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Date: Wed, 2 Aug 2006 01:19:38 +0900
From: "Toyolina and or Toyolili" <toyolina@gmail.com>
Subject: [KATARIBE 30040] [HA06N] 小説『雨センサー』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <2f58daf20608010919v2f947cd1jcdd11ca879dcae98@mail.gmail.com>
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Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
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今回は別にいちゃついてないですね(・ω・)
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小説『雨センサー』
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登場人物
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御厨正樹(みくりや・まさき) http://kataribe.com/HA/06/C/0534/
創作部部長。マッド科学者。爆発常習者。
品咲 渚(しなざき・みぎわ) http://kataribe.com/HA/06/C/0636/
創作部書記。うるさい関西人。
曇り
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その日は、朝から薄雲ってはいたけれど、雨が降りそうな気配はなかった。
今年は、梅雨入りしても全然雨が降らなかったし、もう七月も半ば近くと
なっていたし。
一応試験前ということで、部活動は控えるように、との通達が出されている
こともあって、放課後の校舎は閑散とし始めていた。
「……せっかくアイデアまとまりかけてるのになあ」
廊下の窓から空を見る。西の空が少し暗くなってきている。
「傘、折りたたみしかないし、帰るかな……どうせ部室、今日は誰も来てない
だろうし」
確認したわけじゃないが、今から部室に顔を出す気にはならなかった。
少し不満だが、帰り道歩きながらでも、考えがまとまるかもしれない。
玄関を出て、すぐのところで。
見慣れた顔の女の子が、脇の花壇の縁に座っていた。花壇とはいっても、
煉瓦を積んで高めに作ってあるので、休み時間や昼休みにはベンチ代わりに
よく使われている。花壇にはあじさいがいくつか植わっていて、この株は、
薄紫の花を咲かせていた。
「お、まさきさま、今お帰り?」
「何してんの、品咲さん」
「いやー。傘忘れたから、ママ来るの待ってるん」
「ま……まだ、雨降ってないけど……?」
あやうく、ママ、に突っ込みを入れそうになったがうまく誤魔化した。
さっきより少しだけ、空模様は危うくなってきているけれど、まだ降っ
てきそうにはない。今から帰れば間に合うんじゃないだろうか。正樹は
そう思った。
「いや、降るよ。帰るんやったら、早くしたほうがええよ」
左膝を抱えるようにして、正樹を見上げる渚。
のち、雨
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「……わかるの?」
「うん、足痛いもん」
……?
雨が降りそうだと、足が痛いってことか?
「……なんか、品咲さんらしくないね。古傷?」
「普段暴れとるからなー」
確かにイメージはしづらい。初めて会ったのは、ほんの数ヶ月前だけど、
なんか、びしばしチョップをしてくる、凶暴なイメージが強かった。今は
凶暴ではないけど、なんとなく考えるより先に体が動きそうな、健康その
ものといったイメージ。
「もしかして、今も痛い?」
「うん、痛いよ。歩くのだるいし、そやから迎えに来てもらうん」
「……歩けないくらい痛い?」
「歩けるけど……歩き方おかしくなるくらいには痛いなー。走ったりとか
絶対無理」
「そっか。まあ、無理してけがしたら元も子もないしね」
うんうん、とうなずく渚。
薄曇りでこれだから、雨が降ったら本当にひどいのかもしれない。
「あー……もうそろそろきそう。まさきさま、はよ帰り?」
「ん、じゃ、品咲さんのセンサー信じて、先に帰らせてもらうよ」
「うん、うちはここで待ってなあかんし。また明日なー」
ばいばい、と小さく手を振って別れる。
校門を出るあたりで、振り返ると。所在なさそうに、膝を抱えている
姿が小さく映った。
しばらく、駅に向かって考えながら歩いていると。
ぱらぱらと、アスファルトに黒い点が現れて、ぽつぽつと路面を叩き
始めた。あわてて鞄から折りたたみ傘を取り出して、開いたところ、雨
脚が少しずつ強くなってくるのだった。
「……本当に降ってきたなあ……すごいな」
まだ、玄関で母親が迎えに来るのを待っているんだろうか。
明日にでも聞いてみよう、晴れてたら教えてくれるだろう。明日も雨
だったら……玄関で聞いてみよう。
時系列
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2006年7月頃 放課後。梅雨明けは近いかも。
解説
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古傷は雨センサー。
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Toyolina
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