[KATARIBE 29723] [HA06N]小説『一年が経つ』

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Date: Tue, 31 Jan 2006 01:20:02 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29723] [HA06N]小説『一年が経つ』
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ふきらです。
ちょっと気が早いですが一年を振り返ってみる試み。

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小説『一年が経つ』
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登場人物
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 高瀬夕樹(たかせ・ゆうき):http://kataribe.com/HA/06/C/0581/
  高校生で歌よみ。創作部所属。

本編
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 夕樹は創作部の部室へ続く廊下を歩いていた。
 放課後に入ったばかりの校舎は、授業が終わった開放感で何となく浮かれた
雰囲気に包まれている。……三年の教室の周囲はさすがにそんな雰囲気ではな
かったが。
「そういえば、もうすぐ一年か……」
 入学試験を受けたのが、入学式があったのが、つい最近のことのように思わ
れる。しかしその一方で、中学生だった頃が遙か昔に感じられたりもする。
「思えばこの一年いろんなことがあったねえ」
 一番大きかったのは「詩歌創作部」がなくなっていたことだった。
 さすがに中学生の時は、趣味が詩歌というのは恥ずかしくておおっぴらに言
えなかった。中学校には文芸部というのはあったが、そこの会報誌には俳句や
短歌の類は全くなく入ったところで同好の士に出会えるとは思えなかった。
 そんなわけで、この高校に「詩歌創作部」というのがあると聞いたときはす
ごく嬉しかったことを覚えている。これでやっと大っぴらに動ける、そうも
思った。
 ところが、である。
 実際に入学してみたら、「詩歌創作部」は「創作部」に変わっていた。部室
前のプレートの「詩歌」の部分が紙で覆われているのを見て、かなり愕然とし
た。
「あのときは、入学していきなり「終わった」と思ったね……」
 人通りの少ない階段を下りながら苦笑。
 しかし、結果的にはそんな創作部に彼は所属しているわけで。入部を決めた
のは部長の一言だった。
「創作するのに人の目を気にする必要がどこにある? 作りたければ作る。そ
れが全てじゃないかな?」
 言われてみればそうである。そして、夕樹は創作部に所属している。
「とは言え、最近のテンションはちょっと……」
 部室に行けば、絶えず何かしら騒動が起きる。起こすメンバーは決まってい
るのだが、その人が嫌いというわけではない。大抵は一緒にいて楽しいが、そ
れでもここ最近は止めようにも止められないことが多くなっている。
「まあ、何とかなるか」
 部室のドアが見えてくる。しかし、ドアの隙間から白い煙が漏れているのも
見える。
 今日は一体どんなことが起きるのか。期待半分、不安半分で夕樹は部室のド
アに手をかけた。

時系列と舞台
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2006年1月。部室へと続く廊下にて。

解説
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後二ヶ月で一年が経つわけで、ちょっと振り返ってみたり。

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