[KATARIBE 29639] [HA06N] 小説『啓介と美琴の初詣』

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Date: Sun, 01 Jan 2006 23:55:38 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29639] [HA06N] 小説『啓介と美琴の初詣』
To: KATARIBE ML <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。あけましておめでとうございます。
2006年の目標として、シリーズものの執筆を掲げました。
その第1弾をお送りします。

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小説『啓介と美琴の初詣』
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登場人物
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 岡啓介(おか・けいすけ)
  :大学4回生。昭和58年生まれ。
 氷川美琴(ひかわ・みこと)
  :高校3年生。昭和63年生まれ。
 橋本朱敏(はしもと・あけとし)
  :大学2回生。昭和60年生まれ。


初詣
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 2006年1月1日。

「うへぇ、やったら混んでるなぁ」
「初詣ですからねー」
 初詣客でごった返す吹利市内の神社内に、岡啓介と氷川美琴がいた。
 もちろん、彼らも初詣客である。
「こりゃ、お参りが済むまでに時間かかるなぁ」
「でも、啓介さんと一緒なら……時間がかかってもいいですっ」
「あ、そう?」
 互いに顔を赤らめる二人。初々しいといえば聞こえはいいが、実際には2年
以上も進歩がないだけである。ダメダメである。


参拝
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 まずは、本殿に通じる列の一番後ろに並ぶ。
 賽銭箱の幅が広いため、列は横に大きく広がっている。背の高い啓介には本
殿の様子を辛うじて見ることができたが、小柄な美琴は人ごみの中にすっぽり
埋もれてしまった。
「啓介さん、前の様子はどうですか?」
「ざっと見て、3〜400メートルは並んでるかな」
「すごいですねー」
「でもまぁ、回転が早そうだから、そう極端に時間はかからなさそうだよ」
 と言いつつ、美琴の手をしっかり握る啓介。
「え……?」
「あ、いや、はぐれないように、ね」
「は、はい……」
 ここでまた赤面の二人。

 啓介の予想通り、15分も並ぶと、二人は賽銭箱の前に到達した。
「ふう、やっと順番が回ったか」
「それじゃあ、早速お祈りしましょうか」
「うん、そうだね」
 賽銭を投げ入れ、拍手を打つ。そして、頭を下げること数秒間。
「啓介さんは、何をお願いしたんですか?」
「えっと……秘密だよ、うん」
「えー、そうなんですか?」
「そうなの」
 ……甘すぎる。


厄払い
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 参拝が終わると、厄払いの受付へ。
 啓介は男25歳の前厄、美琴は女19歳の本厄ということで、厄払いをして
もらうことになった。

 本堂の中に入り、畳の上に正座をして待つ。普段、神社でお参りすることは
あっても本堂の中に入るのは初めての二人、なかなか物珍しいようだ。
 しばらくすると、宮司が現れ、厄払いの儀式が始まる。二人も、神妙な顔つ
きで祝詞を聞いた。
 そして、およそ1時間後に儀式が終了した。

「ああやって厄払いするんだねぇ」
「私も、初めての体験です」
「これで、厄に負けずに過ごせる気がしてきたよ」
「そうですねー」
「まぁ、何があっても美琴ちゃんは守ってあげるけどね」
「えっ……」
 また赤面の美琴。言った啓介も赤面。ホントになにをやっとるか。


御神籤
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 お守りを買って、最後は御神籤。
「へぇ、末吉か」
「私も末吉ですー」
「末吉ってのは、だんだんと運勢が良くなっていくって意味なんだって」

 運勢を見た後は、各項目をじっくりと読んでみる。
「交友……おおむね良好、ただし親しい友人には注意せよ、か」
「注意って、どういうことなんでしょうか?」
「さぁ、どうだろうねぇ」
 そして、御神籤を木の枝に二人で結び、初詣は終了した。


そして
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「ちょっと、トイレに行ってくるね」
 そう言って、トイレに向かう啓介。用を済ませて出たところで、不意に声を
かけられた。
「よう、啓介じゃないか」
「あ、朱敏。お前も初詣か?」
「まあな。そうだ、そこの屋台でちょっと何か食って行かないか?」
「え、でも……」
「いいからいいから、正月くらい買い食いしたって」
「いや、だから……」
「あ、もしかして金がない? 焼きソバの一つくらいは奢るぜ?」

 そこへ。
「啓介さん、遅いなぁ……」
 啓介を探しに、美琴がやってきた。
「あー、美琴ちゃん、ごめんごめん」
 美琴を見て、啓介はあわてて駆け寄る。

「あ゛」
 その様子を見ていた朱敏が絶句する。
「俺……またやっちまったのね」
 年が明けても、地雷踏み健在の朱敏。君こそ厄払いが必要なのではないのか?


時系列と舞台
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 2006年1月1日、吹利市内のどこかの神社(どこかは未定)にて。


解説
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 啓介と美琴の初詣。

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