[KATARIBE 29843] [HA06P] エピソード『しゃぼんだま』

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Date: Tue, 4 Apr 2006 22:54:48 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29843] [HA06P] エピソード『しゃぼんだま』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2006年04月04日:22時54分47秒
Sub:[HA06P]エピソード『しゃぼんだま』:
From:久志


 久志です、
何気に気に入ってたしゃぼんだま遊びをEPってみた。
登場キャラクター説明は任せた>はりにゃ&きしとん。

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
エピソード『しゃぼんだま』
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登場キャラクター 
---------------- 
 戸萌葛海(ともえ・かつみ)
     :戸萌家当主の孫娘。ボクっ子眼鏡な中学三年生。
 周御鋭司(すみ・えいじ)
 風祭優一(かざまつり・ゆういち)

通りで
------

 二月初め。
 まだ少し肌寒い中、シャボン液と吹き口を手にした鋭司がほわほわとシャボ
ン玉を空に飛ばしている。

 葛海     :「キミ……なにやってるのさ」 
 鋭司     :「シャボン玉であるよ」 

 ふわ〜〜っと、呆れ顔の葛海の前でシャボン玉を膨らませる。

 鋭司     :「……儚いねぇ、まるで青春の日々のようだ」 
 葛海     :「見ればわかるけど……ていうか、君はいくつだっ」 
 鋭司     :「ぼく、みっちゅ」 
 葛海     :「うそつけーー」 

 いつものツッコミにからから笑いながら、大きく膨らませたシャボン玉をふ
わんと葛海の方へと飛ばす。 

 鋭司     :「戸萌嬢、あーん」 
 葛海     :「た、食べれないようっ」 
 鋭司     :「ならば、ふーっするのだ。ふーっ」 

 両手でかもんかもんと待ち構える。

 葛海     :「……(えーと」 

 意図が読めずちょっと考えつつも、飛んできたシャボン玉をふーーーと息を
吹いて律儀に押しかえす。帰ってきたシャボン玉を待ち構えるように、鋭司が
口を大きく広げて。

 ぱくん。

 葛海     :「……は?」
 鋭司     :(はむはむ)
 葛海     :「って、食べてるぅぅっ」 
 鋭司     :「うまい、もう一杯」 

 口をあけて呆気にとられる葛海にシャボン液と吹き口を差し出す。

 葛海     :「……食べてもへーきなの?」 

 両手で受け取って鋭司の顔をまじまじと見る。

 鋭司     :「食べられるシャボン玉と言うものがあるのだよ」 
 葛海     :「…………ほんとに?」 
 鋭司     :「小さいシャボン玉を作って、舐めてみればわかる」 
 葛海     :「ホント、かなぁ」

 ネタの為ならシャボン液を飲むのもやりかねないと思われているようだ。

 葛海     :「……(おそるおそるシャボン玉を吹いて)」 

 ピンポン玉ほどの小さいシャボン玉を吹いて、ちょいと指先でつついて口の
中に入れる。口の中にほんのり甘い飴のような味。

 葛海     :「甘い、なにこれ?」 
 鋭司     :「食べられるシャボン玉という商品なのだ」 
 葛海     :「……妙なもの、見つけてくるよね、キミ」 

 そう言いつつ、もうひとつシャボン玉を吹いてぱくんと口に入れる。

 鋭司     :「むむ、戸萌嬢一人でずるい」 

 あーん、と。大きく口を開くと両手でちょいちょいと手招きをする。

 葛海     :「わ、わかったようっ」 

 膨らませたシャボン玉をひとつ、ふたつ飛ばす葛海とぱくんとふわふわ飛ぶ
シャボン玉を食べて満足げに笑う鋭司。
 まるで傍から見るとなにストロベリってるのかという光景。

 鋭司     :「うむ、美味美味」 
 葛海     :「…………(なんか、ヘンなの)」 
 鋭司     :「他人に膨らませてもらうのも乙なものである」 
 葛海     :(ふー) 
 鋭司     :(ぱくっ) 

 少し高めに飛んだシャボン玉をアクロバティックに飛んで捕まえる。

 鋭司     :「吹いてばかりでは疲れそうだからな。交代しよう」 
 葛海     :「あ、う、うん」 

 きらーんと目を微かに光らせてちゃぷちゃぷとシャボン液を混ぜる。

 鋭司     :「ふふふ、戸萌嬢。ゆくぞっ」 
 葛海     :「え、ええと、おっけー」

 なんとなく身構える葛海に向かって、小さな玉をわらわらと飛ばす。

 鋭司     :(ふぅ〜〜) 
 葛海     :「お、多いよお〜」 

 ばたばた走りながら飛び交う小玉をせっせと追いかける。 

 鋭司     :「ふははのは、風下に立ったうぬが不覚よ」 
 葛海     :「キミは何もんだーー」

 つっこみを入れながらも、飛んでくる小玉をはむはむと食べては次を追いか
ける。
 
 優一     :「……何やってるの、二人とも……」 
 葛海     :「…………え?」 

 夢中に追い掛け回す足を止めて、はたと気づく。

 葛海     :「優一クン、えーと、これは」
 鋭司     :(ふぅーー) 

 我に返るとなかなかにこっぱずかしい構図である。しかしその背後で大玉が
作られてる事にまだ気づかない葛海。
 
 鋭司     :「ゆくぞ、戸萌嬢」
 葛海     :「え?って、鋭司クンでかいよそれっ」 
 鋭司     :「大丈夫、戸萌嬢は出来る子だって信じてるから」 

 どう考えても葛海の顔よりでかいシャボン玉が目前に迫る。

 葛海     :「うひゃあ(顔かばう」 
 優一     :「いや、顔汚れちゃうでしょ……」 

 直撃前に指先でつついて大玉を割る。ぺちゃんとはじけたシャボン液が優一
の手を濡らした。

 鋭司     :「食べられるのだから、舐めてしまえばいいのだよ」 
 優一     :「そう言う問題でも無いと思う」 
 葛海     :「……あ、口の周りべたべた」 

 あれだけシャボン玉おっかけて食べてたんだから当たり前といえば当たり前。
慌てて制服のポケットからハンカチを取り出して口元を押さえる。

 鋭司     :「少し塗らしたハンケチのほうがよいぞ」 
 葛海     :「あ、ありがと」

 どこからともなく濡れたハンケチを差し出しつつ。

 優一     :「しまった、手がべとべとだ……」 
 鋭司     :「今ならおしぼりもある」 

 またもどこから出したのか喫茶店であるような、袋入りおしぼりを差し出す。

 優一     :「……な、何で持ってるの?」 
 葛海     :「なんか、用意いいというか。ドラえもんみたいだよね、
        :鋭司クン」 
 鋭司     :「こんな事もあろうかとっ」 
 優一     :「それが言いたかったのか……それはさておき一つ頂戴」 
 鋭司     :「うむ、遠慮なく使いたまえ。風祭氏」 
 優一     :「うん、ありがと」 
 葛海     :「でも、どこで売ってるの、こーいうの」 
 鋭司     :「可愛いお顔が汚れてしまった戸萌嬢も、ハンケチよりお
        :しぼりのほうが良いかね」 

 ぽんとおしぼりを叩いて袋をあける鋭司、キミはどこのおっさんなのか。

 葛海     :「……ありがと」 
 鋭司     :「ふむ、おしぼりは専門の業者がいて、契約先に毎日配達
        :と回収を行っているのだよ」 
 優一     :「まさか、契約してるの?」 
 鋭司     :「ウチは、代々喫茶店を営んでおるのだ」 
 葛海     :「そなの?」 
 優一     :「へぇー。」 
 鋭司     :「嘘である」 
 優一     :「嘘かいっ」 
 葛海     :「またてきとーなことばっかりっ」 

 三割引きの男、鋭司。
 ポケットから先ほどのシャボン液の入った容器を取り出してにやりと笑う。

 鋭司     :「この商品は、キャンディバブルといって、お菓子屋さん
        :で売っているレア商品なのだ。数年前にヒットしたことも
        :あるのだよ」 
 優一     :「へぇー」 
 葛海     :「そういうマニアックなもの好きだよねえ、キミ」 
 鋭司     :「残りは、戸萌嬢に進呈しよう。おうちで、楽しみたまえ」 
 優一     :「ありきたりな物が嫌いと見た。」 
 葛海     :「ありがと……」 
 鋭司     :「楽しいことは良いことだ」 
 葛海     :「なんかまーた流されてるような気がする」 
 優一     :「……いつもの事じゃん」 
 鋭司     :「はっはっはっはっは」 

 ぼそっとつっこむ優一に、ばさあと扇子を広げつつ高らかに笑う鋭司。

 葛海     :「……(楽しい?うん、楽しい、けど。何考えてるのかわ
        :からないよね、でも……なんだろ)」 

 まだまだお子さんである。

時系列 
------ 
 2006年02月前半
解説 
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 のほほんと遊んでるひとコマ。
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以上。




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