[KATARIBE 29991] [HA06P] エピソード『何でも無い風景・テスト前』

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Date: Mon, 10 Jul 2006 00:02:33 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29991] [HA06P] エピソード『何でも無い風景・テスト前』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2006年07月10日:00時02分33秒
Sub:[HA06P]エピソード『何でも無い風景・テスト前』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
へたってますので、今回はえぴそど形式です。
ケイトちゃんを文章に起こすのは……こういう漫画的な風景を書こうと思うと難しいので。
いつもより三割ほどやっつけです<でもいつもだって8割はやっつけです。

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エピソード『何でも無い風景・テスト前』
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登場人物
--------
 高瀬 夕樹(たかせ・ゆうき)
  :高校生で歌よみ。創作部所属。詩歌を読むと、怪異(?)がおこる。 
 関口 聡(せきぐち・さとし) 
    :人の感情を常に左目で見、右耳で異界の音を捉える。高校二年生。 

本文
----

 そして裏(どうして裏なのかといえば、行きにくいから、と、とりあえず答
えが帰るだろう)の創作部は、何故か夏でも涼しかったりする。
 ……で。

 聡      :(むー)

 試験の前、一週間。
 創作部でも何でも無い奴が、数学の教科書を睨んでいたりする。
 その傍らで、適当にくっ付けた机の上をぽてぽて歩いているのは……ある意
味では暑苦しい一名である。

 ケイト    :(ぽてぽて)

 どうやら退屈なので、聡のポケットから逃げ出したらしい。ぽてぽてと、歩
き方の割に歩く軌道(?)は真っ直ぐで、存外すぐにケイトちゃんは机の端に
行き着いた。

 ケイト    :(むうー:悩んでいる) 

 この先如何にすべきか。腕(と見えるもの。以下略)を組み、うーむうーむ
と考え込んでいる後ろから。

 夕樹     :(ふー)

 一気に息を吹きかけたのは、ノートから目をあげてケイトちゃんを見ていた
夕樹である。

 ケイト    :(うわうわうわっ)

 手に載る程度の大きさ、それも名は体を現すとのことわざ通り、毛糸製の体
のケイトちゃんにとっては、これは充分に奇襲に値する。七割がた落ちかけた
あたりで、手らしき部分をぶんぶか振り回して。

 ケイト    :(がしっ)

 机の端になんとかしがみついた。
 
 ケイト    :(ぜーはー)

 転落事故をなんとか回避したケイトちゃんを、じーっと見ていた夕樹曰く。

 夕樹     :「……ナイスガッツ」 
 聡      :「……って、何してんの」

 流石に無言のやりとりに気が付いて、聡が教科書から目を上げた。 

 夕樹     :「いや、まあ、息抜きというか何というか」 

 教科書を両手でよじよじと曲げながら苦笑する夕樹を尻目に、

 ケイト    :(ちたぱたちたぱた)

 安全圏とでもいうのか、ケイトちゃんは聡のほうに駆けてゆく。
 ちたぱた、と、慌てたあまり、足元がいかにもおろそかだ……と、聡が見て
いる先で。

 ケイト    :(つっころびっ)

 期待(?)どおり、ケイトちゃんは幾つかくっつけてある机の、隙間にけつ
まづいて、すってーんとこけた。

 聡      :「……あ、先輩」

 咄嗟に連想したのは、どうやら作り主の紫らしい。
 
 夕樹     :(苦笑) 

 苦笑しながら見ている間に、よいしょとケイトちゃんは立ち上がる。またて
とてとと走り出して、聡の教科書の上に、スライディング状態で乗っかった。
きっちり勉強の邪魔なのだが……聡のほうも、ちょんとケイトちゃんをつまん
で立ち上がらせただけで手を止める。
 要するに……そろそろ飽きるころなのである。

 聡      :「何かないかな、記憶力が倍増するような詩って」 
 夕樹     :「んー」

 棚ボタ狙いの……しかしそれなりにテスト前には切実な言葉に、夕樹は考え
込んだが、

 夕樹     :「笹公人という人の短歌でね」 

 ふと、思いついたように言う。

 聡      :「え、うん」

 聡にしても、まさかそんな都合のいい歌が転がっているとは期待していない。
わくわく、と、身を乗り出したところに。

 夕樹     :「『優等生の机にもたれて居眠りて
        :     方程式解く夢を見ており』ってのはある」 

 沈黙。

 夕樹     :「テスト中に言ってみようか?」

 くくく、と笑われて、聡が机に突っ伏した。

 聡      :「……解けた夢だけ見て終わるじゃないか(汗)」 
 夕樹     :「夢を見て起きたら悪夢」 
 聡      :「夢に胡蝶となって逃避したい現実が残る」

 うえー、と、苦い薬でも飲んだような顔になった聡である。

 夕樹     :「まあ、地道にやるしかないってことだよね」 
 聡      :「…………賢明な言葉をありがとう」

 はあ、と溜息をついて聡はまた教科書を開く。
 がたがたと鞄の中をかき回して、夕樹が参考書を引っ張り出す。
 ケイトちゃんはすてーんと机の上に座り込んで、退屈そうに腕でのの字を書
いている。

 テスト前の平均的高校生の……なんてことは無い風景である。


時系列
------
 2006年初夏から夏の頃。

解説
----
 テスト前の風景です。
 でも、こんなに呑気なのは、テスト前一週間くらいの時だと思います。 
************************************************

 てなもんで。
 なんとなく。

 ではでは。
 


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