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Date: Fri, 10 Feb 2006 01:37:45 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29757] [HA06N] 小説『冬に咲く花を見て詠む』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200602091637.AA00174@hikaru-h8akl379.blue.ocn.ne.jp>
X-Mail-Count: 29757
Web: http://kataribe.com/HA/06/N/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29700/29757.html
ふきらです。
三十分一本勝負（http://hiki.kataribe.jp/HA06/?OneGameMatchfor30Min）。
お題は前と同じで
23:14 <Role> rg[hukiwrite]HA06event: 片隅から冷たい野に咲く花がこちら
を見ている ですわ☆
……やっぱりこのお題、難しいです。
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小説『冬に咲く花を見て詠む』
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登場人物
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高瀬夕樹（たかせ・ゆうき）：http://kataribe.com/HA/06/C/0581/
高校生で歌よみ。創作部所属。
本編
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窓を開けるとどんよりとした雲が広がっている。ミニコンポのスピーカーか
ら流れてくるFMの番組の天気予報が、今日は冬型の気圧配置が強まり、気温は
そんなに上がらないだろうと告げていた。
立春は過ぎているが、春はまだまだ遠い。
夕樹は鞄の中身を確認して、マフラーと手袋を身につけると外に出た。庭に
生えている草は降りた霜のせいでかすかに白くなっている。擦るようにして軽
く蹴ると、霜がふわりと舞い上がった。
「それにしても、寒い……ん？」
庭の片隅、いつもはあまり見ないようなところにひっそりと花が咲いている
のが目に付いた。白い小さな花びらをつけたそれは霜のせいか少ししおれてい
るように見える。
夕樹はその花の元へ行くと、霜を払おうとしゃがんで手を伸ばした。だが、
花に触れる寸前でその手を止める。手袋をしたままでは、花びらを引っかけて
しまうかもしれない。差し伸べた手を引っ込めて手袋を外すと、そっとその花
びらに触れた。
花びらはひんやりと冷たく、手に吸い付くようにしっとりとしている。少し
擦るようにして花びらに付いている霜を払った。そして、今度は葉の霜を払
う。
「まあ、こんなところかな」
払った手の指が少し赤くなっている。その手にはぁと息を吹きかけながら夕
樹は立ち上がった。
「……冬に咲く花、かあ」
そう呟きながら、彼の頭の中には様々なフレーズが浮かんでくる。歌が作れ
そうな気配。
「冬……雪……いや、冬なのに咲いている、ってのがキーかな」
その場に立ったままぶつぶつと呟く。五七五七七のリズムに合うように言葉
を組み合わせては分解し、また別の言葉と組み合わせていく。
「……直接表現しようとするからダメなんだ。少しイメージを発展させる
と……」
じっとその花を見つめ、かと思うと、空を見上げ。端から見ると花に向かっ
て祈りを捧げているように見えなくもない。
しばらく考え込んでいたが、ふと夕樹はポケットから懐中時計を取り出して
時間を確認した。
「……いけない」
余裕の時間に玄関を出たはずが、庭で余計なことをしていたために、急がな
いと間に合わない時間になっている。
歌が詠めないまま中断するのは心苦しいが、遅刻するのはもっとよろしくな
い。
夕樹は小走りで学校への道を駆けていく。頭の中には歌になり損ねた言葉の
切れ端が残ったままで、何とも気持ち悪い。
「思いつくまでまともに授業を受けられそうにないかも」
そう呟いて夕樹は少し苦笑いを浮かべた。
時系列と舞台
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2006年２月。
解説
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さて、歌は作れたのかどうか。
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