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Date: Wed, 22 Feb 2006 00:47:44 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29792] [HA06N]小説『ある冬の暖かい日』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200602211547.AA00180@hikaru-h8akl379.blue.ocn.ne.jp>
X-Mail-Count: 29792
Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
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ふきらです。
三十分一本勝負（http://hiki.kataribe.jp/HA06/?OneGameMatchfor30Min）。
お題は
23:09 <Role> rg[hukira]HA06event: 片隅に木の葉を持った/載せたシャム猫が
転がっている ですわ☆
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小説『ある冬の暖かい日』
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登場人物
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一白（いっぱく）：http://kataribe.com/HA/06/C/0583/
津久見神羅の式神。
本編
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一白は家の縁側に座ってぼんやりと庭の片隅を眺めていた。彼の視線の先に
は猫が一匹転がっている。
その猫は艶やかな毛並みを持ったシャム猫で、どう考えても野良猫とは思え
なかった。
「何でこんなところにいるのかな？」
一白が漏らした呟きが聞こえたのか、猫は耳をピクリと動かして動きを止め
ると、体を起こして一白の方を向いた。
金色の目が光の加減で少し光ったように見えた。猫はしばらく彼を見つめて
いたが、興味を失ったのか、顔をそらして再びごろりと横になった。
猫が大きなあくびを一つ。それにつられて一白もあくびをする。
風はほとんどなく、冬にしては暖かい日である。騒がしさもここまでは届か
ず、何となく時間がゆっくりと流れているような雰囲気がある。
一白は猛芳がいつも使っている文机に半分ほどもたれかかった。目が少し閉
じかかっているが、顔は猫の方を向いたままである。
「むー……」
シャム猫が庭にやってきてから20分ほど経っている。他の猫だったら近づい
て撫でようとするのだが、あの猫に関しては近づくと逃げられてしまいそうな
気がして、遠くから眺めるだけにしている。
猫は大きな広葉樹の根元に転がっている。その下には、掃き集められた落ち
葉が積まれている。
その樹にかろうじて残っていた数少ない葉が、風も吹いていないのに枝から
離れ、クルクルと回転しながら落ちていく。
落ちていく先は根元にいる猫。狙いすましたかのようにその頭にふわりと舞
い降りる。猫はそれに気付いたのか一度顔を上げたが、特に何かする様子もな
く、再び元の位置に戻した。
ことり、と音がした。
猫は目を細めて音がした方を見た。縁側の机にもたれていた一白が完全にそ
の机に突っ伏して寝息を立てている。
猫はニャア、と一つ短く鳴くと起きあがった。そして体を振って、くっつい
ていた落ち葉を払う。
頭に載っていた落ち葉は取れずにまだそこに残っていたが、何度か首を捻っ
ても落ちる気配がないので猫は諦めてそのままにしておくことにした。
そっと一直線に、猫は寝ている一白の元へと歩いていく。縁側の下まで来る
と軽くしなやかに跳躍して縁に上り、もう一度軽く飛んで机の上に乗った。
そして、一白の耳元に顔を近づける。
「ここで寝てると風邪引くよ」
確かに猫は、人の言葉でそう言った。
「うーん……」
しかし、一白はそれに気がつくことなく、ごにょごにょと言葉にならない声
を出して身をよじらせただけだった。
猫はやれやれ、といった感じであくびを一つすると庭へと飛び降り、そのま
ま走り去っていく。
その頭にはまだ落ち葉が載ったままであった。
時系列と舞台
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2006年２月。
解説
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ある冬の暖かい日のこと。
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