[KATARIBE 30202] [HA06H] 街角で幽霊に出くわす:綺胤凛の場合

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Date: Mon, 25 Sep 2006 20:23:54 +0900 (JST)
From: 葉月知洋  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 30202] [HA06H] 街角で幽霊に出くわす:綺胤凛の場合
To: kataribe-ml@trpg.net
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2006年09月25日:20時23分54秒
Sub:[HA06H] 街角で幽霊に出くわす:綺胤凛の場合:
From:葉月知洋


葉月知洋です。
初挑戦、あなたならどうする。
PLデフォで戦闘に傾き気味?気にしたら負けの方向で……(マテ
さて、新キャラ、綺胤凛。彼で挑戦。
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[HA06H] 街角で幽霊に出くわす:綺胤凛の場合
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とある道にて
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 澄んだ空。雲もなく星の美しき夜。なんて良い夜であろう……ただし、蒸し
暑さを除けばの話である。
「一般で言えば嫌な暑さだな。ふむ、しかしこの程度では特に支障もあるまい」
 で、その蒸し暑い中、平然とした顔で全く身だしなみを崩さずに歩き続けて
いるのは、綺胤凛。
「しかし……今日は面白かった。雑踏の中で花火を見るのも悪くない。むしろ
あの喧騒の中は私の好みだ。来年も行きたいものだ。まぁ、蒸し暑さは段違い
であったが」
友人と遠出した帰りのである。本日は花火大会で、友人達とは現地集合の現
地解散をし、今は逆に誰もいないような道を選んで散歩をかねて帰宅中である
そんな時。
「…………ん、ほう、これは。そういえばここは出ると言う話だったな。八割
の嘘の中にも二割の真実。色々行くと当たるものだね。」
綺胤の視界に、幽霊が。といっても綺胤的には恐怖と言う感情は無い。あるの
は、興味と、己が悪の道に入っているかどうか。
「問おう。君は……悪かね?」
彼の何時もの調子。こういった時、まず最初に確認するのは相手が悪かどう
かである。相手がその問に答えようと、答えなかろうと、この問いだけは外せ
ない。
『ニクイ……ニクイ……イキテイル……モノガ……』
 そんな言葉に綺胤は頷き、
「そうか。今時古風な幽霊も居たものだね。中々に珍しいと思うよ、そのよう
な怨念だけで動いている幽霊は。」
 幽霊が迫り来る。低いうなり声とも響きともとれない音。そして、襲い掛
かってきた。
「君はわかっているのかね?……こうしていることがどういうことかを。」
無論、やられるような真似はしない。襲ってきた幽霊を力で押し返し接近を防
ぐ。そして、まだ彼の言葉は続く。
「これまで、何人を襲ってきたのかね?してm何人を死に至らしめたのかね?」
綺胤は近くにある谷を見――恐らく其処に落としたのだろうと予測を立て、
「ふむ。ああ、何度かニュースになっていたな。このあたりで行方不明者が
出たと。死んだのが先か、落ちたのが先か私は知らない。だが……」
 己の目に力を込めて、冷酷な視線を、幽霊に向ける。
「君はわかっているのかね?君に殺された者たちの、恐怖と、苦しみが。」
 目の前の幽霊に力をかける。
『オオォォォォォ……ニクイ……シネ……シンデシマエ…………』
力に逆らうかのように、怨嗟の声を再び漏らす幽霊。それに対し。
「人の命は一度だよ。いくら理不尽な死を迎えようと、それが結末だ。それは
君に殺されたものたちも同様だが……死人が今を生きる者に手を出してはいけ
ないね。尤も、私の持論なのだがね。して、君は悪ではなく、哀れな一般人の
ような気がするが……」
 ふっ、と視線を逸らし、一息。
「……君を放置すれば之からも死者が出るであろう。そういうわけだ。」
 一息に。幽霊に再び力をかける。但し、消えないぎりぎり程度の力で。
『ウヲォォォ……ヤメロ……ヤメロォォォォォッ』
 綺胤は、呻きの言葉を上げる幽霊に最期の一言。
「さて、消え逝く恐怖と苦しみを……理解したかね?」
 言葉と同時、幽霊を消し飛ばす。後には、紅いコインが残っていた。
「二度目の消滅であろうが、この道を選んでしまったのは君だ。しかし、どう
しても未練で恨みたければ。恨むのならば私を恨みたまえ。悪は恨まれるため
に存在するのだから……」
 最後の言葉は、誰にも届かずに消えていった。
「……さて、今回はどうにも気持ちのいいものではないな……手早く帰るか。」
 そのまま、綺胤は夜の道に消えていく。本当に、残ったのは紅いコインだけ。

 その次の日、一日限りで綺胤になんとなく元気が無かったのは、また別のお
話であるのだが。


時系列
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 2006年8月

解説
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 新キャラでやってみたあなたならどうする。
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えーと、こんなもんなんです。
それでは。失礼致しました。




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