弘     :「……いじめ、かあ(溜息)」

 学校内でのいじめ。
 それは今に始まったことではなく。芳弘が見た限り、一年の頃からクラスで
も部活でもそこかしこでいじめと思われる事実があることは知っていた。

 芳弘     :「でも……」

 どこか芳弘の神経を刺激する、不快感。
 あるいは動物的六感といったもの。

 何か、少し引っかかる。

 芳弘     :「……嫌な感じだ」

 軽くプリントを揃えなおして廊下に出ようとする。


 樋口     :「そういえば橋本くんと大木さんってさあ……」
 芳弘     :「!」

 ドアの向こう、廊下から複数の女子らしい甲高い声がかすかに聞こえる。

 芳弘     :「…………」>ドアに手をかけたまま出るに出られない


 盗み聞きするつもりはなかった、けど。会話に出てきた名前に思わず芳弘は
手を止めた。

 女子A    :「イイ感じだよねえ、委員長カップル」
 樋口     :「ふふん、最近はいじめ追放とかで二人で色々対策とか考
        :えてるらしいよ?」
 女子A    :「ほんとに対策の話し合いなのかなぁ?」
 樋口     :「どーかしら、ねえ(くすくす)」

 くすくすと忍び笑いをこぼす女子の声。

 芳弘     :「……」>ぎゅっと手を握りしめる

 それは明らかに好意ではなく、二人の仲に対するからかいがこめられていた。

 樋口     :「でもさあ、橋本くんにいじめ問題が解決できるとは思わ
        :ないなあ」
 少女A    :「えーなんで?橋本くん強いじゃん、空手」
 樋口     :「無理だよ、橋本くん。いじめられる子の立場理解できて
        :ないもん」
 芳弘     :「……」>一瞬どきっとした
 樋口     :「橋本くんは強いからいいんだろうけど、他の子みんなが
        :みんな同じだけ強いわけないじゃない」
 少女A    :「そうよねえ、」
 芳弘     :「……」>唇を噛んでいる
 樋口     :「自分がこうだから、みんなもそうだろう……って傲慢よ
        :ねえ。余計いじめられっこを追い詰めてるのがわかんない
        :のよね」
 芳弘     :「……」>なんか刺さってる
 樋口     :「ある意味さあ、いじめより性質悪いわよね。当人に自覚
        :ないんだもの(くすくす)」
 少女A    :「あーなんかひどーい(くすくす)」
 芳弘     :「…………(ずきっ)」
 樋口     :「押し付けがましい正義感ふりかざして空回ってるだけ
        :じゃない?滑稽よねー(くすくす笑う)」
 芳弘     :「……(一瞬口を開きかけて、閉じる)」>手、震えてる

 完全に外に出るタイミングを逸したまま、その場に立ち尽くす。

 少女A    :「あ、そろそろ時間だよ?」
 樋口     :「そだね、いこっか」

 ぱたぱたと廊下を去ってゆく足音。

 芳弘     :「…………」

 閉じたドアの前に立ち尽くしたまま、芳弘は動けなかった。

 芳弘     :「……俺は」

 それ以上、言葉が続かなかった。 

笑み
----

 ちらっと廊下を振り返る樋口。

 樋口     :「…………ふふ(くすくす)」
 少女A    :「どうしたの?」
 樋口     :「ううん、なんでもない(くすくすくす)」


時系列 
------ 
 2005年11月初旬。
解説 
---- 
 いじめグループ陰険女子、ちくちくと陰口。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


 ---------------------------------------------------------------------
http://kataribe.com/ 語り部総本部(メインサイト)
http://kataribe.com/ML/ メーリングリストの案内
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/ 自動過去ログ
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/30300/30342.html

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage