[KATARIBE 29846] [HA06N] 小説:御南深の魔術教室其の一

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Date: Fri, 7 Apr 2006 22:49:18 +0900 (JST)
From: Tihiro <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29846] [HA06N] 小説:御南深の魔術教室其の一
To: kataribe-ml@trpg.net
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2006年04月07日:22時49分17秒
Sub:[HA06N]小説:御南深の魔術教室其の一:
From:Tihiro


いきなり。魔術教室。……あーごめんなさいっ!
少し自分的魔術観を薄めてお送りいたします。
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小説:『御南深の魔術教室其の一』
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登場キャラクター
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 波佐間御南深(はざま・みなみ):ルーン魔術人形師ミス・シルバー。葛海
 ちゃんの師匠
 キャラクターデータ:http://kataribe.com/HA/06/C/0572/

 [Hisasi] 戸萌葛海(ともえ・かつみ):戸萌家の娘。眼鏡ボクっ子、何か
 と巻き込まれるヒロイン体質 
 キャラクターデータ:http://kataribe.com/HA/06/C/0603/
 
 始業
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 明るく、広い部屋。部屋のカラーは白。あるのは机と椅子、飲み物。あとは
窓から見える昼過ぎの白くまぶしい空だけだ。
 「さて、じゃあ、今日からここで魔術を教えるわけだが……」
 まど側の椅子に座っている銀色の髪に銀色の眼をした女性、波佐間御南深が
説明を始める。
 「とりあえず、私の師から習教えてもらった事を君にも教える。それが打倒
 だろうな。」
 「はいっ」
 大きな眼、眼鏡をかけ、背筋をビシッと伸ばした少女、戸萌葛海が元気の良
 い返事をする。
 「うん、それじゃあ、まずは魔術を発動させる魔力について。」
 シャーペンとノートを持ってメモする体性万全の葛海ちゃん。
 「魔術を発動させるためには源の力、魔力必要だ。魔力というのは、そうだ
 な、いわゆるガソリンだな 。で、ガソリンの元、原油に当たるものが生命
 力、空気中ではマナといわれるものだね。原油を精製 して使いやすいガソ
 リンに変える。ここまではいいかな?」
 「先生、生命力ってことは……寿命が減るんですか?」
 少し恐る恐る聞く葛海ちゃん。
 御南深は事も無げに
 「ああ、そうだ。ただまぁ、あんまり無茶に魔術を使わなければ大丈夫。
 効率よく精製できればほとんど 害はないし、大気中のマナを集束させる事
 が出来る様になれば生命力から削る必要性もない。 付け加えれば寿命とい
 うより体力を使う感じだな。あまり使いすぎれば動けなくなる。」
 「そうですか」
 それに――と付け加える御南深さん
 「ルーン魔術はルーン文字自体に魔力があるから普通の魔術より魔力の消費
 も少ない。そのうえ、後 でもう一度説明するが、文字自体に意味があるし、
 詠唱も少なくていいからそこまで難しくは無い。
 神代の頃からの魔術的意味もあるから効果も十分に得られるしね。」
 笑顔で葛海ちゃんに笑いかける御南深さん。
 「少し安心しました。」
 と胸をなでおろす葛海ちゃん、に対し。
 「でも、魔術を習うことに対しては真剣にね?中途半端な習い方してたら、
 火傷じゃすまないから。それに、守りたいものも守れなくなるわ。」
 少しばかり鋭い視線を眼鏡越しに投げかける御南深さん。
 「………………はい。」
 とても真剣な顔で答える少女。その顔から、固い決意が垣間見れる。
 「よし、そうでないとね。……む、何所まではなしたっけかな?」

                ◇◆◇◆

 あれだけ真剣な言葉を投げて来た先生だったけれども、何か抜けている。
 「えっと、魔力がどんな物か、までです。」
 「ああ、そうだったね。すまない」
 先ほどの会話を思い出しながら先生に返す。少し苦笑しながら先生は先を続
 ける。
 「で、マナや生命力を魔力に変える方法としては、基本としてイメージと4拍
 呼吸だな。」
 なにやら耳慣れない単語が入る。先生が飲み物を飲んでる今のうちに質問を
 はさむ。
 「4拍呼吸と言うのはどう言ったものなんですか?」
 飲み物を持ったまま先生は
 「ああ、息を満杯まで吸うのに4拍、そのままさらに止めて4拍。
 今度は肺が空になるまで4拍で息を吐いて、空の状態で4拍を繰り返す。
 この時、イメージを持つことが大切だ。」
 この長さを一息に説明した。4拍呼吸はわかったが、イメージといわれても何
 をイメージすればいいんだろう。
 わからないので、先生に聞いてみた。
 「うん、それは人それぞれだね。私の場合は月の光や流れ星だし、静寂……あ
 の黒尽くめのおじさんね、 は大地の息吹って言ってたかな、何かこう、そう
 だね、湧き上がるもの、あふれ出す物なんかをイメージしながら4拍呼吸をする
 の。」
 そうはいわれても、何があるだろう。目の前にあった何かトロピカルな飲み物
 を飲みながら考える。
 そして、ふっと閃いた。
 「先生、百合の花じゃ、だめですか?」
 「ああ、それならいいかもね。イメージしながら数回4拍呼吸をやってみて。」
 先生に言われた通り百合の花をイメージしながら息を吸って、止めて、はいて、
 止めて、吸って―――
 しかし、特に何も起こらない。
 「先生―――」
 と言っただけで先生が割り込んできた
 「できるまでは何度もやって。一度でできるのは期待してないから、ね。」
 最期にまさに『先生』といった表情で微笑まれては何もいえない。
 さっきのように、吸って、はいて、止めて、吸って――――――――――――
 と、何度も繰り返す。その内に、自分の内側に何か今まで感じたことのない力
 が出来始めた。 少しあったかいようで、冷たくて、優しいようで、荒々しい
 ようで。色々な印象を与える不思議な力が自分の中にゆっくりと、しかし確か
 に感じることが出来るように。
 「ふむ、葛海、その表情をみるかぎり、もしかしてできたかな?」
 先生が少し驚いたように眼を見開いて話しかけてきた。
 それに答えようと4拍呼吸をやめた途端――中にあった力が少しづつ抜けていく
 のがわかった。
 「はい。何かこう……説明は出来ないんですけど力を感じました。やめた途端
 小さくなっちゃいましたけど……」
 それにうなずきながら先生は答える
 「ああ、そうだろうね。少しでも5回目で出来たのはすごいよ。才能が無いわけ
 でもなさそうだね」
 「え、そうなんですか?」
 6回もかかったのに、と僕が少し驚いていたら、先生はああ、と言って
 「センスのない奴は1日かかっても出来ないんだ。6回で出来れば上等だよ。そ
 れに、作るのよりも留めるのが難しいんだ。今度は魔術回路について説明をし
 たいんだが――」
 と言って先生が外に目を向ける。
 私もそちらに目をやると、……もう空が暗い赤色に染まっていた。いつの間に
 かもう夜が迫っていたらしい
 「時間だな、今回はここまで。次来る時までに4拍呼吸を練習しておくこと。」
 「はいっ」
 そう言って先生に一礼した後急いで階段を駆け下りた。

 


時系列、舞台
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3月下旬。ブルーフェアリー杯参加決定後。
御南深が葛海ちゃんに魔術をおしえることになってから

解説
魔術講座、第一回目の講習。
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自分的魔術を簡単にしてお送りいたしました。
なお、完全に勝手に決めたものですので、ご了承ください(笑)
どうも、ありがとうございました
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