[KATARIBE 29735] [HA06L] チャットログ『強すぎる力と弱い心』

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Date: Sat, 04 Feb 2006 23:17:00 +0900
From: asakura <guilsn@boat.zero.ad.jp>
Subject: [KATARIBE 29735] [HA06L] チャットログ『強すぎる力と弱い心』
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やっぱ、ログきりすると印象に残りますね。
輝士都です。
強い力を持ったなら、それに見合うくらいの心の強さは必要なのでしょうか?
今回はそう言うお話です。

というわけで、ひさにゃーチェックよろしくー。

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チャットログ『強すぎる力と、弱い心』

登場人物
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 風祭 優一(かざまつり・ゆういち):ベクトル操作の力を持つ中学3年生。
                 :持っている力の物騒さとは逆に、
                 :やさしく、真面目な少年
                 :

 戸萌 葛海(ともえ・かつみ)   :吹利の名家、戸萌家の長女。
                 :気が強く、正義感あふれる少女。
                 :

 不良たち            :運の無い犠牲者

優一君、不良に絡まれる
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 ある日の夕方、優一は複数の不良に絡まれていた。

 不良     :「あー、お兄さんお兄さん、ちょっとこっち来てくんない
        :? 」
 不良     :「頼むよー、うん。ほら──」
 優一     :「え? いえ、僕は……」
 不良     :「こんなトコでボコボコにしちゃったら色々マズいだろ?
        : お互いによ」(一瞬だけ凄む)
 優一     :「……っ!? 」
 
 もともと気が弱い優一、ちょっとすごまれてひるむ。
 と、そのとき。
 
 葛海     :「〜〜♪」>道を歩いてる
 葛海     :「ん? 」ちらっとみて 
 
 優一にとっては不幸な事に知り合いにその姿を見られてしまう。
 
 不良     :「ねー、来てちょーだいよ。なー」
 不良     :(袖を引っ張る)
 優一     :びくっとする
 葛海     :「優一クンっ!」
 
 優一を助けるべくかけよる戸萌さん。
 
 優一     :「……戸萌さん」
 優一     :(うわやばー)
 
 不測の事態にかなり焦る優一。
 一人なら、何とかして逃げれば良く、その力もあるんだが……
 
 不良     :「へー、あの娘、トモダチ?  あー、腰抜けなボクちんの
        :代わりに彼女でもいいなー」
 優一     :「……む」
 優一     :(……それだけは、絶対にさせない。)
 葛海     :「優一クン、大丈夫っ」
 優一     :「来ちゃ駄目だって!戸萌さん!」
 
 優一の制止の声も届かず戸萌さんは優一に駆け寄ると不良に向かって
 声を荒げる。
 
 不良     :「どっちがいい?  おトモダチがお嫁にいけなく
        :なっちゃうのと、キミが素直に財布出すのとー? 」
 葛海     :「ちょっと! そういうの恐喝っていうんだぞっ」
 不良     :「あー、あ。来ちゃったねー
        :あー、こりゃしょうがない。
        :しょうがないよなー、勝手に来ちゃったんだもんなー」
 優一     :(あーもー、逃げなきゃまずいのに……)
 不良     :「いいのかなー?  そんなコト言っちゃって? 」
 不良     :「犯しちゃうよー? 」(にやぁ)
 葛海     :(びく)
 優一     :「……はぁ……何で来ちゃうのさ……」
 葛海     :「……だ、だって、優一クンが絡まれてて……」
 
 隣で袖掴んでびくびくしている戸萌さん。
 優一も、気持ちはうれしいかもしれないが、今回の場合は状況悪化。
 
 不良     :「あーなにー?  腰抜けのボクちゃん、ずいぶん余裕ねー
        :? 」
 優一     :「……腰抜けじゃない。」
 不良     :「早く、お財布出さないと彼女がお嫁にいけなく
        :なっちゃうよー? 」
 不良     :(優一の肩に両手を置く)
 葛海     :「……ひっ」>袖つかんで背中に隠れる
 
 肩に置かれたなれなれしい手を見て、その見下しきった目を見て、そして
 優一は自分にとって都合のいい敵を見つける。
 
 不良     :「お兄さん、時間ないんだからさー。
        :そろそろ切れちゃうかもよー? 」

 優一は、その手をつかみくんっとサイドに回りこみながら投げ飛ばす。

 SE      :ずだんっ
 葛海     :「わっ」
 不良     :「いてぇよぉっ、いてぇっ」
 優一     :「戸萌さん離れないで。」
 葛海     :(こくこくこく)

 不良はごろごろ転がって痛がっている

 優一     :(視覚をベクトル読み取りに集中……)
 優一     :「……(すっと目を細める)」
 
 精神を集中する。それをきっかけに優一の見ている世界が変化する。
 いつもはほんのりとしか見えていない、さまざまな力の流れがはっきりと
 見えるようになる。
 
 不良     :(転がりながら、ポケットからフォールディングナイフを
        :取り出して刃を出す)
 不良     :「仕方ねぇよな。あぁ、仕方ねぇ──だって、柔道とか
        :なんかやっちゃってんだもんなー」
 不良     :「ライオンの相手すんのに素手でやるバカはいねぇよ」
 不良     :(ぶつぶつ言いながら立ち上がる)
 不良     :「おらっ、ちっと柔道できるからって調子にのんなよ?
        :こっちゃ、ナイフ持ってんだよっ」
 優一     :「……(こっちは、もっと物騒な物持ってるけどね)」
 
 強がる、不良に対しやや自嘲気味に苦笑する優一。
 
 不良     :「ワリーのはおめーだぞ?  ちっとかじってるからって
        :調子にのっからいけねーんだ」
 葛海     :「きゃあああっ」
 優一     :「さて、それはどうでしょうね……」
 
 表情に余裕を浮かべ、戸萌さんをかばう位置にたつ優一。
 
 葛海     :「ゆ、優一クンっ!あ、危ないよっ」
 不良     :「なに、余裕こいてんだよっ!」
 不良     :(ナイフを振りかぶって振り下ろす)
 
 ひるむことなく刃の部分に軽く触れる、瞬間ベクトル変換の異能が発動。
 振り下ろした腕は同じ速度で振り上げられる。
 
 不良     :「うわっ」
 不良     :「てっ、てめぇ合気道か」
 葛海     :「きゃあああ」>目閉じて
 
 不良たちの間に動揺が広がり、
 動揺のあまり、むちゃくちゃにナイフを振り回す不良。

 優一     :「そんなことしたら危ないだろっ」
 
 優一はその手をぱしっとつかんで引き倒す。
 
 不良     :「くっ、くそっ」
 葛海     :「……う、うわ」

 戸萌さんは怖くてびくびく後ろでふるえていて。
 不良たちは自分達のことを棚に上げて優一を非難する。

 不良     :「やめろよっ、そんなことしたらいてぇだろっ」
 不良     :「ひでぇことすんなよっ」
 不良     :「きたねぇぞっ」
 葛海     :「さ、先に刃物だしたのそっちじゃないかああ」
 優一     :「武器を使っているのはそっちですよ」
 不良     :「てめぇがわけわかんねぇ技つかうからだろっ」
 優一     :「だったら、諦めて帰ればいいんですっ」
 不良     :「わかったよっ、あきらめりゃいいんだろっ、
        :あきらめるから手をはなせよぅ」
 
 一応はその言葉を信じ手を離す。
 
 葛海     :「……(びくびく)」
 不良     :「へへっ──悪かったな。もうからまねぇからよ」
 不良     :(しゃがみこむ)
 優一     :「……行こう、戸萌さん、ほらほら。」
 葛海     :「……う、うん」
 不良     :(下から顔色をうかがうような卑屈な表情)
 
 優一はその顔に不安を覚え戸萌さんを押して離れさせる
 優一が背を向けた瞬間、不良は立ち上がって後ろから腰ダメにナイフを
 突き出す
 
 優一     :(くそっ、やっぱりかっ)
 
 立ち上がる音を聞き即座に振り返りおなかに手をあてる。
 
 優一     :(あ、やばっ)
 
 突発的な事態であった為、思わず全力で力を使い速度を反転させるだけ
 ではなくその速度を大きくしてしまう
 結果、ありえない速度で吹っ飛ばされる不良。
 
 不良     :「うぎゃぁっ」
 優一     :(うぁ……やっちゃった……)
 優一     :「いたそぅ……」
 
 そして、強すぎる力を持つ人間はたいていこのように呼ばれる。
 
 不良     :「ばっ、ばけものぉっ」
 優一     :「う……」
 
 不良は捨て台詞を残して走り去っていく)
 
 葛海     :「ふわぁ……」
 
 腰が抜けてぺちゃんとすわりこむ戸萌さん。
 
 優一     :(化け物……)
 葛海     :「ゆ、ゆ、優一クン……」
 優一     :「あ、大丈夫っ? 」
 葛海     :「……こ」
 優一     :「こ? 」
 葛海     :「こわかったああ」

 安心したのか泣き出してしまう戸萌さん。

 優一     :「あわわわ……」
 優一     :「ほ、ほらっ」
 優一     :「もう大丈夫だしっ」
 葛海     :「……ど、どーなるかとおもっちゃった」
 優一     :「……う、ごめんね……」
 
 巻き込んでしまった事を誤る優一。
 
 葛海     :「(ぷるぷる首振って)……う、ううん、助けようと
        :して逆に足引っ張っちゃってごめんっ」
 優一     :「あーえと……気持ちはうれしかった、うん。」
 葛海     :(ふえーん)
 優一     :「もしかして……立てないの? 」
 葛海     :「…………(う)」

 わたわたと立ち上がろうとしますが、立てません。

 優一     :「うーん……(おんぶしちゃって大丈夫かな……)」
 葛海     :「ご、ご、ごめんね」

 わっせわっせと立ち上がろうとして失敗する。

 優一     :「えと……おんぶ……しようか? 」
 葛海     :「え? え!」

 そんなの悪いよ!と言おうにも立てないので、

 葛海     :「……ごめん、ありがとう……(しゅん」
 優一     :「気にしない、気にしない……はい、つかまって。」
 葛海     :「……ありがと、優一クン」
 優一     :「よいしょっと、どういたしまして、戸萌さん。」

 戸萌さんを家まで送って行きおばあちゃまに何事かと問いただされ
 あわてて、事情を説明する。

 優一     :「えっと……えっと……(かくかくしかじか)……」
 
 そして、お礼を言われ和菓子までもらって帰る道すがら。
 
 優一     :「はぁ〜……(緊急事態とは言え……かなり本気で
        :やっちゃったよ……)」
 
 不良たちを過剰に痛めつけてしまった事を後悔する優一。
 
 優一     :「(友達減りませんように……)」
 
 あれだけ暴れて、誰かに見つかっていたらどうしよう……とか。

 優一     :「(戸萌さんかなりびっくりしてたよなぁ……)」
 優一     :「(明日から、大丈夫かなぁ……)」
 
 戸萌さんの前で異能を使ってしまったので、明日から避けられはしないかと
 不安になり。
 
 そして脳裏にリフレインする不良の捨て台詞「ばけもの」

 優一     :「(化け物……かぁ……そうだよなぁ……)」
 優一     :「はぁ……憂鬱……」
 
 戸萌さんを怪我させずに助ける事は出来たが……その心に暗い影を
 落としている優一なのでした。

時系列
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2006年2月3日

解説
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不良に絡まれる優一、ミイラ取りがミイラになる戸萌さん。
そして、試合に勝って勝負にまけた気分の優一君でした。
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