[KATARIBE 29674] [HA96N] 小説『溶根雪』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Sat, 14 Jan 2006 22:34:32 +0900 (JST)
From: いー・あーる  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29674] [HA96N] 小説『溶根雪』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200601141334.WAA86121@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 29674

Web:	http://kataribe.com/HA/
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29600/29674.html

2006年01月14日:22時34分31秒
Sub:[HA96N]小説『溶根雪』:
From:いー・あーる


ども、いー・あーるです。
えうえうです。
ので流します(退避用意〜)。

*********************************************
小説『溶根雪』
=============
登場人物
--------
 相羽尚吾(あいば・しょうご) 
     :吹利県警刑事課巡査。ヘンな先輩。
 相羽真帆(あいば・まほ) 
     :自称小市民。多少毒舌。10月に入籍。
 卜部奈々(うらべ・なな)
     :本宮史久の妻で吹利県警刑事課課長補佐。真っ直ぐしっかり。

本文
----


 年明けてすぐの、その日のこと。
 あたしは相羽さんが起きるのを見た。
 多分その時の表情を……あたしは一生忘れないと思う。

           **

 その夜は一晩眠れなかった。
 台所で後片付けをして、お昼のお弁当の用意をして。

 離れた手。
 これ以上はもう支えきれないとでも言うように。
 これ以上は、もう。


 朝ご飯とお弁当を用意して、台所に揃えて。
 おはようございますと言って。
 ……自分はどんな顔をしていただろうか。


 じゃ、と、一言だけ残して、相羽さんが出てゆく。
 行ってらっしゃい、と、言い損ねて、あたしは頭だけ下げて見送った。

  消えてしまいたいと思った。
  居なくなってしまいたいと思った。
  謝って謝りきれないほどひどいことを、あたしは言ってしまった。

 台所を片付けて、冷蔵庫の中を見る。夕御飯の準備を……あとは相羽さんが
暖めれば良いように作って。

『ごめんなさい
 頭を冷してきます。ご飯は用意してあります
            真帆』

 揃えたお碗とお箸の上に、それだけの書置きを乗せて。
 近くに、包帯と消毒薬を揃えて。

  怪我して、草臥れ切って帰ってきた人に追い討ちをかけるように。
  下らない嫉妬で、あたしは。

 財布と、幾つかの電話番号をメモしたノート。いつも持って歩くそれらを鞄
に放り込んで。
「……ちょっと、出てくるね」
 ベタ達にそれだけ声をかけて。
 そのまま。


 寒い日だった。
 妙に明るい灰色の空から、ほとほととどこか間遠に雪が降っていた。
 相羽さん傘を持ってっただろうか、と、思って。
 ……寒いから涙が出た。


 ポケットに手を突っ込んで、どんどんと歩く。
 ぱたぱたと走ってゆく子供達とすれ違う。
 そういえば、冬休みはそろそろ終わりだ。
 
  この寒い中、昨日一日、相羽さんはどこに居たろう。
  どこであんな怪我をすることになったろう。
  ……一体どうして。

 鞄をかけなおして、無闇に歩いた。見慣れた道、見慣れない場所、もうどう
してよいか判らないまま。

  離れてしまった手。
  あれだけ優しい人が。
  ……相羽さんに合わせる顔がない。

 立ち止まったら本式に泣き出しそうで……そのままずっと歩いた。
 相羽さんに会いたかった。
 でも会うのが怖かった。
 怒られるならいい。怒鳴られても当たり前だと思う。

 でも……もし。
 そこに居ないように振舞われたら。
 (それはある意味、当然だしそうされて何の文句も言えないと思う)
 そして…………もし。
 
 一度だけ会った女性の白い顔。
 振り払いたくて消してしまいたくて……歩いた。

            **
 
「あ」
「わ、すいません」
 
 路地の途中から飛び出してきた子供にぶつかりかけて、足を止める。相手は
大慌てでぺこりと頭を下げ……そしてまた大慌てで走ってゆく。その後ろから
小さな、多分弟らしい子がぱたぱた追いかけてゆく。ぶつかっちゃまずいから、
その子が行過ぎるまで立ち止まって。
 ……そして不意に、疲れていることに気がついた。

 どう、しよう。
 どうしたら。

 何だかぼんやりと思った時に、ふと。
 公衆電話の明るい緑の色が見えて。


 後から考える。どうしてまた、あたしはそんなことを思ったろう、と。
 でも、その時、ふっと奈々さんの顔が浮かんだのだ。
 
 腕時計で時刻を確かめる。
 何時の間にか、12時、それも半を過ぎて。
 ……一応、今なら電話をしても、不自然ではない、かな。
 
 緑の電話にテレフォンカードを入れて。
 携帯の番号を押して。


『……もしもし』
「もしもし、あの、真帆です」
『あ、丁度良かった。今電話したとこなんですけど』
「……あ、今、私、家に居ないので」

 言ってから少し不安になる。
 何だか妙な声にならなかったろうか。

「……あの、奈々さん」
『はい?』
「今日、お時間頂けませんか、お仕事が終わってからでも」
『……どうかしましたか?』
「いえ、できれば……もしお邪魔じゃなかったら」
 しばらくの間。そして。
『じゃ……五時過ぎに、県警の前でお待ちしてます』
「……はい。あ、有難うございます」
『いえ』

 ことん、と、受話器を置く。
 吐き出されたテレフォンカードを受け取って。

 五時まで……どうしよう、か。
 家には戻れない。でも。
 ……空には……もう落ちることが出来ない。
 

 結局、それから数時間を、あたしは近くの図書館で過ごした。
 

「……こんにちは、真帆さん」
「すみません、忙しい時に」
 いえいえ、と、奈々さんは手をひらめかせる。 
 午後五時過ぎ。県警はまだどこかざわざわとしている。
 ……相羽さん、お仕事大丈夫だろうか。

 近くの喫茶店に入って、端っこのテーブルに座る。注文をしてから、奈々さ
んはこちらを見た。
 大きな目がきっちりとこちらを見ている。
「何か、あったんですか?」
「…………あの」
 どう言えば良いか判らなかった。どこからどう話せばよいか。
「相羽さんと、何か?」
「……あの」
 言葉を選ぶ。どこから説明したらいいのか。
「あの……豊川八尋さんて方、御存知ですか」

 
 順序無茶苦茶に話した。八尋さんと会ったこと、それからの問答、昨日怪我
して戻ってきた時のこと。
 途中運ばれてきた珈琲とケーキのセット。ケーキの鋭角を少しずつ崩しなが
ら、奈々さんは最小の言葉を挟みつつ、全部聞いてくれた。

「……それで」
 一通り話したところで、奈々さんは一つ溜息をついた。
「だから、ですか」
「え」
 返事は無かった。
「で、真帆さんはどうするんですか?」
 それが……どうしたら良いか。

「…………今度は本当に、相羽さんを怒らせてしまったから」
 半ば冷めた珈琲をかき回す。
「手を……離されました、から」
 大きな目を、少しだけ奈々さんは細めた。
「真帆さんからは、手を伸ばさないんですか?」
 凛とした、声。
「真帆さんは相羽さんの奥さんじゃありませんか」
 手を……伸ばす?
「……どうしてそんなことが許されるの?」
「許されたからこそ、夫婦になったんじゃないですか」
 真っ直ぐな目。
 この人は本当に、眩しいほど真っ直ぐだ。

「……でも、あたしは知ってるんです」
「何をですか?」
「八尋さんは、そりゃ相羽さんの友人だけど、あたしのほうが多分相羽さんに
は近い」
「はい」
「……それでも……ちゃんと知っているのに……もしかしたらって、思ってし
まう」
 一瞬、奈々さんの目が鋭いものになる。
「もしかしたら、偶然が重なれば、彼女のほうが相羽さんに近いかもって……」
「……でも、現に真帆さんを選んだのは相羽さんです」
「…………でも!」
「もしああだったら、こうだったら、と考えるのは意味がありません」
「あの時には、あたししかいませんでしたから」
「今起きてることと確かなことが全てです」
 きっぱりと。
 ……でも。
「でも、相羽さんは手を離した」
 奈々さんは口を噤んで、きっとこちらを見る。
「…………我慢の限界だったんだと思う」
 数瞬の沈黙の後、奈々さんは手に持っていたフォークをお皿の端にきちんと
置いた。
「真帆さんはそれでいいんですか?」
 真正面から単刀直入に。
 何でこの人は、こんなに真っ直ぐに。

「……奈々さん」
「はい?」
「あたし、すごく相羽さんに甘えてたんです」
 そう考えると……笑ってしまう。
 情けなくて。もう笑うしかなくて。
「どれだけ言っても、手は離さないで居てくれるって」
 崩れるように……切り離されるように離れた、手。
「その人を、これだけ傷つけてしまったら」
 どうして手を伸ばすことが。

「手を離したくないんでしょう?」
 すぱん、と。
 小気味良いほどの、言葉。
「どうして、握り返してあげないのですか?」
 次々と。放たれる言葉。
「……ずっと、相羽さんは真帆さんの手を掴もうとしていたのに」
 厳しい……けれどもはっきりとした目で。

「……どうして、他の人を選んだ方がよかったなんて言うんです」
「だって」
「相羽さんが一番傷ついたのはそこなんじゃないでしょうか」

 悲しそうな顔をしていた。
 辛くてならない、という顔をしていた。

「……奈々さん、一つだけ聞いていいですか」
「はい」
「もし、奈々さんが相羽さんだったら」
 一瞬、言葉を止める。どう言えばいいだろう。
「ここまで暴言吐いた奴を……家に入れます?」
「帰ってきて欲しいですよ」
 断言。
 彼女の言葉は、力強い。
「……そうなの、かな」
 あの人は今、帰ってきて欲しいと……思ってくれているのかな。

「どっちかが追いかけるだけじゃあ駄目だと思います」
 ほんとうに。唐竹を割るような真っ直ぐさ。
 苦労を知らないからではなく。恐らくそこを乗り越えた人の強さで。
「それをお互い了解したからこそ……夫婦、なんじゃないですか」

 ふと、思う。
 この人もそんな処を通ったのだろう……と。
 追いかけたくても追いかけられず、泣きたい思いもしたのだろう、と。

「……相羽さんは貴方の保護者じゃありません」
「うん」
 それは、そうだ。
 護ってくれてる。それでも保護者じゃ、ない。
「だから、真帆さんも相羽さんを守る義務があると思います」
 その言葉は、容易に腑に落ちるもので。
 その通りだ、と、頷けるもので。
「甘えてるということを自覚したならば、ちゃんと返してあげなければ」
 すとん、と、胃の腑の奥まで、落ちて納得する言葉で……

「……奈々さん」
「はい?」
「あの、もし、『出てけ』っていわれたら、一晩だけ泊めて?」
「ええ、もちろんです」
 一瞬苦笑しかけた彼女は、すっとその笑いを収めた。
「……あと、一つ確認します」
 じっと……見据える目。
「…………はい」
「あなたは相羽さんをどう思っています?」
 相羽さんという人。
 あたしの家族で。自分の半分で。
「あたしの命より大切な人です」
 じっとこちらを見る視線が……少しだけ和らいだ気がした。
「……相羽さんにとっても、同じだと思いますよ」
 
 今でも?
 昨日、言い放った言葉を聞いて。
 ……それでも?

「相羽さんは、お昼に家に帰しました」
 ひょい、と、奈々さんが言う。
「え?」
「あのままじゃ、仕事にならないと思ったので」
「……え」
 
 奈々さんはじっとこちらを見ている。
 とても……真っ直ぐな目で。

「…………確認してきます」
 ちょっと唐突な言葉に、奈々さんが少しだけ首を傾げる。けれど彼女はすぐ
に、ほんのりと笑った。
「はい」
「……有難うございました」


             **

 玄関の鍵を、そっと廻して開ける
 開いた扉の中は、とても静かで。
 ただいま、と、言えばいいのか、どうしたらいいのかと思ったのだけど……
何だかそういう言葉も不要なくらいに、静かで。

 足音を忍ばせて、奥に入って。
 そして……納得した。

 相羽さんは、眠っていた。

 上着は……多分ハンガーにかけておいたのがずり落ちたのだろう。くしゃっ
となっているのを掛けなおす。
 額の包帯。手の包帯。
 寒いのに、右の肩が布団から出てて。

 咄嗟に。
 布団を肩まで引っ張る。寒そうで、風邪引きそうで。
 きっちり肩まで布団をかけると、それまで少し寒そうに縮こまっていた肩か
ら、ふっと力が抜けるのが判った。
 顔色が、悪い。

 怪我して。
 寒い中、多分何時間も外に居て。
 帰ってきたら……無茶苦茶なこと言われて。
 
(真帆さんも相羽さんを守る義務があると思います)
 その義務の欠片も、果たしてなかった。
 それどころか、放り出して……家から出てた。

「……ごめんなさい」
 ふっと、不安になる。
 ……ここに本当に帰ってきて良かったんだろうか。
 こんな家族が。
(帰ってきて欲しいですよ)
 その、言葉を必死で思い出した、時に。

 うっすらと。
 相羽さんが目を開けた。
 二三度瞬きをする。して、目をこすって。

「…………あ」
 上がった視線が、真正面からこちらを見る。
 のろのろと、伸びる手。
「……真帆?」
 
(どうして、握り返してあげないのですか?)

 だから。
 手を、伸ばして。
 その手を握った。
「…………はい」

 多分、その時の表情を、あたしは一生忘れないと思う。
 相羽さんは……笑った。
 本当にほっとしたように……本当に嬉しそうに。
 
  どうして、あなたは、そんなにうれしそうに。
  そんなにも。

 手を、引っ張られたと思った。
 そのまま掬い上げられるような感覚。ぐらっと視界が動いて揺れて。
 そのまま。
 
「相羽さん」
「……なに?」
 背中に廻された腕、頭を何度も撫でる手。
「あたしは……戻ってきてよかったの?」
 ゆっくりと息を吐く音。そして。
「……よかったよ」
 ぽんぽん、と、軽く宥めるように叩く、手。
「……お前の帰るところは、ここしかないでしょ」

 手を伸ばしてすがりついた。
 声をあげて泣いた。
 相羽さんは何度も頭を撫でてくれた。
 子供をあやすように。

「……戻れないと思った」
「なんで」
「手を離されたからそれまでと思ってた」
「……何度も言ってるじゃん」
 苦笑。微かな振動。
「お前が帰るとこも、俺が帰るとこも一つしかない」

 何があっても。どれだけ我侭を言って怒られても。
 ここに帰ることが出来るなら。
 それなら。

「……それじゃ……わがまま、言う」
「うん」
「怪我なんてしないでよ」
「わかった」
「無事に帰るって言ってたのに」
 言いながら、今更のように怖くて、震えが止まらなくなった。
「怪我して、三箇所も……っ」
「……悪かった」
 震えを止めたくて、肩口に額を押し付けた。
「……それと」
 我侭だけど。そうだと判ってるけど。
「手を離さないでっ」
「わかった」
 ぎゅっと、抱きしめられた。
「絶対に」
 それだけで。
 しこるように、固まるように……怖かったものが、全部。
 溶けたような気がした。
 
「絶対に離さないからさ」
 ぽん、と、頭に手が乗っかった。
「お前も、他の相手を選んだ方がよかったって、言わないでくれる?」
 声のどこかに、思わず顔を上げた。
 相羽さんは、一瞬、ひどく辛そうな顔になった。
「……本気で、へこむから」
「何で……」
「お前を選んだ俺のこと否定されてるみたいでさ」
 その言葉が……刺さった。

「……相羽さんなら他にたくさん選ぶ選択肢があったろうなって」
 相羽さんだけを見ているなら、あたしは多分揺らがない。でも。
「そこで、あたしを選ぶって言ったら……誰でも文句言えるだろうなって」
 言いながら、怖くなった。
 怖くて辛くて、思わずしがみつく手に力を込めた。
「どうしてこんな奴選ぶのかって」
 
 言葉の前に、相羽さんは一度、しっかりと引き寄せるように抱き締めた。
「誰が文句いおうと、俺は、お前がいい」
「そう、言っていい?」
「いいよ」

 しばらくの間、泣いた。
 しこっていたものを全部吐き出すように泣いた。

 一度離された手を、それでももう一度掴んでくれること。
 どれだけわがままを言っても、それでも戻って来ていい場所があること。
 そういうことを、あたしは多分初めて実感したのだと思う。


 泣き疲れるくらい泣いた。
 その間、相羽さんはずっと黙っていた。ただ、宥めるように何度も何度も、
あたしの頭を撫でていた。
 泣き疲れて、とろっと眠気が差したとこで、ふと気がついた。

「……相羽さん、ご飯食べてないよね?」
「弁当は、食べたけど?」
「夕御飯、用意しないと」
 立とうとしたところで。
「……相羽さんっ?」
「いいから、寝な」
 抱き締められたまま、相羽さんが横になる。そのまんまだからあたしも横に
なる。
「どうせ寝てないでしょ」
「……ね、寝ましたよっ」
 言い返すと、じっと目を合わせられた。
 嘘だって……ばれてるなって、判る目つきで。
「でもまだご飯……」
「いいから」
「てか……まだおきてられるからっ」
「問答無用」
 ぎゅっと。どこをどう押さえられてるのか、本当に身動きが取れなくなる。
「お前が寝るまで離さない」
「で、でも、明日、相羽さんまたお仕事だしっ」
「あ、休み」
 へ?
「ちゃんと上司から許可貰ってるよ?」
 にっと笑って言う……うん、そういうことで嘘をつく人じゃないし、そも嘘
をつく必要が無いし。

「だから、寝てな」

 少し笑って、相羽さんが言う。
 どうしてこんなに優しい顔してるのかな……と、ふと思った。
 そして、その時ようやく。

(お前を選んだ俺のこと否定されてるみたいでさ)
 その言葉の意味。

 (あたしは相羽さんの半分だから)
 (半分が否定されたら、半分が辛い、から……?)

「相羽さん」
「なに?」
 言いかけて……くちごもる。
 今頃判ったって言ったら……何だか嘆かれそうで。

「……おなかすいたら、起こしてね」
「わかった」

 くく、と、笑う声。
 それが、最後の記憶だと思う。


               **

 以前、ある女の子が言ってた。
 小さな子供って凄いですね、どれだけお母さんに怒られても、えんえん泣き
ながらお母さんに抱きつくんですね。
 抱きついて大丈夫って、子供は知ってるんですね。

 とろとろと眠りながら、ふとその言葉を思い出した。
 そしてそのことが……膨らむように嬉しかった。

 嬉しそうに、本当に安堵したように笑って、手を伸ばした、この人の処。

 もし怒られても、喧嘩しても。
 あたしは……この人の処に、帰るのだ、と。


時系列
------
 『雪嵐』の続き。2006年1月5日。

解説
----
 八尋さん台風、彼女の全く預かり知らぬ所で猛威を振るったようですが、
何とか収まった……と、思いたい……
**********************************************************

 てなもんで。
 ではでは(脱出口より逃げる)

 


 ---------------------------------------------------------------------
http://kataribe.com/ 語り部総本部(メインサイト)
http://kataribe.com/ML/ メーリングリストの案内
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/ 自動過去ログ
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29600/29674.html

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage