[KATARIBE 30009] [HA06N] 小説『家庭内メーリングリスト』

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Date: Fri, 14 Jul 2006 02:02:59 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 30009] [HA06N] 小説『家庭内メーリングリスト』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2006年07月14日:02時02分59秒
Sub:[HA06N]小説『家庭内メーリングリスト』:
From:久志


 久志です。
何となく風景を。
ちひろん、みぶろん、きしとん、台詞修正とかあったらよろしう。

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小説『家庭内メーリングリスト』
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登場キャラクター
----------------
 戸萌葛海(ともえ・かつみ)
     :戸萌家の長女。ボクっ子眼鏡な高校一年生。
 戸萌葛樹(ともえ・かつき)
     :戸萌家の長男。ちょっぴりおとなしい葛海のお兄さん
 戸萌克五郎(ともえ・かつごろう)
     :葛海・葛樹らのお父さん。不動産・建設会社社長だったりする。
 お母さん:克五郎の妻で二人の母。祖母加津子の弟子だったらしい。
 大崎夏澄(おおざき・かすみ)
     :葛海のクラスメイト。野球部マネージャーらしい。
 水沼総(みずぬま・そう)
     :葛海のクラスメイト。同じ弓道部らしい。
 秋風ひかり(あきかぜ・―)
     :葛海の一年先輩。同じ弓道部らしい。
 山本治彦(やまもと・はるひこ)
     :戸萌不動産社員。不幸らしい。

放課後
------

 吹利市、吹利高校高等部。
「うし、じゃあ少し早いが終わりにするか」
 教壇の上、両手についたチョークの粉をはらいながら初老の教師が日直の生
徒に向かって顎をしゃくった。起立礼の号令の後、教室を後にする
静かだった教室内がうって変わって、筆箱をし
まう音や教科書をそろえる音、早速近くの生徒らとおしゃべりを始める声で賑
やかになる。
「おつかれー葛海ちゃん、今日は部活?」
 言うが早いか既に鞄を片手にした夏澄が長い髪を揺らして机に向かったまま
の葛海の顔をひょいと覗き込んだ。
「うん。その前にちょっと生徒会の資料をまとめて提出してからだけど」
「へぇ、大変そうだね」
「まだ引き継いだばっかだし、色々覚えることたくさんあるしね。早く慣れな
いと」
「そっかあ、がんばってね」
「ありがと、夏澄ちゃんは部活?」
「そそ、準備とかたくさんあるからねえ。あ、そろそろいくね」
「はーい、じゃあまた明日ね」
「ばいばい」

『発信者:かつみ
 題名 :今日は
 本文 :葛海です。今日は部活です。ひょっとしたら部活の後で少し生徒会
    :の資料をまとめてるかもしれないので遅くなるかも』

『発信者:おかあさん
 題名 :Re:今日は
 本文 :お母さんです。葛海ちゃん頑張ってるのね、学校もまだ始まって半
    :年も経ってないのに大変ねえ。お母さんは今日はお義母さまとお弟
    :子さん達と一緒に市長さんとのお食事会に出席する予定です。お夕
    :飯はキワさんにお願いしてあるので、遅くなりそうだったらキワさ
    :んに一度連絡してあげてね』

『発信者:かつき
 題名 :Re:今日は
 本文 :葛樹です。生徒会に部活、相変わらず葛海は頑張ってるね。でもあ
    :まり頑張りすぎて無理をしないようにね。ボクは今日はちょっと図
    :書館によってから帰ります』

パパは社長です
--------------

 無機質な白い壁で仕切られた会議室。ホワイトボードに映し出された映像を
指差す山本とその傍らに鷹揚に腰掛けた中年男性――戸萌不動産社長こと戸萌
克五郎。その向かいには同じく貫禄のある壮年の男性ら数名が手元の資料と山
本が指し示すホワイトボードと鷹揚に眺める克五郎とを見比べている。
「わが社をお選びいただくことが、御社にとって最良の選択であるということ
を証明してご覧にいれます。是非、皆様ご一行の程よろしくお願い致します」
 手馴れた手振りで向かいに座る重役方に説明する克五郎。
「前向きに検討させていただきましょう、戸萌さん」
「ええ、お待ちしております」
「いや、お若いのになかなかおっしゃいますな」
 先ほどまでの緊迫した空気が緩んで、克五郎の背後に隠れて小さく息をつく
山本だった。

「さて、ご苦労様だったね山本クン」
「はい、社長」
「まだ少し時間はあるね?」
「ええ、はい。今から移動すれば八時過ぎには」
「んーちょっと寄りたいところがあるんだよね」
「え?は、はい」

『発信者:お父さん
 題名 :いま京都だよo(^-^)o
 本文 :お父さんだよっ(^o^) 今出張で京都に来てます♪
    :やっとながーい打ち合わせ終わったよぉ(><)緊張するよね。
    :帰りはみんなの大好きな蓮屋さんのあま〜い和菓子(*^^*)を買って
    :帰るから楽しみにしててね♪』

部活の後で
----------

 すとんと伸ばした背筋。
 顔は真っ直ぐ左を向いたまま、弓を持つ左手と弦に添えた右手を高く挙げ、
精神を集中する。肩に力が入り過ぎないよう、左右均等に肩を下ろしながら
ゆっくりと弦にかけた右手に力を込めつつ弓を引く。
 そのまま動きを止めて、唇をかみ締める。
 時間にして数秒。
 引く時と同じく、静かに腕を戻して弦から手を離す。

 弦を外側に向けて持ち直し、両腕を腰に当て、ぴんと張った背筋はそのまま
に正面を向いて一つ息を吐く。
「様になってんね」
「あ、水沼クン」
「ホント、戸萌さん姿勢いいから上達早いね」
「わあ、ひかり先輩まで……ってみんな見てたんですかっ」
「でも、いい参考になったよ?」
「うぅ、そんな見なくてもっ」
「そろそろ素引きから実際に巻藁で練習かな」
「わ、ホントですか?」
「いいね、もう矢撃てるんだ」
「うーん、あともうちょっと筋力が欲しいなあ……水沼クンなんてゴム弓軽々
と引いてるのに」
「そりゃ、さわやかスポーツ少年だし。基礎体力違うでしょ」
「自分でゆーなっ。でも、やっぱトレーニングしてもなかなか思うように筋肉
つかないし」
「地道に練習練習、水沼くんも早く戸萌さんに追いつかなきゃ」
「はい」

 日も傾いて、部活も終わった頃。
「はー、汗かいた。地味なようで結構運動量あるぅ」
「おつかれさま、戸萌さん」
 ばたばたと着替えながら、ふと携帯を見る葛海。
「あ、メールが……一杯」
「お友達?」
「……えーっと、家族、から」
 わんさと溜まってる未読メール。一つ開くと、題名から可愛らしい顔文字が
どんと液晶に表示される。
「わ、可愛い」
「…………お父さん、メール可愛すぎ」

時系列 
------
 2006年07月初旬。
解説 
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 戸萌家、家庭内メーリングリストでメールが飛び交ってる様子。
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以上。

 ぶっちゃけお父さんのメールが書きたかっただけですが。



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