[KATARIBE 29649] [HA06N] 小説『冬休み最終日』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Fri, 06 Jan 2006 13:11:48 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29649] [HA06N] 小説『冬休み最終日』
To: KATARIBE ML <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <20060106131149.NAXXC0A8274B.C77F0C8A@mail.biglobe.ne.jp>
X-Mail-Count: 29649

Web:	http://kataribe.com/HA/06/N/
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29600/29649.html

MOTOIです。
らヴらヴのちドタバタシリーズ(今名付けた)投下です。

**********************************************************************
小説『冬休み最終日』
====================
登場人物
--------
 岡啓介(おか・けいすけ)
  :人狼大学生。美琴の彼氏。
 氷川美琴(ひかわ・みこと)
  :強霊感女子高生。啓介の彼女。
 橋本朱敏(はしもと・あけとし)
  :人狼大学生。地雷踏み。


近鉄吹利駅
----------
「ごめん、待った?」
「いえ……今来たところです」
「ならよかった、それじゃあ、出かけようか」
「はいっ」

 正月が明け、社会が普段どおりに動き始める時期。しかし、学生にとっては、
まだ冬休みとして休める時期である。
 そんな冬休みの最終日。啓介と美琴は吹利駅で待ち合わせをしていた。その
目的は……言うまでもない。

(けいすけさんとデート……)
 頬の辺りをおさえる美琴と、
(美琴ちゃんと……デートか)
 照れながらあらぬ方向を向く啓介。
 進歩のなさは相変わらずである。


霞山動物園
----------
 霞山動物園は、その名のとおり霞山のふもとに位置する、吹利県最大の動物
園である。
 二人は、この動物園を今日のデートスポットに選んだ。最初は隣接する吹利
レジャーランドに行く予定だったが、思ったよりも混雑していたため、変更に
なった。喧騒が比較的苦手な美琴に対する啓介なりの配慮とも言える。

「動物園がすいててよかったね。さて、どこから回ろうか?」
「けいすけさんに……おまかせします」
 啓介の腕をきゅっ、と握る美琴。
「あ、そう? ……それじゃ、えっと、どうしようかなー」
 お約束のように照れまくる啓介。
 結局、入り口に近いほうから順番に見て回ることにした。

「ここのレッサーパンダは立たないのかな」
「そうみたいですねー……」

「狼ってのは、やっぱり凛々しいよね」
「啓介さんも、凛々しいですよ」
「そ、そう?」(照)

「ペンギンか……そういえば教育実習中に変なもの見たんだよなぁ」
「へんなもの、ですか?」
「うん、教室に入ったら、上からピンク色のペンギンが落ちてきたことが」
「教室にペンギン、ですかー?」
「あ、もしかして信じてない?」
「い、いえっ……そんなことは……」
「まぁ、無理はないけどね……でも、たしかに見たんだよ」


近鉄霞山駅
----------
 楽しい時間はあっという間に過ぎるもので。

 動物園を出た二人は、吹利の市街地に移動するため、乗換駅の近鉄霞山にて
電車を待っていた。
 今日はこの後、市街地で軽く茶を飲んで帰る予定である。

「啓介さん、少し待ってもらっても……いいですか?」
「え? ……ああ、わかった、ここで待ってるから」
 美琴の言葉の意味を察した啓介は、一人ベンチに座って待つことにした。

 と、そこへ。
「よぉ、啓介、こんなとこで奇遇だなー。どこ行くんだ?」
「あ、朱敏。今から帰るところだけど。お前は?」
「今から日本橋行ってパソコン見に行くとこ。買うかどうかはわかんねーけど」
「ふーん」
「そうだ、お前暇ならちょっとつきあってくれよ」
「え?」
「お前パソコンわりと詳しいだろ? ちょっとアドバイスしてくれって」
「ちょ、ちょっと待てよ、オレは……」
「いいからいいから、電車代くらいは持ってやるから。急ぐから特急乗るぜ」
「お前、人の話を……」
「ほら、そこの特急。早くしないと出ちまうぞ」
 抵抗むなしく、無理やり特急に乗せられる啓介。無情にもしまるドア。
「……この電車は上本町まで止まりません……」
「ちょ、ちょっと待てーっ!」

 啓介が再び美琴と合流するまで、およそ2時間を要したという。


時系列と舞台
------------
 2006年1月上旬、吹利市内(駅、霞山動物園)。


解説
----
 冬休み最終日のデート。順調かと思いきや、最後に邪魔が。

$$
**********************************************************************
motoi@mue.biglobe.ne.jp
Motofumi Okoshi
 ---------------------------------------------------------------------
http://kataribe.com/ 語り部総本部(メインサイト)
http://kataribe.com/ML/ メーリングリストの案内
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/ 自動過去ログ
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29600/29649.html

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage