[KATARIBE 29769] [HA06N] 小説『あだ名を考えてみよう』

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Date: Mon, 13 Feb 2006 20:39:28 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29769] [HA06N] 小説『あだ名を考えてみよう』
To: KATARIBE ML <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。
「ラブラブのちドタバタ」シリーズ、今回は少し趣向を変えてみました。

http://kataribe.com/IRC/KA-02/2006/02/20060212.html#230000 のあたりを
元ネタにしています。

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小説『あだ名を考えてみよう』
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登場人物
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 岡啓介(おか・けいすけ)
  :かなり照れ屋な人狼青年。22歳。
 氷川美琴(ひかわ・みこと)
  :かなり照れ屋な霊感少女。17歳。
 橋本朱敏(はしもと・あけとし)
  :全然照れ屋じゃない人狼青年。19歳。
 白神知佳(しらかみ・ちか)
  :照れ屋じゃないけど気弱な巨人少女。11歳。


きっかけの一言
--------------
「そういえば、啓介ってあだ名とかないの?」

 たまたま一緒になった飯屋で、朱敏が唐突に言った。

「あだ名?」
「俺なんかはバンドではアッキーなんて呼ばれてるけど」
「うーん……あだ名ねぇ……特にないな」

 啓介は、ほとんどの人に、本名の『啓介』で呼ばれている。それ以外では、
時々、苗字の『岡』で呼ばれるくらいだ。『岡ちゃん』と言われる事もあるが、
それも本名であり、あだ名とは言えないだろう。

「なんだ、つまんねーな」
「別に不自由してないし、いいだろ」
「じゃあさ、彼女のことはなんて呼んでんだ?」
 ぶーっ、げほげほ……という音が響く。何の音かは言うまでもないだろう。

「な、なんで急にそんなこと聞くんだよ!」
「別にいいじゃないか、減るもんじゃなし」
「べ、別に普通だよ。『美琴ちゃん』って呼んでるさ、悪いかよ」
 顔を真っ赤にした啓介が答える。

「ふーん……まだまだだな」
「な、何がまだまだなんだ」
「本当に仲がいいんだったら、あだ名で呼び合うもんだぜ?」
「そそ、そんなこと」
「漫画なんかでもそうだろ、仲のいい彼氏彼女はあだ名使ってるぞ」
「うぐ……」

 そんな会話をして店を出た直後。

「あだ名……考えたことなかったなぁ」

 見事に吹き込まれてしまった啓介である。


1st Try
-------
 後日。
 デートの待ち合わせ場所で呟く啓介がいた。

「……うん、これだな」
 何かを確認するように呟く。

 しばらくして。
「啓介さん、こんにちは」
「こんにちは……みこ……ちゃん……」
 顔を赤くしながら、消え入りそうな声で挨拶する啓介。

「……? 啓介さん、どうかしたんですか?」
「あ、いやその、なんでもないよ、うん」
「へんな啓介さん……」
(うう、みこちゃんって言ったの気付いてないよ……)
 そりゃ、そんなに消え入りそうな声では、「と」一文字が抜けたってわから
ないのは当然といえるだろう。

 1回目のトライ、失敗。


2nd Try
-------
 さらに後日。

(今度こそ、あだ名で呼ぶぞ……!)
 ほとんど意地になっている啓介である。

「啓介さん、こんにちは」
「こんにちは、美琴ちゃん」

 今日の作戦は、最初からあだ名で呼ばず、デートの途中、落ち着いたところ
で、あだ名で呼ぶこと。
 そして、チャンス到来である。

「あのさ……」
「はい?」
「その……みっちゃん、どこがよかった?」
 精一杯、あだ名呼びをしてみる。

「啓介さんでも、『みっちゃん』なんて呼び方をするんですね」
 くすっと笑う美琴。
「そ、そりゃ……」
「そうですねー、やっぱり三井さんの魅力は……」
「……へ?」
「え、さっきの主演の三井さんじゃないんですか?」
「あ、いや……うん、そうだよ、そうそう、あはは」

 映画の直後に聞いたのはまずかったと思う啓介。
 2回目のトライも失敗。


アドバイス?
------------
 その翌日。

(『みこちゃん』や『みっちゃん』みたいなあだ名じゃ一般的過ぎるのかな)

 啓介がそんなことを考えながら神域の森で休んでいると、朱敏がやってきた。

「よう、啓介ー」
「あ、朱敏」
「どうだー、あだ名で呼ぶ仲になったかー」

 相変わらずずけずけ言う奴だ、と思いながら。
「いや、これがなかなかうまくいかなくてな」
「なんだ、進歩のない奴だなー」
「まず人のあだ名考えるって経験がなくてさぁ」
「え? そんなの、思いつくままでいいんじゃないのか?」
「というと?」
「名前から取るとか、特徴から考えるとか……」
「特徴ねぇ」

 と、そこへ、鳥の羽のような音とともに、一人の少女が現れた。
「あ、けーすけお兄ちゃん、それに、桃花ちゃんのお兄さん」
「あっ、知佳ちゃん、久しぶりだね」

 空から降りてきた少女……知佳は、啓介と朱敏に笑顔で挨拶する。
 それに応えた啓介が、久しぶりだな、と思っていると。

「おー、ちち少女」
 そう言ったのは朱敏。

「えっ、ち……」
 その言葉に、硬直する知佳。そして。

「ちちしょうじょ……」
 ひざを抱えて、地面に「の」の字を書き始めてしまった。

「……あのな、朱敏」
「なんだ?」
「お前、アホか!?」
「え?」

 こいつにはあだ名のつけ方を教わるまい、と心に決める啓介だった。


時系列と舞台
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 2006年2月上旬、吹利のいろんなところ。


解説
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 あだ名考案中。

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