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Date: Fri, 10 Mar 2006 00:41:36 +0900 (JST)
From: 久志 <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29820] [HA06N] 小説『お父さんは微妙』修正版
To: kataribe-ml@trpg.net
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Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
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2006年03月10日:00時41分36秒
Sub:[HA06N] 小説『お父さんは微妙』修正版:
From:久志
久志です。
県警バレンタインもの、台詞修正版です。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
小説『お父さんは微妙』
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登場キャラクター
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本宮史久（もとみや・ふみひさ）
：吹利県警刑事部巡査、ピレネー司令。
相羽尚吾（あいば・しょうご）
：吹利県警刑事部巡査、ウルフ将軍。
東治安（あずま・はるやす）
：吹利県警警備部巡査部長、ドーベルマン博士。史久の同期。
石垣冬樹（いしがき・ふゆき）
：吹利県警刑事部巡査部長、史久の同期。
葛城比呂（かづらぎ・ひろ）
：吹利県警刑事部巡査、九州の人。
色鮮やかな
----------
目の前に広がる、色とりどりの包装とリボン。
刑事部の史久のデスクの上には奇麗にラッピングされた大小さまざまのチョ
コレートが山を作っている。手の込んだ包みに添えられたカードにはクレヨン
で書かれたたどたどしいメッセージ。
「すごかですねえ、史さん」
「ええ、まあ、ありがたいことですね」
２月１４日。まあ、なんというか昔から何かと思うところのある日でもある。
中でも今年は特に凄い。その発端となったのが、去年末から県警で続いてい
るマメシバンプロジェクト――子供達に交通安全や防犯を呼びかけるために企
画された宇宙刑事ものアトラクション。これが子供から中高生から……どうい
うわけか大人にまで人気なのである。
「モテるねえ、史よお」
「あなたに言われたくありませんよ」
にやにや笑う相羽のデスクにも同じくどっさりとチョコレートが積み上げら
れている。いずれもウルフ将軍、ピレネー司令当てのバレンタインチョコ。
バレンタイン当日、総務部に届いた大量のチョコレート。総務のお姉さん方
の手により分別されて各々の席に届けられた。
「さっき見てきたけど豆柴くんとこすごかったよ、軽くダンボールひと箱分は
あったねえ」
「人気があるのはいいこったい」
「……ええ、まあ、そうですが」
「しかしまあ、すごいもんだねえ」
ひょいと一枚カードを手にとって眺める相羽、どういうわけか見詰め合うウ
ルフ将軍とピレネー司令（と、思しき人物、多分）のイラストが描かれている。
他にも妙に目が大きくてキラキラとしたマメシバンとピレネー司令のイラスト
やら電柱の影からピレネー司令を眺めているドーベルマン博士（のように見え
る者）のイラストなどがちらほらと混ざっている。史久自身、これがどういっ
たことを意図したものなのかわからないわけではないが、正直頭痛ものである。
「はやってんのかね、こういうの」
「……さあ」
「相羽さんと史さん……異様に目がでかかとですね」
つき合わせて微妙な顔になる三人。
そこに史久の同期で同僚にあたる石垣が何処となく淀んだ空気を背負って近
づいてきた。
「……史さん」
「あ、石垣さん。どうしました？」
「いえ、これを……預かってきましたので」
ことん、と。史久のデスクに置かれたのは小さな包みの二つのチョコレート。
添えられた淡いブルーのカードには、奥さんが代筆したと思われる可愛らしい
丸文字で『だいすき、ぴれねーしれい♪ りな＆まな』と書かれている。
「ああ、お嬢さんからですか。ありがとうございます」
「……いいえ」
「……大事にいただきます」
ぢと、と。石垣の視線が絡むのを感じる。娘を持つお父さんとして微妙な所
といったところである。
（そんなに恨みがましげに見られてもなあ……）
学生時代からお父さんにしたい男連続首位（多分今年もぶっちぎり）を取り
続けた史久である。逆を言うと、小さい娘を持つ父にとって、娘に会わせたく
ない男ナンバーワンでもあったりする。とられるから。
小さく溜息をついた時、ふと突然背後に気配を感じて史久が振り返った。
「……失礼」
「東さん……」
いつの間にか史久のすぐ後ろに立っていたのは、警備部東治安。石垣と同じ
史久の同期であり、さらに同じく娘を持つ父親だったりもする。
「東さん、僕に何か？」
「頼まれたものを渡しにきた、これを」
「え？」
デスクに置かれたのは淡いピンクの可愛らしいラッピングのチョコレート。
添えられたメッセージカードには青のクレヨンで『ぴれねーしれいだいすき』
との文字と大きな赤いハートマークが書かれている。
「……あ」
警察学校総代、不可視の東、県警の精密機械。
ヤク避け相羽、人間戦車本宮に負けず劣らず様々な異名を持つこの男に使い
を頼める相手。
「お嬢さんから、ですか」
「お前に渡すよう頼まれた」
「……は、はい」
抑揚のない無機質な声に無表情。だが、取り巻く空気は微妙に帯電してるよ
うに感じたのは史久だけではない。
（東さん。こ、こわかね……）
（いやあ、東っち。怖いねえ）
（東さん、お察しします……うう）
「あ、ありがとう、ございます……お嬢さんによろしく」
「伝えておく」
（……勘弁してください、本当に）
時系列
------
2006年2月。
解説
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県警内のお父さんがたに睨まれる史兄。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
以上。
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