[KATARIBE 29809] [HA06P]エピソード:『Valentine's Day 協奏曲(前編)』

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Date: Sat, 04 Mar 2006 22:57:10 +0900
From: Aoi Hajime <gandalf@petmail.net>
Subject: [KATARIBE 29809] [HA06P]エピソード:『Valentine's Day 	協奏曲(前編)』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200603041357.AA00014@black.petmail.net>
X-Mail-Count: 29809

Web:	http://kataribe.com/HA/06/P/
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29800/29809.html


 こんにちは葵です。
 うーイカン、すっかり錆び付いてる感が。
 てなわけでログ切りした前編流しまする。
 各位チェックよろしゅー >久しゃ、きしとん、ハリにゃ

元ログ:http://kataribe.com/IRC/HA06-01/2006/02/20060211.html#220000
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[HA06P]エピソード:『Valentine's Day 協奏曲(前編)』
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登場人物
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如月 尊(きさらぎ・みこと):思い込んだらまっしぐらな外見十六、中身
               三十路のお嬢さん(?)。
               ところで退魔師の本業はどうした。
http://kataribe.com/HA/06/C/0069/


本宮和久(もとみや・かずひさ):県警生活安全勤務の好青年。兄二人とは違
                い、とっても奥手。 尊と微妙に良い雰囲
                気なんですが……。
http://kataribe.com/HA/06/C/0073/


如月 夾(きさらぎ・きょう):如月家に同居するFLOWER SHOP Mikoのマス
               コット。 お姉ちゃん思いのよい子なのだが
               優柔不断で煮え切らないお姉ちゃんとそのお
               相手に偶に過激になることも。
http://kataribe.com/HA/06/C/0514/


奈良井・トレース・知恵
 (ならい・とれーす・ちえ):如月家に下宿する留学生……なのだが。
               そのブッ飛んでるけど、適切な言動と行動は
               一体誰の教育なのか。謎の少女。
http://kataribe.com/HA/06/C/0510/


二月十日、如月家キッチン
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 世の中の、一部の女性が心ときめかせ、大多数の野郎どもが心躍らせる年に
一度の大イベント。
 たとえお菓子メーカーの策謀と言われようとも、もらえたチョコが義理だと
解ってても。
 それでもやっぱり気になる年に一度のイベント。
 此処も例外ではないようで……。


 SE:ごりんごりんごりんごりんごりんごりんごりん。

 外から聞いたら一体何をしてるのかと不審がられる不穏な音が響くキッチン。

 尊      :(一心不乱にすり鉢で何かを砕いている)

 先ほどからすり鉢に時々木の実のような物を入れてはゴリゴリゴリと。

 尊      :「うーん、まだ粉末が荒いなぁ……(粉を指につけて味見)」

 どうやらカカオを粉砕して粉末にしているようです。
 さらに根気よくごりごりごりごりごりごりごりごりと。

 尊      :「あんまり甘いのは(ごりごりごり)好みじゃ(ごりごり
        :ごり)無いだろうし(ごりごりごり)」

 独りごちながら一心にすり下ろし、ふるいでふるって粉末をさらに細かく。

 尊      :「(指先にちょっと粉をつけて舐めてみる)うん、結構細
        :かくなったかな……」

 微粉末になったカカオを熱くしたクリームに混ぜて練り上げる。
 ボールの中にできあがる濃いブラウンのカカオクリーム。

 尊      :「これを……(冷蔵庫からアイスクリームを出して手早く
        :かける)」

 カカオの香ばしい薫り立ち昇らせて冷たいアイスクリームのを蕩かすブラウ
 ンのソース。

 尊      :「できた……ショコラ・デ・アイス……どうかなぁ……
        :(味見)」

 スプーンでひとすくい。

 尊      :「ふむ……」

 口の中で熱くほろ苦いカカオソースと冷たく甘いアイスクリームが解け合う。

 尊      :「うん、美味しい(にっこり)」

 と。
 背後に音も無く忍び寄る影。

 夾      :「……じぃー(手元をのぞき込む)」
 尊      :「はっ(汗)」
 夾      :「おねえちゃん……とっても楽しそうなのです(にっこり)」
 尊      :「あ、あはは(汗)きょ、夾ちゃんも、味見する?(汗々)」
 夾      :「はいです」
 知恵     :「チョコレートですか」
 尊      :「あ、うん、知恵ちゃんも味見する?」
 知恵     :「いただきます」

 二人とも察しているので、「誰へのチョコですか」などと野暮な質問をせず
にパクリと一口。
 少し溶けた冷たいアイスクリームに掛かった熱いカカオソース。
 その異種な取り合わせが斬新な風味を醸し出す。

 知恵     :「ふむ」
 夾      :「おいしいです(びっくり)」
 尊      :「でしょ?(にっこり)これなら……」

 本人は「美味しいって言ってくれるよね」と思ったのですが。

 夾      :「おにいちゃんもイチコロですね(にっこり)」
 知恵     :「これが、イチコロの味ですか(うんうん)」
 夾      :「あはは……」
 尊      :「イチコっ……(赤面絶句)ちっちがっ……」
 知恵     :「……イチコロでないほうがいいのですか?」
 尊      :「いっ、いや、その、そりゃぁ……(ぽそぽそ)」

 「イチコロのほうが嬉しいけどさ」とは、思っても言えず。
 両手の人差し指をちょんちょんと。

 知恵     :「尊さんは可愛いですね(頭くりくり)」
 尊      :「あうぅ(赤面)……って(はっ)……あーっ」
 夾      :「どうしたんですか?」
 尊      :「だいじなことわすれてた(滝汗)……どーやってあいす
        :くりーむの上に熱いショコラソースをかけたのを食べて貰
        :おう(がーん)」

 美味しいチョコを作ったのは良いのですが。
 一番美味しい時に食べて貰う方法までは考えてなかったご様子。
 『仕事』となれば剃刀の切れ味を見せるこの娘も、こと『この事』には。

 尊      :「クーラーボックスと、保温パックがいるなぁ……(頭抱
        :えてる)」
 知恵     :「簡単です」

 ぴっと人差し指立てて。

 尊      :「え……(そこはかとなく嫌な予感)」
 夾      :「……目の前でかける(きっぱり)」
 知恵     :(こくこく)
 尊      :「ええーっ(赤面)」
 知恵     :「家に来てもらえば問題ありません」
 夾      :「そうそう、ここで食べてもらえば良いのですよっ」
 尊      :「こっ……ここでっ?(若干声裏返り)」

 普段結構な頻度で一緒に食事してるんですが。
 ソレはそれ、コレはこれで違うようで。

 夾      :「そうですよー、じゃなかったらどうやって食べて貰うで
        :すか」
 尊      :「で、でも……」

 そんな二人を横目に、すーっと電話に近づく知恵ちゃん。

 知恵     :(かちゃ、ぴぽぱ……)

 1、0、4とダイヤルして。

 知恵     :「もしもし、本宮和久さんの番号を……」
 尊      :「……って知恵ちゃん何をー(慌)」
 夾      :「何処の電話をっ」
 知恵     :「はい、そうです住所は吹利市……」
 尊      :「きゃー(滝汗)」
 夾      :「な、なにしてるですかっ(汗)」
 知恵     :「(ちん)……騒ぐので、驚かれてしまいました」

 イキナリ電話番号調べてなにするですか。

 尊      :「(受話器押さえて)でっ、電話はあたしがするからいい
        :のっ(ぜーはーぜーはー)」
 知恵     :「わかりました。では、尊さんお願いします」
 夾      :「そうですね、おねぇちゃん電話するです」
 尊      :「えっ、あっ(はっ)……えーと……(電話を持って夾
        :ちゃんと知恵ちゃんを見る)」

 ぢぃっっと。
 右と左から見つめる視線に。

 尊      :「(すーはーと深呼吸して)……(ぴ、ぽ、ぱと和久君の
        :携帯の番号をプッシュ)」

 いざっ、とガチガチになりながらボタンをプッシュ。
 ……よく押し間違えなかったなぁ、とは傍らで見ていた夾ちゃんの感想。

 SE:Tel.Tel.Tel...

ただいま電話中
--------------

 こちらは県警の本宮君。
 喫煙室横のカップコーヒーディスペンサーでコーヒー入れてたりして。

  和久(TEL):「ん?  私物携帯?……はい、本宮です」
 尊 (TEL):「あっあの、尊です……」

 耳障りの良い聞き慣れた声。

  和久(TEL):「え、み、尊さんっ(わたわたっ)」

 慌てて携帯取り落としそうになったり。

 尊 (TEL):「あの、14日……時間……空いてますか?」
 和久(TEL):「えっ……(14日って……)あ……(意味気づいた)十
        :四日ですね」
 尊 (TEL):「うん……」

 期待するような、微妙な、間。

  和久(TEL):「あの、すみません……。十四日は夜勤で、昼過ぎくらい
        :なら空いてるんですけど……その……」
 尊 (TEL):「あ、そうなんだ……昼過ぎはあたしも配達だし……」
 和久(TEL):「すいません……」
 尊 (TEL):「ん……お仕事じゃしょうがないよ……(思案中)……
        :じゃ、なにか考えるね(くす)」
 和久(TEL):「は、はい。その、ごめんなさい……」
 尊 (TEL):「ううん、大丈夫(くすくすっ)それじゃっ待っててね
        :(ぷつっ)」
 和久     :「……尊さん、なんか楽しそうだったけど……」

 携帯片手に首を捻る豆柴君。

 和久     :「……尊さん……のチョコ……か……食べたかったなぁ」

 本人はもらえないと思いこんでるようですが。


再び如月家キッチン
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 なんだか悪戯を思いついた子供みたいな顔で子機を戻す尊。

 知恵     :「尊さん……楽しそうです」
 尊      :「え?、えへへ……(照)」
 夾      :「おねえちゃん……何かたくらんでます」
 尊      :「んーん、なーんにもたくらんでなんかいないよ?(くす
        :くすくす)」

 久しぶりに出たCheshire Cat Smile。
 きっと何かが起きるに違いありません。

 尊      :「さぁって……準備しなきゃ(いそいそ)」
 夾      :「あーあ……おにいちゃんもたいへんですの……」
 知恵     :「ほんとに」


 はてさて。
 一体なにが起きるやら。


時系列と舞台
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 2006年2月バレンタインちょっと前。

解説
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 色々準備中のようですw

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Aoi Hajime  gandalf@petmail.net

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