[KATARIBE 29973] [HA06N] 小説『恋愛的優柔不断の君に』

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Date: Sun, 25 Jun 2006 23:12:55 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29973] [HA06N] 小説『恋愛的優柔不断の君に』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2006年06月25日:23時12分55秒
Sub:[HA06N]小説『恋愛的優柔不断の君に』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
なんか一瞬芸です。
みこちがんばれ、豆柴君がんばれーな話です。

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小説『恋愛的優柔不断の君に』
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登場人物
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 相羽尚吾(あいば・しょうご)
     :吹利県警刑事課巡査。ヘンな先輩。
 相羽真帆(あいば・まほ)
     :自称小市民。多少毒舌。10月に入籍。 

本文
----

 風春祭の頃……いや、それで言うなら、去年、道場での剣道の試合の時から
割と丸わかりだった気がするんだけど。

「ああ、豆柴君とあのお嬢ちゃん?」

 豆柴君の周りに群がるお嬢さん達と、それを見て……何というか無言で空気
を帯電させてた尊さん。その組み合わせが何とも物騒というか……いや豆柴君、
付き合ってるならもう少しちゃんと言おうぜって感じだったんだけど。
 だからそう言ったら……相羽さんが何となく沈黙してて……そしてその沈黙
が妙に長かったから。

「………え、付き合ってるんだよね、二人とも?」 
「当人達以外はみんなそう思ってるよ」 
 そらーあたしでもそう思ってるわけだから……って。
「当人達に、自覚が無いの?」 
 訊くと、相羽さんは鮎の和菓子(稚鮎という、鮎の格好をしたどら焼きの皮
に求肥を挟んだもの)を切り分ける手を止めて、首を傾げた。
「……自覚というか、自信がないんだろね」 
 
 って言っても。

 今年の一月。確か尊さんの誕生日に豆柴君が指輪を贈ったってのは知ってる。
その指輪を尊さんが薬指にはめてるのも(花屋さんで見ました)。

「自信……って、自分の感情に……じゃないね、相手に好かれてるかどうか?」 
「だろうね」 

 だろうねって……。
 好かれてるかどうかなんて、指輪を送ってそれを受け取った時点でもうはっ
きりしてる筈だし、それを薬指にはめてるってのは(それをどっちがはめたか
はともかくとして)それこそ意識ははっきりしてると思ってたんだけど。

「……それに豆柴の奴は、ドがつく晩生だしねえ」 
 そんなもんなのかなあ。
「高校の頃とか、彼女とかいそうな子なのにね」 
 この前、女子高生が群がってたのを見るまでもない。真面目で親切で、頼ま
れたら最後まできちんと実行しそうな性格は、これはきっちりもてそうな気が
するのだ。
 そう言うと、相羽さんはお菓子を食べながら笑った。
「押しの強い子に好かれるタイプとみたね」 
「ああ、押しの強い子に、そのまま断れないでずるずると?」 
 言ってみてから、我ながらひどいことを言ってるって気がしたんだけど。
「むしろ、振り回されるのが嬉しい、って感じだね」 
 ……この先輩、もっと酷いこと言ってるし。

「でも、尊さんだっけ……彼女なら充分振り回してくれそうなのになあ」 
「振り回されてるみたいだよ」
 くく、と笑って、相羽さんは湯呑みに手を伸ばす。
「あ、やっぱり?」 
 思わず笑ってしまって……でも。

「ってことは、周りは公認で付き合ってるって思ってて、実質でも完全に付き
合ってる?」
「だね」
「……で、本人達は、自信がない?」
「みたいだね」

 ……このやろー(主に豆柴君に)。

 まあ、付き合ってるかどうか、そのことに自信が無いかどうかは本人に尋ね
ないと判らないことだから、それは尋ねてからのことだけど。
 そりゃ、尊さんが思わせぶりな態度しか取ってないなら、豆柴君が多少優柔
不断でも判る。それはそうなるだろう。
 でも、誰に聞いても判る、恋愛とかに縁のないあたしが見ても判るくらいに
尊さんの気持ちは歴然としているのだ。
 ならばちゃんと応えていいと思う。よしんば……まず無いと思うけど、断り
たいにしたって、きちんと断るべきだと思う。

「……よし」
 うん、次に会ったら尋ねてみよう。判らないことは確認するべきなんだから。

「こら」

 と、考えていたあたしは、相羽さんの声に顔をあげた。
 メスベタが、目の前の稚鮎に突っ込んでるところだった。


時系列
------
 2006年5月

解説
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 豆柴君と尊さん。公認のようで煮え切らない二人を見ての真帆のつっこみです。
 ……全く人のこと言えねえだろって奴なんですけどねえ>真帆
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 てなもんです。
 あとは任せた!>葵しゃにひさしゃ

 であであ(たったかたー:走って撤退)

 


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