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Date: Wed, 11 Oct 2006 23:45:22 +0900 (JST)
From: ごんべ <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 30233] [HA06P] 持ち寄り EP2006 :秋の風都に若さ実る ( 仮称)
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200610111445.XAA90797@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 30233
Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/30200/30233.html
2006年10月11日:23時45分22秒
Sub:[HA06P] 持ち寄りEP2006:秋の風都に若さ実る (仮称):
From:ごんべ
ごんべです。
今年はネタ出し無しに終わってしまった吹利学校高等部の文化祭ですが、
出し損ねたネタがあったら出してしまおうぜ、と言うことで、適当に情景の
断片を持ち寄ってみる企画を上げてみます。
題して「持ち寄りEP2006:秋の風都に若さ実る」とか何とか。
小説でなくエピソード企画にしたのは、書き加えやすいとか、情景描写が
メインであるのでそのために不足がなければ充分であるとか、そう言った
理由でです。
http://hiki.kataribe.jp/HA06/?FuriHighSchoolCulturalFestival2006_EPEvent
とりあえず珊瑚篇を投げてみます。
ハリさん、鋭司くんを借りてみたので、チェックよろしくです。m(_ _)m
何かネタや情景のある人は、続いてどうぞっ
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持ち寄りEP2006:秋の風都に若さ実る
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時系列
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2006年9月吉日、吹利学校高等部敷地内、文化祭開催期間当日。
遊離逍遙 〜珊瑚
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普通科1年5組の出し物の当番を終えた珊瑚は、友人の誘いに駆けだしてい
くクラスメイトを見送りながら、さて、とひとりごちた。
模擬店の食事に舌鼓を打つわけでもなく、脳内の快楽物質を促進する何かを
求めるわけでもなく、かようにこういったイベントの類に特に感慨を抱かない
身としては、知り合いでもいない限りは、自由時間になったと言ってもてんで
間が保たない。
珊瑚 :「とりあえず独りね。どうしようかしら」
愛菜美に先程連絡を取ったが、彼女はしっかり楽しんでいるようだ。1年早
く学校にいる分、人脈も豊富になっているに違いない。クラスの用事が終わっ
たと思ったら野球部の、と、あちこち駆け回って忙しくしているらしい。
そう言えば陽も、意外と忙しいと見えて、一向にクラスの用事から帰ってく
る様子はない。つっけんどんなイメージで売っているくせをして、「言われれ
ばやる」ものだから、結局いろいろ任されてすっかり馴染んでいるようだ。そ
れにしても焼きそばを焼く係だと言っていたが、うまく焼けるのだろうか?
珊瑚 :「……まあ、去年も来たけれど、良い経験ね。いろいろ見
:ておくに越したことはない、かしら……今回は当事者視点
:でもあることだし」
出歩けば誰か知り合いにも会うだろう、と考えて、珊瑚はパンフレットを片
手に控え室を出た。
……なかなかどうして、普通の女子高生のようである。
校内にはいろんな模擬店が出ており、様々な人波が訪れていた。主に生徒の
家族だと思われるが、同年代、つまり他校の生徒もいるようだ。そう言えば、
龍穴に置いておいた入場チケットは飛ぶように消えたから、このマンモス校が
開催する特大のお祭りを見に来たいと思う需要は、思った以上に多いのかも知
れない。
どこかの運動部が射的をやっている。格子状に並んだ複数の的をおもちゃの
パチンコで特定の配列に撃ち抜けば景品がもらえると言う、一見簡単で破格な
遊びだが、弾が軽く、距離も持たせているため、概ね苦戦するようにできてい
るらしい。
特に興味も持たず通り過ぎかけた珊瑚は、ふと、特等景品の携帯ゲーム機が
ほしいとだだをこねる子供連れを見かけて、声をかけた。
珊瑚 :「坊や……あれが取りたいの?」
:(しゃがんでにっこり)
子供 :「……うん」(ぐすぐす)
ちなみに特等は、全5発の弾で、5×5の格子の的で右上がり斜めビンゴを
成し遂げよ、とある。距離は8m、弾はピンポン球、的の大きさは……
珊瑚 :「わかったわ……お姉ちゃんに任せて」
珊瑚の眼が、きらり、と光った。
素浪人な男女 〜鋭司、珊瑚
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校内をそぞろ歩いていた鋭司は、廊下の向こうから歓声が上がるのを聞いて、
足を向けた。
人波の上から覗いてみるとそこは射的の模擬店で、今まさに一人の女生徒が
パチンコを引き絞り、教室の反対側の的を狙っているところだった。
鋭司 :「おや、あれは霞原クンじゃないかね」
ひょうっ、と弾が放たれ、先程よりもさらに大きな歓声とともに、4つめの
的が撃ち抜かれた。見れば、ビンゴよろしく右上から斜めに4つの穴がきれい
に開いている。残るは左下の1個のみ。
野次馬 :「あっとひっとつっ! あっとひっとつっ!」
自分のことのように興奮する群衆をよそに、当の珊瑚はひどく冷静でいるよ
うに、鋭司には映った。珊瑚は、最後の弾と思しきピンポン球を手にとり、無
造作に見える動きでパチンコのゴムを引いた。
鋭司 :「ほう……実に無駄のない動きであることよ」
その動きが、先程の射と全く同じ位置で動いていることに、鋭司は気付いた。
全く同じだけ引き絞り、そこからわずかに動かして狙いを定めている。
ひゅっ、と放たれた弾は狙い違わず、珊瑚は見事に特等を獲得した。
見物人の興奮は頂点に達し、さらに珊瑚がその商品を惜しげもなく背後にい
た子供にプレゼントするに至っては、店員役の生徒たちもただ苦笑して拍手を
送るしかなかった。
群衆の讃辞をかき分けてその場を去る珊瑚を目で追い、少し離れた場所で、
鋭司は背後から珊瑚に拍手を送った。
鋭司 :「いやはや、全く、見事見事」
珊瑚 :「……あら、周御くん」
振り返った珊瑚は、応援の子供や見物人に見せた笑顔とはうってかわって、
全くの平常心であるように見えた。
珊瑚 :「……見てたのね?」
鋭司 :「うむ。まあ他にも何人か声援を送っていたようであるね」
珊瑚 :「大人げないことをしたわ」(苦笑)
鋭司 :「そうかね? あの偉業は素直に誇れるものであろうし、
:最後の太っ腹ぶりは実に痛快だった」
珊瑚 :「三回分も払えば、出来て当然の成績だわ。格好付けるた
:めとしては、やりすぎたわね」
鋭司 :「ふうむ。つまり霞原嬢は、少々調子に乗ってしまったと、
:思っているのかな?」
珊瑚 :「そんなところかしら」
鋭司 :「もう少し調子に乗ってしまって良いと思うがね。むしろ、
:三回目で得物の特性を把握しきっていたのは素晴らしいと
:言える。誰にでもできることではないよ」
珊瑚 :「……ありがとう」
やはりなぜだか苦笑して、珊瑚は鋭司の讃辞に応えた。
ふと、珊瑚の視線が鋭司の左腕の腕章に止まる。
珊瑚 :「周御くんは生徒会の用事は良いの?」(腕章を指して)
鋭司 :「ああ、これはユニフォームのようなものであるからして、
:別段、常に役員として振る舞っている必要は無いのだよ」
珊瑚 :「でも大変ね」
鋭司 :「大変になれば仕事の方からやってくるというものさ。そ
:の間は自分の時間を楽しんでいればいい」
珊瑚 :「便利な心構えね(笑)」
珊瑚は手首の時計に目をやった。
珊瑚 :「ちょっと時間をつぶしすぎたから行くわね。弟が心配だ
:から」
じゃあ、と言って、飄々と一人廊下を歩いていく珊瑚。
鋭司もにこやかに手を振り、見送って。
鋭司 :「……なかなかどうして、世話焼きお姉さんタイプだねえ」
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とまあ、こんなとこで。
はい、派手にやりすぎました。>珊瑚
それはともかく。
皆さんも、もし良ければご参加いただきたく。
ではでは。
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ごんべ
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