[KATARIBE 29767] [HA06N] 小説『お揃いはいかが』修正版

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Date: Mon, 13 Feb 2006 01:46:41 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29767] [HA06N] 小説『お揃いはいかが』修正版
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2006年02月13日:01時46分41秒
Sub:[HA06N] 小説『お揃いはいかが』修正版:
From:久志


 久志です。
台詞修正版流します。

-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
小説『お揃いはいかが』 
====================== 

登場キャラクター 
---------------- 
 本宮和久(もとみや・かずひさ) 
     :吹利県生活安全課巡査。生真面目さん。あだ名は豆柴。 

お店にて 
-------- 

 前野さんに教えてもらったお店の地図を手に。 
 そうでなくてもアクセサリーショップなど殆ど普段は全然縁の無い場所で、 
以前ティファニーのショップでペンダントを買った時も随分躊躇して店に足を 
踏み入れたのをおぼえている。 

「いらっしゃい」 
「すみません、ちょっとお伺いしたいんですが」 
「こちらへどうぞ」 
 にこやかに笑う店員さんに促されるままカウンターの前の席に座る。 
「なにかお目当ての品でもあるのかしら?」 
「あの、漆のリングを注文にきたのですけど」 
「あぁ、あの品ね。ちょっと待ってて」

 あれこれカタログを準備する店員さんを眺めつつ、脳裏に疑問が浮かんだ。 
「すみません」 
「うん? どうかした?」 
「漆のリングって水仕事の時につけてても大丈夫ですか?」 
 花屋という尊さんの仕事上、水を扱う作業は多いはずだ。漆のリングをつけ 
て仕事していても大丈夫だろうか。 
「えぇ、大丈夫よ。表面がコーティングされてて、そのまま水仕事をしても平
気だから」 
「あ、そうですか」 
 ホッとしている間にカウンターの上に広げられるカタログと数点のリング。
写真 で見たイメージ通り、金属にはない艶のある柔らかい印象を受ける。 

「いまウチにあるのは、これらで……色はカタログにあるものから選べるの」 
「はい……」 
 カタログには前野さんが見せてくれた朱の他に深い青、深緑など様々な色の 
リングが載っている。 
「他にも内側に柄のあるシークレットリングなんかもあるの。結婚指輪に、
旦那さんがシークレットで奥さんがノーマル、なんてお客さんもいらっしゃる
のよ?」 
 カタログの写真を指で示しながら、にこやかに。 
「折角だし、ノーマルリングとお揃いのシークレットリング、頼んでみる?」 
「え、おそろい……ですか」 
 不意を付かれて一瞬止まる。 
「ええ、こっちのシークレットリングなら君がつけててもかっこいいでしょ?」 
「……いや、俺、自分のサイズ知らないし」 
 お揃いのリングって、そんな。 
 いや、そんな、意味深どころの話じゃない。 

「大丈夫。ちょっと手を出してくれれば直ぐに測れるから」 
「は、はい」 
 有無を言わさず出した両腕から左手――なぜ左?――をとられて指を伸ばさ
れる。
「男の子だけど、綺麗な指してるのね……ん、これなら」 
 しかも、どういうわけか薬指。 
「ちょっと今あるリングだと合わないみたいだけど……大丈夫、彼女のリング 
と合わせて注文しておいてあげるから」 
「……はい」 
「色は朱でいいかしら?」 
「はい、朱で……リング二つ」 
「はい、おそろいでリング二つ……っと、ゴチソウサマ」
「ありがとうございます……」 
 にっこりと満足げに微笑む店員さん。 
 なんだか俺、嵌められたんじゃないかと今更ながら思う。 

「出来上がったら連絡するから、台詞、考えておくようにね」 
「え?!」 
 台詞って何の、いや別にそういう意味じゃ……と言い返す隙も無い。 
「女の子の期待、裏切ると怖いわよ?」 
「……う」 
 というか、誕生日に薬指にはまる指輪を贈る。しかもこっそりお揃い。 
 いつの間にか、意味深というレベルどころじゃなくなってる気がする。 
「……心得ます」 

 というか、何て言って渡せばいいんだろう…… 


時系列 
------ 
 2006年1月下旬。尊さんの誕生日前。 
解説 
---- 
 漆リングを買いに来て、なぜかお揃いのリングも購入するはめになる豆柴。 
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
以上。 



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