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Date: Fri, 24 Feb 2006 23:16:21 +0900 (JST)
From: Saw <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29797] [HA20N] 小説『探偵倶楽部最後の事件』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200602241416.XAA60106@www.mahoroba.ne.jp>
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Web: http://kataribe.com/HA/20/N/
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2006年02月24日:23時16分21秒
Sub:[HA20N]小説『探偵倶楽部最後の事件』:
From:Saw
Sawです。こりゃ練習しないとまともに文章書けそうにないです。
Sawです。Sawです。
夕食前の葬希。夕食後、ニセの手紙を出すなりなんなりして光太郎を呼び出し
ます。彼女にとって一番効果的な方法をれあなさん考えて下さい。
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小説『探偵倶楽部最後の事件』
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Part4.目立たない仕事
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僕の行動原則というのは至ってシンプルだ。
つまり、姉の安全を確保しつつ不満を解消する。
今から18年前、一緒に生まれた双子の姉は「からっぽ」だった。臓器も、脳
も、骨格や筋肉も、外皮以外およそ生きていくのに必要なほとんどの器官が不
完全で人の形を為していなかった。誕生と同時に死に向かった姉を、祖父は片
割れである弟の「裏側」に繋ぎ止めた。つまりそれが僕だ。
僕の体の裏側には姉がいる。姉は数日に一度しか世界に出てこられない弱い
弱い存在だ。僕の裏側にいる姉の存在に気付いたあの時から、僕は姉のために
誰よりも周囲に敏感になって生きることを決めた。それが「生まれついての殺
人者」という社会的弱者の姉にできる僕の唯一の仕事だと確信している。
結果、この18年で姉は９人の人間を殺したがその全てが行方不明事件として
処理されているはずだ。今のところ僕はこの法治国家との孤独な戦いになんと
か勝ち続けているというわけだ。
その姉が僕の中で今朽ちようとしている。
姉が死ねば僕の役目も終わる──
「どうしたのよ、葬希」
光太郎がテレビを見ていた僕に声をかけてきた。彼女は本当に勘がいい。
こっちは本気で「何も考えずにテレビを見ている」演技をしていたというのに。
「は。どうしたのよと言いますと？」
「何か考え事していたでしょ」
「旅行前に借りてたDVDの返却問題について少々」
「あっそ」
「そういや、晩ご飯なんでしょうね。久々に体動かしたからもう腹ぺこです
よ」
「この匂い、ドリアかグラタンってとこじゃない」
光太郎は（幸いにして）僕への関心を失い、二階に上がっていった。
「──ドリアかグラタン、ね」
三年間彼女のことを見てきたが、ここ最近の彼女は明らかに様子がおかし
かった。彼女の勘の良さの本質は、周囲のどんな些細な情報も逃さず分析し、
統合し、無意識のうちに全ての結果を言い当てる神からの贈り物だ。そして彼
女の能力と性格からいって、何かを断言しないと言うことは殆どあり得ないこ
とだった。例えそれがどんな些細なことであっても。
彼女の脳髄が鈍っているのは間違いない。そしてその要因も七割方察しがつ
いている。
僕は努めてリラックスした体勢でチャンネルをゆっくり変えていき、途中天
気予報を通過する。順調に吹雪の夜は近付いていた。
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