[KATARIBE 29669] [HA06N]小説『進捗状況』

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Date: Fri, 13 Jan 2006 00:41:36 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29669] [HA06N]小説『進捗状況』
To: kataribe-ml@trpg.net
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ふきらです。
三十分一本勝負(http://hiki.kataribe.jp/HA06/?OneGameMatchfor30Min)。
お題は
00:03 <Role> rg[hukirdead]HA06event: バイト帰りの学生が丁寧に挨拶する 
ですわ☆

でした。
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小説『進捗状況』
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登場人物
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 津久見神羅(つくみ・から):http://kataribe.com/HA/06/C/0077/
  何げに陰陽師な大学院生。

本編
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 研究室のドアがゆっくりと開き、音を立てないようにこっそりと修士二年の
学生が入ってきた。
 部屋の中には神羅一人しかいない。時刻は午後九時を過ぎ、もうそろそろ帰
ろうかと考えていたときだった。
「……おはようございます」
 入ってきた彼の席は神羅の隣で、非常に気まずそうな表情でその席に座っ
た。
「おはよう。というか、久しぶりやね。今年始まって初めてか?」
 神羅がにやにやと微笑みながら言う。彼はますます申し訳なさそうに背中を
丸めた。
「そうですね……」
「今日はまた遅い時間にご出勤で」
「え、ええ。ちょっとバイトが入りまくっていて。今もバイト帰りなんです」
「ほう……バイトをするのもええけど、そのせいで修論書けへんかったら元も
子もないで」
「そこらへんは、分かってるつもりですけど……」
 神羅はふと笑い顔をやめて、真面目な顔で彼の方を向いた。
「で、修論はどれくらいできてんの?」
「……」
「もう締め切りまで一ヶ月切ったで」
「……まだ、です」
 彼の言葉に溜め息をつく。
「いや、まあ。ワシが修論書くわけではないからええけどね」
 そう言って、帰る準備をするために立ち上がった。コートかけに掛かってい
るコートを手にとって、自分の席に戻る。そして、再び修士二年の彼を見た。
「でさ、一応修論を書き始められる状態にはなってんの?」
 彼の前にあるディスプレイに映っているのはソースファイルを開いたエディ
タ。
「……まだっぽいな」
 答えを聞く前に神羅は苦笑した。
「まあ、その気になれば40ページを3週間で書けないことはないから」
「う……」
「とにかく、この時期に体壊すと致命的やから、それだけは気をつけや」
「……はい」
 コートを着て、鞄を肩から提げる。
「ほんじゃ、おつかれ」
「お疲れさんです」
 そして、神羅は研究室を後にする。
 学科棟から出て、振り返り建物を見上げる。電気がついている部屋がポツリ
ポツリとある。
 余計なことを言ったかなあ、と考えながら神羅は帰路についた。

時系列と舞台
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2006年1月。大学にて。

解説
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修論、卒論の締め切りが近づいてくると関係ないこっちも心配したりします。

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